ミュリエルの結婚〈デジタル・リマスター版〉 [DVD]/トニ・コレット,ビル・ハンター,レイチェル・グリフィス
¥3,990
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1994年のオーストラリア映画。

当時、オーストラリアで大ヒット。

主演のトニ・コレットはハリウッド進出、その後「シックス・センス」や「めぐりあう時間たち」等に出演、いまやカンヌ映画祭の審査員をやるまでになったそうな。

この監督さんもハリウッド進出し、ジュリア・ロバーツ主演「ベストフレンズ・ウェディング」をとっています。

日本では全然ヒットせず。たぶんシニカル過ぎたんだと思う、内容が。


ワタシもこれ、数年おくれてレンタルビデオ屋で借りて観たんですよね。

最初っから最後まで衝撃的で、とにかく面白くて、ユニークで、大好きになりました。


で、DVDを例のごとくマーケットプレイスで入手し、再度見直してみたんですが。

ああ~・・・ほぼリアルタイムで観たから良かった、つう側面も大きかったかも。

もちろん面白かったけど、自分の脳内記憶が加工されていたらしく、記憶違いな所も多かった。


お話はですねえ。

オーストラリアの片田舎に住む、デブでブスでダサくて友達にもバカにされてる、失業中の冴えないミュリエル。

ABBAの曲を聴いて現実逃避するのが日課。

お父さんは地元の議員をやっている有力者。

母親は、父親の顔色を伺いいつもびくびくし、兄弟姉妹は、ひきこもり&ニートたちで。

そんな「役立たず(By父親)」のミュリエルの夢は、結婚!!

結婚すれば、友達を見返して、違う自分になれる・・・と信じて疑わないミュリエルが、夢の実現に向け、自分を変えようと行動を起こす。



で、このミュリエルのやることがいちいちおかしくて。

最初、友達の結婚式のブーケトスのシーンで、ブーケをゲットするミュリエル。

もう一見してダサいしブスだし、ブーケをゲットして浮かべる満面の笑顔も、ふてぶてしい(笑)。

しかも友達に、「あんた彼氏もいないんだから、こっちにゆずれ。ずうずうしい。」とか言われて、花束取り上げられそーになるし。

で、そこにパトカーがやってきて、ミュリエルを「そのドレス、昨日万引きしましたね?」と、連行して行ってしまう。

開始10分で、万引きで捕まってる主人公ガーン


もうとにかく、ミュリエルがどーしよーもないダメ女なんですよ。

このキャラクター設定が、94年当時、すごい新鮮だったんですよね。

「ホタルノヒカリ」の干物女の比では無い(だってアレ綾瀬はるかじゃん)、もう底辺に近いというか。

お父さんの台詞、「ずーっと家でぐうたらして、たまに外に出りゃ、逮捕されやがって(怒)」

そんな主人公です(笑)。


ワタシが特に、この主人公の設定が好きだな、と思うのは、「一方的にかわいそうな女」にしてないところ。

ほら親に虐待されてたとか、理不尽にいじめられてた、とか、被害者面した主人公って、ありがちじゃないですか(笑)。

ああいうのと違って、ミュリエルは、周囲の状況と本人の持ってるものが合わさった結果、このような最悪な状況になってます、という、より現実に近い設定になってて、そこがリアル。


ミュリエルだけじゃなく、友達も、家族も、みんなもれなく俗物というか、最低です(笑)。そこもリアル。


このよーにあくの強いミュリエルを、トニ・コレットが実に巧く演じていて、笑えます。


で、彼女が変わっていくサマを映画は描いてくんですが。

大きなきっかけは母親の自殺です。

ワタシの脳内記憶が加工されてて、この部分、まったく覚えていなかった。

しかし今観ると切ない。

お母さん、かなり可哀想です。


話の展開として、なんでおかーさん自殺させちゃったんだろうな?と思うんですけど。

たぶん、ミュリエルとの対比なのかと。


ミュリエルがやってることは、一事が万事、イタイしセコイし、もう最低。って感じなんですが。

みじめで人にバカにされよーが何だろーが、ミュリエルはとにかく、行動することを止めない。

だって幸せになりたいんだもん。

自分の人生なんだから。


その「夢を実現して幸せになりたい。そのためには何だってする。」といった、シンプルでストレートな欲望に突き動かされた、ものすごい行動力が、むしろ清々しく感じられてくるんですよ。

自殺しちゃったお母さんにはなかった、ミュリエルの強さ。


以前、仕事でオーストラリアのシドニー、ゴールドコーストに行ったんですが。

どこか、独特の閉塞感のある国だな、ってのが第一印象。

日本と同じ島国で、先進国なんだけど、活気が無いと言うか。

オーストラリアならではのビジネスが発展している訳でもなし、でも気候も温暖だし暮らしやすいしそこそこ裕福で、ガツガツする必要がない、みたいな。

確かにこーいうとこに生まれ育ったら、普通の女の子は「結婚」くらいしか、自分を変える術が無いって思うのかも。

そういうオーストラリアの雰囲気というか、土地柄がよく映画に反映されてて、オージーに大ヒットっていうのが納得です。


今見ると、全体的に粗いな・・・つう感じが否めませんが、スクール・カーストの真っ只中にいて、将来何やっていいかもわからんしホントの友達もいない・・・つう、閉塞感にまみれた若い人たちには、ゼヒ観るのをオススメしたい。


女の子の自立って?

ってことを描いてる映画は数多くあれど、「ミュリエルの結婚」が優れているのは、

女性を偶像崇拝的でも男社会の被害者的でもなく、ちゃんと等身大の存在として、描いてるところ。

更に言うと、男とか恋愛とかをきっかけにせず、自分が動いたことによって、周囲と新たな関係が生まれ、ミュリエルが成長していく。

その清々しさ。

コレに尽きる気がする。


自分の行動は、自分で責任を負うこと。

自分の人生の結果は、自分で引き受ける覚悟をもつこと。

自分が主体で、誰のせいにもしないで、人生を生きること。

そーいうコトに気付いたとき、ホントの意味で、女の子は女性として、「美しく」なる。

そんな君の隣には、ホントの友達、ミュリエルにはロンダが、ロンダにはミュリエルがいる。


つうことを、とにかくブスでデブで性格の悪い女子を主人公に、キレイ事一切なし。で描ききってます。この映画。


最後に示されるのは、すごく前向きな未来。

やっぱこの映画好きだ。


でもやっぱ、ミュリエルはユル過ぎると思う・・・

真面目な日本人女子には、ちと共感しにくいかも(笑)。