世界ぐるっとほろ酔い紀行 (新潮文庫)/西川 治
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酒が好きだ。


そらもう、急アルになって病院に担ぎ込まれるくらいだから、好きな上に大して強くもないんだけどさ-。


やっぱり酒が好き。


何でワタシ、酒が好きなんかな-??って真面目に考えてみました。




酒って、その国の文化とか、趣味嗜好が、割とそのまま無防備に、ごろっと表れてるものだと思う。


今や色んなものがボーダーレス化してしまって、ファッションや音楽、美味しいと言われるレストランでの食事、ドラマや映画や果ては文学まで、「似たようなもの」になってしまっている。


その象徴が、携帯とかPCとかスマホかな-と。


でもそういう共通言語があるお陰で、私たちは、世界中の人達と、心の距離がぐっと縮まりつつある2012年、とも思うので、全然そのメリットを、否定する気はありません。


ありませんけど、その一方で、「酒」って存在だけは、こんなに身近にあって、色んな酒が選べるんだけど、どこの国でも、やっぱ自分の国のビールが一番売れてて、蒸留酒にしろ醸造酒にしろ、その国のメジャーな酒ってのが、未だ厳然としてありますよね。


フランスやスペインはやっぱりワインだし、イギリスならジンやスコッチ、ロシアだったらウォッカだろうし。


一方日本は、日本酒がどんどん消費されなくなって、んでもって、酒自体の消費量もどんどん落ちてるってのが、実に興味深い。

その様は、日本が日本人固有の文化を、どんどん知らぬ間に、手放していってる様と似ている気がする。


だからといって、今時の日本の若者に、「日本酒飲め!!」と言ったところで、全然効かないだろうし。



で、ジンやスコッチ飲むと、何でしょう、端正さっつーかさー、決して華やかな酒では、ないじゃないですか。

かといって田舎くさい訳でもなし、やっぱり想起させるのは、「ストイックさ」っつーか、「ジェントルマンらしさ」だったり、つまるところ、マッチョじゃない「男性的美点」。

つまりイギリス紳士。


で、フランスやイタリアのワイン飲むと、やっぱりフルーツの実り、豊穣さ、華やかさ、豊かさ、太陽の光。

地中海らしさ=ラテン気質、ってゆう。

ドイツワインの乙女っぷり=武骨さ・・・とかさ。

豊かさ=女性性の象徴というか。




でもって、飲み方とか、合う食事とかまで含めると、酒一杯の向こうに、かの国の人達の生活とか、連綿と続くその国の市井の暮らしぶりとか、そういうのが透けてみえる。

それを煎じつめると国民性だったり、その国の思想だったり。


ってゆうのを感じるのが、スゴイ好きなんだと思う。


で、それって、その国の文学とか音楽とか衣装とか食事とかに顕著に表れるものでもあるんですけど、いかんせん、このボーダーレス化時代、どこの国も、割と意識的に、文化が似たような感じになってきてると思う訳です。


韓国映画とハリウッド映画が似てるとか、どこの国もヒットチャートはR&BとかHIPHOPだとかさ(日本は違うけど)。

ファッションも、一般衣料という意味では欧州メゾンのパクリを上手く劣化して提供するH&MやZARAやGAP的な感覚に、どこの国も、どんどんなってきてるし。

それはすべて、経済性を意識した、生き残り戦略なんだと思いますが。




で、一方酒には、なぜか物凄い無意識に、その国の趣味嗜好が、未だぼろっと表れてる気がするの。

単なる嗜好品・・・なんだけど、嗜好品故に、その酒を創った民族の、否定しても否定しきれない、好みの傾向=嗜好性が、ダダもれちゃってる。

それが酒。



日本で、こんだけ発泡酒やのんある系が流行ってるのは、やっぱ今の日本人の国民性つうか、無意識の気分が、そこにゴロっと、表れてるってことだと思うよ。


あと、体質的に、日本人は、昔よりアルコール分解能力が落ちてきてるのかなあ??

何でみんな、酒飲まないの?って考えたときに、

やっぱり体質的なものが大きいのかな?とも思う訳です。

ぜひ医学界の方にきいてみたい。


それとね、あれね、今日本で酒が飲まれなくなってる理由ってのは、家庭における父親の存在が希薄化してることとも、どっかで繋がってる気がする。


酒文化って、やっぱ男の文化なんですよね。

かあちゃんが飲むと、キッチンドランカーになっちゃう・・・ってゆうか、女性の社会で、酒を媒介にして交流を深める。って習慣は、ほとんど無いと思う、日本では。

最近女子会文化が出来ましたが、これは食事メインですし。


で、とーちゃんがカッコよく酒飲んでないから、大人になっても、子供は真似しない訳ですよ。


なんか酒って、居酒屋で大学生がコンパやるとき、むやみやたらに弾ける為のもの?くらいの、超乏しい、偏った知識しかもたず、アルコール解禁年齢に入ってくるってのが、今の若者の、マジョリティなんじゃないかと。


サラリーマンの飲み会も、ストレス解消の為の愚痴大会?・・・カッコ悪い・・・・的な。


つまりあれだ、日本で酒の消費量が落ちているのは、日本人全体の、食事や飲み食いを通じたコミュニケーション能力が、だんだんと稚拙化し、洗練さを欠き始めてる兆しなんじゃないかと。



てなことを、この「世界ぐるっとほろ酔い紀行」を読みながら考えました。


この作者さんは、酒を飲むことの豊かさと、ちょっとのいかがわしさ、それと他人を思いやる日本人らしさを兼ね備えた、ステキな文章をかかれますね。


んでもって、飲んでる酒が美味そうなんですよ・・・


モンゴルの馬乳酒、

ベトナムのドブロク、

イタリアのたんぽぽ酒、

メキシコのコロナ・ビール、

アメリカのマルガリータ。


その国の酒を美味しいと思うことは、頭でなく、絶対的他者を体というか、知覚でもって受け入れるという感性がある証明だと思うの。


だから、こういう、酒紀行とか書くひとの文章って、すごく好き。


まあ酒を飲もうが飲むまいが、100%個人の自由ですが、私は今の日本に於ける酒文化のステイタスってやつを、飲食業やサービス業の方は、もっと上げて行ったら良いんじゃないかと。

てゆーか寧ろ、もっと意識して上げて欲しい。


日本料理屋さんはもっと日本酒や焼酎や、ジャパニーズウイスキーに凝ってほしいし、

イタリア料理屋のオーナーはプチソムリエばりでワインを薦めて欲しいし、

日本にカフェ文化を根付かせるってゆーなら、単なる女子の甘いモノ処に落ち着いて欲しくない。


そーやって色んな酒を楽しむ土壌が出来ると、きっと日本酒や焼酎も、嗜むよーになってくもんではないかと。


そして、フライトアテンダントは、客がビールって言ったら、銘柄きいてほしい。

有無を言わず一番搾りを開けるんではなく。


まああれだ、酒飲みって、何じゃかんじゃ、理屈っぽくて面倒くさいヒト多いですね私も含めて。

そこも、日本で、のんある化が進んでる理由なんでしょーかね。