共喰い/田中 慎弥
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話題の芥川賞作家、田中さんの受賞作を読みました。

ええ、「私は礼儀知らず」「都知事閣下」「もらっといてやる」・・・の、あの方です。


田中さんは、山口県ご出身の、1972年生まれ。

小説も恐らく、昭和60年代のご出身地が舞台なんでしょうなあ。

聞きなれない山口弁で、主人公の高校生、その彼女、父親、義理の母、生みの母達がしゃべります。


ストーリーは、セックスするとき相手の女の首をしめたりボッコボコに殴らないと高揚しない父を、嫌悪している、高校生の息子が主人公。

彼も、覚えたてのセックスを彼女とやってるとき、ふと、自分は父親と同じじゃないかと思う。

手に障害をもつ生みの母は、そんな父親に愛想をつかして出て行き、小川を挟んだ問い面で、女一人、魚やをやっている。

ある日、主人公は、彼女とセックスするとき、思い切り首を締めあげてしまう。そして思いのほか、高揚してしまった自分・・・


という、一見THE昭和な感じの、中上健次とか思いだしそーになる作風でした。


でも田中さんの小説は、昭和でもなく現代を描いていて、中上健次とはずいぶん違う世界を描いている気がしました。


現代の30代、40代の男の人のもつ、漠然とした不安、自分はイヤなオヤジの血をひいている、古代から連綿と続く、暴力的で手に負えない男ってやつの末裔なのか・・・

っていう、「男」が男であることを、もてあましているような、嫌悪しているかのような、そういうところをズバっと描いている。

つまり「今」を書いてるなって。

去年の「家政婦のミタ」でも思ったけど、あのドラマって、長谷川博巳さん演じる、アラフォー男の描き方が新しかったな、って。

端的に言うと、「男」という性をもてあましている男性ですよね。


この作者、俺は男だ!!ってゆーマッチョ志向の塊みたいな都知事閣下(笑)に、あーゆう言動をされたのも分かる気がする作風です。


また、作品の中で、ダメ父だけど、手首から先がない自分に、セックスしながら首しめよーが殴ろーが、「腕のない女」という蔑視の視線だけは向けなかった、と生みの母がポツリという場面。


そんな風に人間としての優しさ、高潔さを持っていながら、でもやっぱり、セックスのときに、「女」という存在そのものを暴力的に扱わないと高揚しない、男性の性の不思議。


そういうことに、「男ってそーだろ?」と開き直ることが出来ず、「そうなりたくない」と悪あがきしながら、性の衝動にやっぱりまきこまれていく、青少年である主人公。


この葛藤と、ねじくれ具合が、まさに現代の人間だよなあ、と思いました。

男性側から、ねじくれ具合を書いているのが、とても新鮮。


つー訳で、やっぱ芥川賞って、都知事閣下が「刺激が無くなった」とは言っちょりますが(←カーネーション風)、ワタシにとっては、なかなか刺激的な読書体験でしたとさ。