白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)/集英社

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すっかり春になったというのに、今週頭からインフルエンザに罹っていたワタクシガーン


全く季節はずれも甚だしい。


15年ぶりくらいにインフルエンザにかかったんですけども、
大人のインフルエンザは超怖い。


何が怖いって、関節痛っていう症状。


もうね、関節と言う関節に、有刺鉄線ぐるぐる巻きにされて絞めつけられたよーな痛さ。


「痛いよ-ショック!!!
という自分の声で、夜中に何度起きたことか。

最終的には、指の関節まで痛かった。

今年は絶対予防接種受けよう・・・。



で、湊かなえさんの「白ゆき姫殺人事件」。
今日から映画も封切りですね。

いやコレ・・・面白かったわ~。

あんまり期待せず読んだんですけどね。
タイトルもなんだかなあって感じでしたし。

お話は端的に言うと、とある田舎町で、化粧品会社の美人OLが、山ん中で、刃物でめった刺しにされた上、灯油をかけられて黒こげ死体で見つかる。
時を同じくして、行方不明になる同僚OL。
(OLって差別用語かしら。)

別の同僚の証言から、美人OLが最後に一緒にいたのが、どうやらその行方不明OLらしい。
二人は同期で、美人OLが同僚OLの彼氏をどうやら奪ったらしいといったことが明らかに。

物語は、全て関係者の証言、雑誌記者の取材に対する回答、といった形で進行します。
湊さんの出世作、「告白」スタイルですね。

ただし、「告白」スタイルが拡張高い「文章調」「日記調」だったのに対し、今作は、取材形式ということもあり、ざっくばらん調。

そこが「今」の時代の軽薄さにあっていて、逆に読み応えがありました。


巻末の、架空のツイッターや事件にまつわる週刊誌の記事も、読み進めると事件の全容が分かってくる仕掛けで、なかなか面白かったです。
ありがちなんですけど、工夫されてて、よく出来てます。この手のものにしては。
湊さんの仕事が細かいんでしょうね。

事件としては、あっけなく犯人が捕まりますが、まあアリバイ工作とかを描くお話ではないのでそこは気になりませんでした。

それよりアレですね、「この人が犯人かも!?」って局面を迎えたとき、誰しもが犯罪者らしく見えてくる。
同じ過去が、受け取り方によって、全然違う出来ごとに思えてくる。
んで、「犯人」としての自分が、なんだかそれらしく見えてくる・・・って、私は誰なんだ。っていう怖さですね。

それらを構成するものとして、「噂話」があるんですけども、それを増長するものとしてのツイッターだったりブログだったりマスコミだったり。
手段は色々ですが、真実を見誤ませるのって、人の身勝手な「噂話」なんですよね結局。
そういうお話ですコレは。


しかし湊さんは、文章が上手いなー。
ギリギリの下世話さと、ミステリならではの硬質さが、うまく融合してて、独特の世界観です。

犯人は誰?の怖さもあるんですけど、まあイヤミスの女王の名に恥じず、
殺された方も容疑者も、彼女らを取り巻く人々も、みんな一人残らずイヤな人(笑)。
そこがとてもリアルでした。

そう、誰にとっても、完全な「いい人」も「イヤな人」も、いなくて。
人間これみな利己的ですから、自分を守れば誰かを陥れるようなことになってしまう訳ですな。

んな中、容疑者が唯一の友達と、「アン」「ダイアナ」と呼び合っていた、というエピソードは、イヤミスの中にも一服の清涼剤でしたね。

まあ、この「ダイアナ」の存在が、悲劇の引き金を引いたと言えなくもない、という風に湊さんは物語を作っています。

嫉妬や自己中が渦巻く女子社会ですが、被害者は、そんな世界とは無縁の「アン」と「ダイアナ」の関係性が妬ましくて羨ましくて、つい意地悪しちゃったのでは・・・と、読めなくもない。

やっぱりみんな、心のどこかで「ホントの友達」を希求してるもんなんだね・・・こんなイヤな人だらけの世の中でも。

いじらしいというか何と言うか。

その辺が、イヤミスの女王でありながら湊さんの作品を、他とは違った清々しいものにしている秘密ではないかと思った訳です。


相変わらず湊さんの作品は、映像化率が高いですけれども、それは人間がとてもよく描かれているからで、きっと役者さんたちも、演じがいのある作品だろうなあと思う訳です。


私も、もう犯人分かっちゃってるんですけれども、井上真央ちゃんや菜々緒さん、蓮佛美沙子さんが登場人物をどう演じるのかな?って、結構キョウミ深々です。・・・監督の思うツボですわガーン