反省させると犯罪者になります (新潮新書)/新潮社

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おだやかでないタイトルです。



作者の岡本茂樹さんは、臨床教育学博士で、刑務所での累犯受刑者の更生支援に長年関わってきたそう。


その経歴の方からこう言われると・・・


そうなんかな??


って俄然興味を惹かれました。




ここでいう「反省」とは、
犯罪を犯したことによって、
自分が被害者はもちろん、周りの人にどれだけ迷惑をかけたか。
社会に迷惑をかけたか。
そういう思考を即し、
「ああ自分は悪かったな。もうあんなことはしない。」
と、更生させましょう!!という精神活動です。


なぜコレが、累犯者を生んでしまうのか。


答えは簡単。


人は、他人の事を考えて、自分の行動を変えたりなんてことは出来ないもんなんだね。

じゃーどーすんの??

自分のことを考えなさい。
なぜ自分は、人を殺してしまったのか。
強盗をしてしまったのか。
実はそんなに悪いとさえ思っていない自分・・・
それはなぜ?貧乏だったから?バカにされたから?なぜ自分は、そういう思考に陥るの?

とことん自分に向き合わないと、なぜ自分がこんな行動をとったのか分からないし、
原因が分からなければ、また同じことを繰り返す確率が高まる訳だね。


非常にシンプルかつ合理的。
まるで不祥事を起こした企業の、再発防止委員会みたいな分析のやり方だなと思った。


岡本さんは言う、このメソッドは100%ではない、
しかし、「反省」メソッドより、累犯者を生む確率が低い。
故に、「反省」メソッドより、有効なのではないか。


更に岡本さんは言う、犯罪者になる前の段階、例えば子供が問題行動を起こしたら。
まず学校も親も、
「なぜそんな行動をとったのか?」
って所を、深堀しなされ、と。

まー当たり前のことなんですけどね。
最近の傾向として、本音がしゃべれない人間関係が万延している訳です。
そういう中で、いきなり、
「自分が問題行動を起こした理由」
を、正確に訴えられる子供なんて、そーそーいないでしょう。
そもそも子供は、「問題行動を起こした自分」を、恥ずかしいと思ってしまうものである。


なので、親や教育者は、問題行動を起こした子供に「正論」をぶつけるのではなく、
まず共感を示し、
「・・・・で、なぜそんなことしたの?」
って所を、丁寧に聞いてやらにゃあならん。

その結果、色々出てくる訳ですね。問題行動の理由が。


更に岡本さんは言う、
犯罪者も問題行動を起こす児童も、
ざっくばらんな雰囲気の中で、
本音を言ったり言われたりする人間関係に恵まれていれば、
そーそー極端なことにはなりにくい。
SOSが出しやすいからね。

でも、そーいう人間関係が廻りになくて、
SOSを出しても放っとかれたりバカにされたりすると、
それをため込んで、取り返しのつかない所まで行ってしまう危険性がある。

だから犯罪抑制には何より、
本人が廻りに自己開示し、
ざっくばらんな友好関係を築けるコミュニケーション能力を身につけさせないとならない。
それには、まず自分のSOSを、他人に伝えられる力をつけないとならん。

いやこれ・・・
確かに正論なんですけど、超・難しいですよね。

本音=弱みを自己開示できる環境。
そりゃー心地いい世界だと思いますけど、それって、やっぱり、
自分で努力して、人間関係を作ってかなきゃ出来ませんよね。

岡本さんいわく。

「我慢できること」
「一人で頑張ること」
「弱音を吐かないこと」
「人に迷惑をかけないこと」
こういった価値観は、立派なことに見えるけれど、見方を変えると、
「人とつながること」を阻害する要因にもなります。

・・・甘え上手になれってこと(笑)?
日本人は真面目だから、なかなか難しそーですね。

 
一人で頑張ることは、どーしたって必要。
一人で頑張ってることが楽しい内は大丈夫だけれども、
それがしんどくなったら人は、容易に潰れるのもまた事実な訳で。


結局、世の中のアレコレしたトラブルを解決する手段って、
一人ひとりの深いコミュニケーションでしかないってことか。


そして本当のサバイブ能力というものは、
拒絶される恐れがあっても、
他人に対し素直に向き合い、
自己開示できる強さと、
同義語なんだな・・・と
改めておもいました。