いつか紹介したいと思っていた、石井光太氏の著作。
・・・みなさんの一日の生活費(家賃等、全てひっくるめて)は、おいくらですか?
この本は、1日2ドル以下で暮らす「貧困層」・・・世界の総人口の約45%を占める人々に焦点をあてている。
実際に著者が取材に行ったアジア、イスラム圏、アフリカ大陸などの「貧困層」の人々が、
どーやって2ドル足らずの生活費を稼ぎ、どんな食事をし、恋愛し結婚し出産し、病気になり、死に至るか?とゆー「暮らしぶり」そのものを、豊富な写真と図表で、解説しているのだ。
この著者の本を読むのは3冊目で、
1冊目の「物乞う仏陀」では、ストリートチルドレンや障害者等、物乞いで生きている人々の暮らしぶりが、
2冊目の「神の棄てた裸体」では、イスラム圏の最下層の人々のセックスについて、
著者が実際にかの地に行き、彼らと寝食を共にし、取材したコトが描かれています。
題材もさることながら、現場に入り込んで取材しているだけあって、どれもディティールの情報量が極めて豊富です。
「絶対貧困」では、特定の地域に限らず、貧困層そのものを
第一部 スラム編
第二部 路上生活者編
第三部 売春編
に分けて、その「暮らしぶり」を解説しています。
ところで皆さんは、自分が日本人に生まれたことを、どー思っていますか?
ワタシは小さい頃から、なんで自分は日本人なのか?
世界には貧しいといわれる人々が沢山いて、一方で黒柳徹子さんや故ダイアナ妃みたいな○△親善大使みたいなヒトが先進国にいて、ボランティアをやっていたりする・・・
なぜそんな風に、超絶格差が存在しながら世界は成り立ってるのか?
なぜに世界は、平準化されていないのか?
という事が、ずーっと不思議でした。
あと、もし自分が第二次世界大戦中、ドイツに暮らすドイツ人で、「ユダヤ人を差別しないと殺されるかも・・・」みたいな状況に陥ってたら、どーするのか?とか、
いわゆる独裁国家に生まれて、「○×様~、バンザ~イ!!」とか言って、独裁者の為に作られた歌や踊りを歓喜の表情で歌い踊れ、とか強制されたら、果たしてやってるのだろーか?
・・・てなことを、割と真剣に、考えてしまうタイプです。
今、自分は日本人として生きているから、辛うじて良心に沿った道を歩めているが、もしひとたび、そーいった境遇に置かれたら。
自分が生き残るために、良心に反して、ヒトを差別したり、権力者におもねったりして生きていく・・・・・っつー人生も、充分有り得たんじゃないか?
人間としての正悪と損得を、常に真逆に突きつけられ、言動を選ばなくてはならない人生。
コレ、相当、過酷だと思う。
そー思うと、今の自分の日本人としての境遇が、ホントに恵まれたものなんだと気付く。
しかし、こないな恵まれた環境でも、自分の良心に100%忠実に生きているかとゆーと、これまた疑問。
だから思うのだ、今この環境にいてさえ、自分の真実が貫けないなら、きっと自分は独裁国家とか過酷な環境に生まれてりゃー、生きる為に簡単に悪の方向におもねったり、非人間的な行為をしてしまうだろう。
そーいう人間には、キレイ事かもしれないが、やっぱりなりたくないと思ってしまうのだ。
生きるってタイヘンですね。
という訳で、「もし自分が、ストリートチルドレンとして生まれてたら?」と考えると、たぶん自分は、野たれ死ぬか、あっちゅうまに精神的にぶっ壊れているだろうと思う。
そんな中、唯一救いを感じるのは、「感情だけは、人間に平等である。」ということ。
この本の「路上生活編」で語られる、路上生活者同士が恋をし、戸籍が無いから書面は無いけど結婚し、家族を作る様子。
ストリートチルドレン同士に生まれる、恋愛関係。
レンタルチルドレンに情を移す、物乞いの女性。
過酷な生活の中で、ほんの一瞬でも、愛情や慈しみといった感情が生まれる。
もちろん、ストリートチルドレンの中には、生まれた時から虐待を受け続け、苦しい生活の中でココロも壊れ、人間関係が全く結べず、最終的に自殺してしまったりする子も多いと言う。
生活苦を忘れるため、シンナーや薬物中毒に嵌るケースも少なくない。
それでも、そんな中でも、弱い者の面倒を見たり、恋愛したり、自分の損得に関係なく助け合う人間関係も、ふっと生まれてくるのだ。
一方、こんなにも豊かな日本で、生涯一度も愛を分かちあうことなく死んでいくヒトもいる。
恋愛や結婚に無縁なヒトもいるだろーし、家族と疎遠なヒトもいる。
自分の損得に関係なく、他人を思いやる・・・・そーいった人間関係をほとんど結ばず、人生を終える人々も。
とかく今の日本人は、「自分だけ損したくない!」的な発想に陥りガチであるから、ワタクシも含めて。
物質的な豊かさと、精神的な豊かさは違う・・・てなコトは、説教的によく聞かされる言説だが、逆説的に今の日本人は、実感してるんじゃーないか?
「ワタシは精神的に、とっても満たされています♡」と、胸を張って言える日本人は、今そんなにいないだろ。
「もっと愛されたい~もっと満たされたい~損したくない~効率的に幸せになりたい~」。
そんな老若男女の切羽詰ったココロの重低音が、鳴り響いている気がする、今の日本では。
「絶対貧困」を読むと、そんな今の自分の日本人としての立ち位置を、客観的に再認識せずにはいられません。
