久しぶりに映画を観たなあ・・って思いました。
シナリオのお友達が観に行くってんで、便乗したんですが。
うーん行ってよかった。


かなりあちこちで絶賛されてますが、これは林由美香というAV女優さんを、自身のAV作品でもプライベートでも撮り続けた平野勝之さんの、二人の北海道旅行から15年後の彼女の死までを収めた、ドキュメンタリー映画です。


平野さんは、自身の初監督作品に主演してくれた、当時売れっ子の由美香さんが好きで好きで、でも不倫で(自分が妻帯者)、でもやっとお付き合いが成就し、北海道ドキュメンタリーハメ撮り紀行、みたいなAVを出したそうな。

この映画は、前半はその北海道旅行の様子、後半は15年後の由美香さんが、だんだん死に向かって行く様子を、期せずして納めてしまった記録になってます。

この後半部分がね。
もうそりゃ・・・すごいです。

彼女の35歳の誕生日に、「仕事」(たぶんハメ撮り)のため、彼女の家に向かう監督。
が、そこに待っていたのは。
2週間前に、睡眠薬と酒を大量に飲んで、既にこときれていた由美香さんだった訳です。


この映画を観て、すごく切なくなった。
男女ってホントに・・・分かりあえないもんなんだなって。

割と自由気ままな由美香さんのことを、恋人として、思いやりが無いとか何とか、なじる監督。
でも女子側から見ると、ホント彼女は、優しいヒトですよ。
男の側の、自分勝手な自己陶酔に、北海道自転車旅行まで一緒にして、付き合ってあげてるんだもん。
しかも不倫だぜ?
AV女優とAV監督の関係性がどんなもんか知らんけど、
前半の北海道旅行編は、ホント、由美香さんが平野監督に、「合わせてあげてる」感が強くて。

そんな中、ポツリポツリと由美香さんが自分語りをし。
数か月しか男性と続かない自分。
母親に捨てられたと思いこんでいた自分。

「私は結局、男を愛せないんだよね。・・・
男だったら、ちゃんと仕事して、あたしを守ってよって思う。
あたしに甘えるとか頼るとか、ありえない。」

もうコレ、全部禿同ですよ。

由美香さんは、それでも「エロで救われた」って言う。
仕事なら、それで作品が面白くなるなら、自分を全部さらけ出せる、と。
・・・AV女優になるべくして生まれてきたようなヒトなのかもしれない。

結局、由美香さんは、年下の彼氏にかなり入れこんで、でも別れて(たぶん振られたんだと思う)、どんどん不安定になっていってしまった様です。
気持ちは分かる。分かるけど・・・

平凡な結婚に憧れていた彼女。
でも、
「結婚するとかしないとか、そういうことで幸せになったり不幸せになったりしてやるもんか!!」
くらい、思ってて欲しかったな。
てゆうか、ワタシはそう思ってる。
「結婚とゆう単なる社会制度ごときで、幸せだったり不幸せだったり」って、なんか社会に負けた気がする。
それは結婚に限らず、なんか運命に負けたくないというか(笑)。
自分の人生に起きる「こと」で、幸せだったり不幸せだったりって「決めつけられる」のが、すごく理不尽に思えて。
ワタシの心一つで、幸せか不幸せか決めるんだ!!って思いたい。
これはワタシの頭がおかしいのか、異常に勝ち気なのか、不明だけれど。


AVを撮り、不倫をし、由美香さんが自由気ままにしてると頬をはたいたりする平野監督。
正直、そんな彼の人間性には、一個も共感できなかったけど。
彼なりに由美香さんを愛し、その死後も彼女のお母さんと関わり、こうして映画を作り、「自分はまだ彼女にお別れを言いたくなかったんだ」ということを認めるまで、自分をさらけ出していく様子は。

それはやっぱり、愛が無いと、出来ない行動だと思う。

若くて、ヤレる対象の女に好き好き。って言うのは、かなり簡単。
でも40歳過ぎて、死んだ女とその家族に関わって行こうとする平野監督の姿は、欲を超えた愛が溢れていました。

年をとるのも、悪くない。
コレ観た多くのヒトが、思うはず。
それは彼と由美香さんの、15年にも及ぶ関係があったからで。

男の自己陶酔には付き合っちゃいらんないよ。
って思うシーンは多々ありますが、この映画は、後半の由美香さんの死からラストまでが、期せずして追加されてしまったことによって。

「こんな映像は観たことない」

って衝撃と、インパクトと、そして愛が溢れていました。


由美香さんは、「男はちゃんと仕事しなくちゃダメ」って言ってたけど、最後の最後に、平野監督に、すごい仕事をさせましたね。
売れっ子の由美香さんのAVで、平野監督は、世の中に出てこられたんだもんね・・・。
そんなところも、彼女はホント、女性らしいヒトだったんだな、と。

それと、大切な人の死を迎えたとき。
「悲しい」というよりも、「怒り」というのに近い感情になったことを思い出した。
何死んでんだよ?誰にことわって死んでんの?そんなの許してないから!!

そうですそれは全部、

あなたとまだお別れしたくなかったのに。

でも絶対、お別れのときが来るんですよね。暴力的に突然に。

そんな最後もひっくるめて、やっぱり年をとるのは、いいもんだな。としみじみ思った映画でした・・・