STINGの超有名なPOPソング、「English Man In New York」。

この歌をまんま実践したイギリス人によるルポルタージュ、コリン・ジョイス著「アメリカ社会入門-英国人ニューヨークに住む-」を読了。

似たもの同士と思いがちな、アングロサクソン系の「違いが分かる」文化論でしたわ。


これ、同じ作者が日本に移り住んで書いた、「日本社会入門-英国人記者の抱腹レポート」っつうのもあるんだけど、断然アメリカ版のが面白かった。

コリンも言う、どちらの国の方が違和感を感じるかと言ったら、断然アメリカだ、と。

なぜなんだろう?

やっぱ、アメリカっつう国の底知れない不思議さが、不思議大国ニッポンに住むニッポン人の想像さえ、はるかに超えているからだと思う。


コリンは言う。

「アメリカ人は、ろくでもないものを世に送り出すことで有名だ。

ファスト・フード、ミッキー・マウス、ハリウッド映画、チューインガム、ホットドッグ、ブリトニー・スピアーズ・・・」

「アメリカ人は、いったいなぜ、こんな奇妙な信念を抱くにいたったのか?」

「何であんなに陽気なのか?」

「あの根拠のない自信はどこから?」

「なぜ外国に出たがらない?」

「どうしてすぐ裁判に持ち込む?」

「いったい、チアリーダーって、何?」

おお、全て禿同だ。


「自由の国アメリカ」と、彼ら自身がそれを信じて、世界中にそのキャッチフレーズを流布しているけれども、実は英国始めとする、欧州各国よりよっぽど「封建的」で「世襲的」な政治家たち、固定化された階層、黒人と白人の間に依然として存在する見えない壁・・・・「アメリカン・ドリーム」的な一発逆転が、欧米諸国の中で、実は一番、起こりにくい社会では?とコリンは分析する。

確かに、英国映画「ラブ・アクチュアリー」は、英国娘と黒人男性の結婚式から始まってた。

アメリカ映画を見慣れてるワタシは、「人種問題にオープンですって、媚びすぎじゃね?」っていう違和感があった。

何しろ、アメリカ映画で有色人の男性が、アングロサクソン系白人女性と、肉体的に結ばれる関係なんて、まず、描かれることが無い。

その逆も、少ないし偏っている。・・・・だから、アジア系俳優は、なかなかハリウッドで定期的に役がつかないんだよね。

そーいう所も、アメリカと英国では、ビミョウな差があるのかもしれない。


しかし、そんなアメリカで、バラク・オバマ大統領が誕生したのも、また事実。

コリンは一生懸命、「黒人」という括り以外では、女性だったり(性差)、ユダヤ系だったり(宗教)の被差別階層から指導者が生まれたのは、英国のが早かった、と力説してるけれども。

それも事実なんだろーけど、オバマさんのインパクトといったら、サッチャー首相よりそりゃずっとデカいでしょ。

リーマンショック以降、米国への尊敬・憧れ・注目度が弱まっていってたさなかに、このインパクト。

世界は、オバマを通して、またもやアメリカに夢中になっている。

いったい、この国は何なんだね?

超・優秀な、広告代理店のプロデューサーでも付いてるのか?


アメリカという国の見事な自己プロデュース力は置いといて、世界中の人がアメリカ人に違和感を感じている事の本質を、コリンは鋭く分析している。

それは、「アメリカ社会では、個々人の抱える問題は、即物的に解決可能なもの、或いは解決すべきもの、と見なされている。」

整形やワークアウトが流行るのはともかく、アメリカの本屋に行くと、「自己啓発書」の類の多さに、ビックリするようだ。

とにかく、自分が不幸で、不満があることに「病的に」納得できない人達、それがアメリカ人。


アメリカ独立宣言の一節に、万人に認められた不可侵の権利として、「生存、自由、幸福の追求」が挙げられている。

コリンは言う、この考え方が、アメリカ人を歪ませている不幸の一因そのものだと。

幸福は、はっきりとした形がなく、捕まえ難いものである。

それを、皆が手に入れる権利がある、とこうも堂々と言われると、まるで手の届かないところにある痒みのように、もどかしさばかりが募るのが、人間ではないのか?

これも激しく同意である。

そもそも、「幸福の追求が社会に生きる目的。」って堂々と言うなんで、永遠に成熟しない、子供でいろ。って、国民に言ってるよーなものだ。

人間は、単純に幸福を求める為だけに生きてるんじゃないって事を、悟っていくのが生きていくって事だから。


アメリカって国は、アメリカン・ドリームといいサブプライム・ローンといい、国民の目の前に、決して手に入らない架空の幸福をぶらさげて、一部の人だけが大儲けするのが、極めて上手い国なんだと思う。

超大国ってゆーのは、中国といい、つまるところ、そーいう社会体制になりがちなんだろーけど。

そして、そーいう文化が、もう日本を始め、アメリカ傘下の衛星国たちに、文化や国家制度を通して、ジワジワ根付いてきているのも確かだ。


でもそれは違う、まやかしなんだよ。って、そろそろ言ってあげてイイと思う。

だって、当のアメリカ人や、アメリカ的思考を選択しているヒトたちが、金属疲労おこして苦しそうだもの。

ブリトニー・スピアーズとホット・ドッグは、嫌いじゃないけども。

オバマ氏の導きたいアメリカが、どんな姿をしてるのか?やっぱ、世界は当分、アメリカから目を離せそ-もないんですね。