密やかに続行中の恩田陸祭り。
「きのうの世界」2008年初版の500ページ近い長編です。
この本、装丁がイイ。
恩田さんの本て、どれも装丁がクールな感じですが、この本はズバ抜けてカッコいいです。
カバーを外すと、茶色いボール紙の、素っ気ない箱みたいで。
近く文庫になるよーですが、断然ハードカバーがオススメだな。
で、お話なんですが。
amazon.レビューでも、「びみょう・・・」という感じの感想が目白押し(笑)。
でも私おもしろかったわ。
中身もカッコいいんだよこの本。
平凡な37歳だか38歳だかの男性会社員が、上司の送別会の翌日、失踪する。
彼には既に身内がなく、家族もいなかった。
彼は、都会から遠く離れたM市で、「街の測量をしている」と偽り、暮らしていた。
そしてある冬の朝、M市の水無月橋というところで、彼は何者かに刺され、死亡していた。
M市には、3つの塔が昔から立てられ、その独特の地形から「塔と水路の町」と呼ばれていた。
で、最終的には、何のためにM市に3つの塔があったのか、
水無月橋で死んでいた男は、なぜM市に住みついていたのか、
そもそもどうして死んだのか?
つーことが、割とハッキリ、明らかになります。恩田作品にしては珍しく。
新聞小説だったんで、「読み返す」ことが困難と思って、ちゃんと謎解きしたのかな恩田さん。
で、その謎解き部分が、多分最初からこの結末だったんでしょーけども、割と現実離れしているというか、不思議な味わいのあるホワイダニット?だったので、amazon.方面じゃー、ちと評判悪かったのかもしれない。
でもこの不思議さ、まさに面白い小説の持つ世界観で、現実を一ミリ浮遊してて、ワタクシ的には好きでした。
「きのうの世界」というタイトルは、ヒトは昨日までの経験と記憶に頼って、今日という未知の世界に踏み出すものだからして、そもそも世界とは、「きのう」の蓄積である、と文中で述べられます。
そして、「きのうの世界」は刻一刻と過去に過ぎ去り、今日という新しい世界が毎日始まる。
「きのうの世界」で得た武器を手に、未知の世界を歩いていく。それが人間。みたいな。
で、物語は、「きのうの世界」と新しい今をいきつ戻りつしつつ、「きのうの世界」での伏線を拾いつつ、今日の謎を解き明かしていく。
その様が、偶然・気まぐれのようであり必然のようであり。
この世界の成り立ちや時間経過の「不思議さ」を、ぎゅっと凝縮したような小説世界。
まさに恩田ワールド。
って感じです。
と、ここまで作者の意図を明確にしつつ語られる、精工なフィクション世界でありながら、恩田作品って、独りよがり感が極めて薄いよね。
作者の世界観、自己認識が、どこか冷めているというか客観的というか腑観的というか。
そこがとても好き。
何より、主人公の男性会社員「平凡なようでいてどこか浮世離れしている男」の造型が、さすがに巧いです恩田さん。
匿名性がありながらユニークであり、やはり平凡であり。
ジム・ジャームッシュ(我ながら古いな)の映画の中の登場人物のよう。
やはり作者=女性という異性の目から生まれる男性キャラクターだから、イヤ汁やオレ汁が濾過されてて、そこが客観的に見える理由なんかな?
ハルキ氏と違って。
主人公もイイけど、焚火と推理小説が趣味という男子高校生のキャラクターの造型も面白かったし。
読み終わってもう一度ページを開きたくなる。
どこから開いても、物語の不思議さ、時間経過の不思議さが立ち上ってくる、何とも魅力的な本でした。
表紙の写真が、この物語の世界観を実に的確に伝えています。
んーで、今日、ベルギー・ビールのVEDETT EXTRA WHITEってゆうのを飲んだよ。
ビールの中に、オレンジ・ピールとコリアンダーが入ってるんだよ!
なんかコレ、前も飲んだことあるよーな気がするな・・・
割とサッパリ系、でも主張もあって、ベルギーはやっぱビール大国なんだね。
〆はジェムスンをジョン・コリンズで。
結局いつもコレで〆てるな。
もうジェムスンもボウモアも、残り6分の一くらいかな。
色々迷いましたが、次の置き酒は、マッカラン、ジェムスン、ボンベイ・サファイアにすることにほぼ決定。
といいつつ、今日、兵庫の辛口生酒を買ってしまったよ・・・
試飲が美味くてつい。
日本酒ですけど敢えて、フィンランドのガラスメーカー・iittala(イッタラ)のショット・グラスで飲もうかなと。
アテはカラスミかなやっぱ。そんな味の日本酒。
キンキンに冷やして晩酌しよー。
