先日の「あさイチ」プレミアム・トークのゲストは、佐々木蔵之助さん。

以前、新橋のつぼ八、日曜夕方、友達と飲んでたとき、「秘密」のロケやってるとこに遭遇したんですが。

蔵サマが一人路地裏でたたずむ演技中で。

カッコよかった~。

 

で、イノッチや有働アナに色々突っ込まれながら、テンション低くぼそぼそしゃべってたんですが。

稽古中の舞台のお話になると、ぱっと目を輝かせて、

「ボクの役ブルーっていうんですけど、ブラックを○×さんが演じていて、そのブラックをずっと監視してる役なんですけど、いつの間にか自分が監視されてるんじゃ?て疑い出す役で、すごい面白いな~って云々」

と、急にイキイキとしゃべりだして。有働さんもビックリしてた。

 

それまでの番宣とかとも打ってかわり。ホントにお芝居が大好きなんですね。

まさに役者バカ(褒め言葉)。

かわいらしい方だな~と。

こういうヒト好き。

 

 

ワタクシ乙一さん好き好きと言いながら、この覆面作家には気付かなかったわ~。

もう有名だからいいよね?

 

中田永一さんとは、乙一さんの別名義です。

この「百瀬、こっちを向いて。」は、2008年出版当時、あの覆面作家の恋愛小説最高傑作!!みたいに、かなり話題になってましたよね~。

短編4つが収録されています。

 

このタイトルは、じゃっかんイヤ汁が出ているよーな気がしないでもないが、中身を読むと、ほお~さすがの乙一節。と納得しました。

 

主人公はスクール・カースト最下層を自認する、冴えない高校生。

幼馴染のイケメン先輩から、本命彼女の目をくらますために、浮気相手の百瀬陽(ももせよう)の、偽装彼氏役を依頼される。

それがいつか、ミイラとりがミイラになり・・・。

 

とゆう、少女漫画的プロットでは、割とありきたりな設定なんですが。

結末が現実的でステキでしたね~。

イケメン先輩と本命彼女が、リア充ならではのココロの寂しさをもったキャラに設定されていて、そこがこの小説を深いものにしてるな、と。リア充だけにリアルです。

 

妄想族視点で、リア充を描くとき、どーしても「あたま悪い」「ヤンキー」みたいな紋切り型に描写されがちですが、乙一さんの視点は、

「どんな人間でも、そのヒトの生き方や立場から自然発生的に生まれてしまう、ココロの軋みや歪みがあるものだ。」

とゆー描写になってるのが深いと思う。

持てる者も、持てざる者も平等に。

 

このヒト、すごい冷静な作家さんだなと。

下品な言葉で恐縮ですが、マスターベーション的作家さんとは、意外と対極にいる人だと思う。

 

ワタクシ、しばらく小説読みから遠ざかっていたのは、純文学・あくたがわ的文芸界の方々の独りよがりっぷりに、激しく昭和を感じて、敬遠してたからなのでしたが。

乙一さんや三崎亜記さん、津村記久子さんあたりは、冷静さに裏打ちされたあったかい人間性があって、すごい好きです。

えーっと、浅田次郎さんとかのあったかストレート系や、よしもとばななさんとかのスピリチュアル言い切り型系、石田衣良さんとかの女性誌売り上げ貢献型・自称オシャレ恋愛系とかは、エンタテイメントであっても苦手です。

伊坂幸太郎さん、東野圭吾さんとかの売れ売れミステリ系も割と苦手。

いや、売れてるから苦手なんじゃなくて・・・・引っ掛かりが無いというか。

いや、東野さんは、トリックの独創性と文体が、エンタテイメントを熟知している、超プロならではのお仕事なので、好きではないがすごいとは思う。

読む本が見つからない長期出張前の空港でなら、このヒトの文庫を買ってゆきます。

 

そんなしょっぱい話はどーでもよいとして。

「百瀬、こっちを向いて。」は、話題になったとき読んどきゃよかったチクショー。なステキな恋愛ミステリ掌編集でした。

やっぱ小説も鮮度があるからね~。リアルタイムで読みたかったよ。たった3年前ですが。

 

あとこれ、乙一文体は健在でして。

ファンはきっと丸分かり。

フツー覆面つかうときって、文体も変えたりしない?

乙一文体、超スキなんで、特に不満はありませんが。

 

そー、乙一さんの文体、平易で分かり易いけど、読むと絶対、乙一節と分かる何かがある。

ということが再認識できた「百瀬、こっちを向いて。」でした。このタイトルの意味はラストで分かります。