ホテルローヤル/桜木 紫乃

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・・・はあはあ。
書ける時に書いておかないとブログってやつは。


という訳で桜木紫乃さんの2013年夏の直木賞受賞作、「ホテルローヤル」。

これまた結構、評判になりましたね。

舞台は北海道は釧路、ラブホテル「ホテルローヤル」。
創業者から、廃墟と化した現代まで、ざっと40年。
そこにまつわるさまざまなカッポー達の、あれやこれやを、連作短編の形で描いています。


桜木さんの作品は、初めて読みましたが、「性」という圧倒的な自然界の掟?みたいなカセを、どこまでも乗りこなせない、翻弄される人間という存在を、極めて現代的に上手く描いている作家さんですね。
直木賞も納得の力量だな~と。

性とか恋愛とか生殖・・・・って、自分じゃ制御できない。
なんかみんなどっか、制御できるんじゃない?みたいに思いがちなのが人間ですが。
自然界の前では、人間なんて・・・ってやつですよ。

うまく制御できていると勘違いしつつも、その実、性とか恋愛とか生殖と向き合っていない、すなわち自然と向き合っていない、という不誠実な(・・・と敢えて言います)人が大多数なのでは。
向き合わずに死ねたらそりゃ楽だよね~。
しかしそこに文学とか、芸術とか、所謂ARTは無い。

ARTって人間の~という意味もありますよね。
そういう意味では、自分の中の自然=性と葛藤するのが、人間の生きるテーマ100%ですと言っても過言ではないのかもしれないと、最近思うようになってきた。

それくらい、性って、人間の生に深く影響するもんなんだと思う。

いえ、ワタクシは、不誠実と言われようとも、淡々と、植物的に、冷静に、生きて行きますからお構いなく・・・って人も中にはいることでしょう。
ええ、つい最近まで、私もそうでした。

でもねえ。
やっぱり自分の「性」って、ずーっと自分の弱みでありテーマであり続けるんですよね不思議なものです。


この短編集で、一番好きだったのは、6話目の
「星を見ていた」かな。
ホテルローヤルの掃除婦、ミコ(60歳・主婦)が主人公。
このミコさんがね・・・・
女としてこう生きたいという、女子力の固まりみたいな初老女性なんですよ。
女子力磨きたい女子は、モテ本読むより、ミコさんに学んでみて。いやマジで。
小説のテーマは、別にモテとかじゃないんですけどね・・・。
作者が、女性という存在に、とても肯定的だということが暖かく感じられるお話でした。


女性に優しい女性作家さんって好きです。
というかむしろ、女性作家なら、女性を応援する存在でないと。って個人的には思ってます。


えーっと、あちこちで話題になってた、1話目の「シャッターチャンス」ですが。
この暗黒ぶりは、ちょっとトラウマになる位でした。
さほど扇情的なお話ではないですが。
救いようがないってこのことか・・・的な。
このお話を、短編集の一話目に持ってくる桜木さんと集英社の編集さん、マジ凄いと思いました。

あと、4話目の「バブルバス」も、地味ですが良いお話でした。
この夫婦はとても良い夫婦だ。
しっかり性を生きていて、ほっとしました。


という訳で、万人受けするとは思い難い作風ですが、
私は好きな世界観でした。

作者が性と真っ向勝負して描いている、
潔く誠実な、よい小説集だと思います。