その答えは、「家族」です。
精神分析医・斉藤環氏著「家族の痕跡-いちばん最後に残るもの」を読みました。
タイトルの文言は、引きこもりや摂食障害など、様々な病理と精神分析を通じて関わってきた、斉藤氏による「家族」というモノの定義です。
つまり斉藤氏は、様々な思春期の精神的な病の諸悪の根源が、家庭の中の人間関係-特に母子関係-にある、と説きながら、最終的に人を人らしくさせる、もっともマトモな関係も、やっぱり「家族」である、と言っているのだ。
そして、家族関係の根幹は、男女のヘテロセクシズム
=対幻想(←
吉本隆明)であり、更に突き詰めると、母子関係に収斂される、と分析しています。
この斉藤氏の自説には、激しく同意。
全ての人間関係は、およそ「関係」と呼べる程の濃密さを孕んだものになればなるほど、「性的関係」に近くなっていく。
んで、全ての人間関係の始まりは、「性的関係」によって生まれる「母子関係」にある。
ヒトは全て、「母」から生まれる。
しかし、「父」は、「あなたの子です。」と、産んだ本人が認定しないと、存在できない。
よって、「父子関係」とゆーのは、しょせん人間の「フィクション」である、と。
しかし、母子関係だけは、肉体的な因縁がシッカリある。
故に、ヒトが「人間関係」が上手くいかねーと悩むとき、その問題の根幹を、生まれて初めて結んだ人間関係である「母子関係」に求める、とゆー態度は、極めて誠実である。
斉藤氏の、極めて明晰な論理によって、「男系」を元にした「イエ」制度が定義されていたので書き記しておこう。
今の日本の皇室を例にとるまでもなく、「男系」を元にした「イエ」制度の存続は、如何に「人工的な努力(側室など)」なくしては維持困難なものであるか、科学的にも明らかである。
そこで斉藤氏は、男性
という不自然な性を維持するためにこそ、「家族」という概念が生み出されたのでは?と推測する。
種を撒くしか能のない、役立たずの男という存在を主張するには、肉体を鍛え知能を高め、家族をはじめとする様々な文化を形成し、「性差」というフィクションを捏造するしかない。
つまり、「家族」という文化的ユニットを作ったのは、男が存在を主張する為である、と。
なもんで、日本の家族の中で、とーちゃんはいてもいなくても一緒ね、経済基盤さえ作ってくれれば。とゆー空気のよーな存在になりがちなのも、ガテンがいく。
だって、「母子」とゆー肉体的因縁を軸にした超濃密な関係に、所詮フィクションじゃ、「関係性の深さ」で対抗できませんから。
さらに、斉藤氏は、今日本の家族=夫婦の中で起こっている様々な問題(母子密着、セックスレス、父親の疎外など)の根源には、「性愛における男女間の、欲望格差の隠微」があると言う。
まあ、コ難しい。
簡単に言いますと、男は性愛において、「所有の原理」を求める。例-抱いた女の数を自慢するオヤジ、フィギュアを集めるオタクなど。
一方女は、「関係の原理」を求める。例-生涯一度の「大恋愛」をうっとり語るオバサン、やおい漫画にはまる腐女子のみなさんなど。(例えは全て斉藤氏の引用です。)
そういう性愛における「欲望のあり方の違い」が、おとーさんは家庭外で所有原理を満たそーと浮気に走り、おかーさんはわが子との密着関係によって、関係原理を満たす、と。
んで、家族の中で、ガチンコに男女の性愛関係=夫婦関係を持ち込むと、このよーにすれ違ってしんどくなるので、大抵の日本の家庭は、「夫の子供化」とゆー荒業で、円満に解決しよーとします。
「おとーさんは、第二の息子みたいなもん。」てゆー、アレですよ。
でもまあ、コレが、夫婦関係にも親子関係にも、一番座りの良い解決策なんでしょーな。
ああ、禿同だわ。
でも禿同するだけで、何の救いも無いのが、こーいう精神分析本のしんどいトコだわな。
最終的に、ヒトに「次の一歩」とゆー希望を抱かせるのは、やっぱ「フィクション」だよなあ、とつい思ってしまう。
でも「フィクション」だけじゃー、なぜ自分がこんなにココロを掴まれてるのか?が分からないから、たまにこーいった明晰な分析本を読むのは、自分の情動が整理されて、建設的ですね。
さらに興味深いのは、女性ならではの精神病理-摂食障害、性的に自暴自棄になる自傷行為(例:東電OL事件)など-の根幹は、突き詰めると、男性が作った「ヘテロセクシズム=対幻想」への女性側からの否認行動なのでは?つーのが、斉藤氏の見立てである。
まあ簡単な言葉で言うと、
「男の勝手な妄想に、なんであたしが付き合ってやらなきゃなんないのよ?男はあたしの妄想は、無視するくせに。」
みたいな感じでしょうか?
しかし、この場合の「あたしの妄想」つーのは一体何なのか?
斉藤氏は「関係性、関係性」つーけど、女の私に、ちっともピンと来ないんですよ。![]()
私がジェンダー的に女性ど真ん中じゃないのか、斉藤氏の説がしょせん男の妄想なのか?
とゆー訳で、斉藤氏の言うところの、「女性の欲望の根幹である関係原理を、極めて純粋に抽出している」ボーイズラブの代表作品を、ちゃんと読んで、次項のブログで分析してみたいと思います。
