ちわ~っす。


今週はもうホンマなんか・・・しんどかった。

何か楽しいことしないと、壊れてしまう!!ということで、手塚治虫先生の大傑作「ブラック・ジャック」より、MYベスト10を作ってみよーと思う。うひょ~!!


第10位 「目撃者」(9巻より) ・・・ミステリー

 時限爆弾をしかけた犯人を、唯一目撃した、キオスクのねーちゃん。

 でも、彼女は爆発に巻き込まれて、両目とも潰れていた。 

 んで、BJの登場なのだが。

 単純に治して犯人も捕まって、チャンチャン・・・という終わり方では無いのだよ。

 ミステリーって確かに面白いけど、ヒトの命をエンタテイメントにする浅はかさが、

 イヤにあるときがありませんか?

 この作品は、そーいうご都合主義が、一切なし。

 被害者の結末を容赦なく描く、ラスト1ページの切なさと言ったら。


第9位 「ふたりの修二」(17巻より)・・・・ミステリー&姉弟ジェンダーモノ

 地下街の火事のミステリー、大会社の後継者争い、姉の性転換手術、

 息子と父親の確執・・・と、これまた盛りだくさんな37ページ。でもイッキに読ませる。

 修二と姉さんの関係が、ちょっと危ねえなあ。

 ミステリーとほの暗いエロが絡まりあって、実に手塚先生らしい作品。

  

第8位 「話し合い」(11巻より)・・・・ヒューマンモノ

 底辺高校の不良と、「ヒヨワなオカマ野郎」と生徒に呼ばれてる、ある先生のお話。

 ま、先生はオカマでは無いんだが。

 皆が匙を投げる不良たちに、「無抵抗主義」で徹底的に話し合いしよーとするオカマ先生。

 しかし不良は、オカマ先生に瀕死の重傷を負わせてしまう。

 このオカマ先生が、決して善人では無いところが、この作品のキモ。

 ヒトは簡単には、変えられない。

 でも、ヒトを変えられるのは、ヒトしかいない。

 んで、そーいう面倒くさいことを出来る・出来ないは別として、

 「やろうとする」のが、ホントの教育。

 オカマ先生は、なぜそーいう教育を、「やろうとする」よーになったのか?

 涙なしには読めません。


第7位 「過ぎ去りし一瞬」(16巻より)・・・・海外ミステリー&オカルト

 これすんげえ面白いよ!!

 定時制高校に通うケンペイ君。趣味はなぜか、お裁縫。

 彼には体中にミミズ腫れが浮き、内出血するとゆー、特異体質が。

 そして毎晩、異国の教会で銃殺されるとゆー悪夢にうなされる。

 BJが内出血跡を開いてみると、むかーしむかし、体中をオペした跡が。

 これは一体、何なんだ?

 っつーことで、異国に飛ぶBJとケンペイ君。

 そっから先は、医学と政治と宗教が絡みあう、ドトーの展開。

 全ての設定が、一つの無駄もなくピタリピタリとはまっていく快感。


第6位 「みゆきとベン」(16巻より)・・・・ラブい話。

 不良のベンが通りすがりのみゆきを、イタズラしよーとして警察に捕まる。 

 少年院あけのベンは、みゆきが気になり尋ねていくが、彼女は末期ガンに侵されていた。

 この2人、ベンが一方的にみゆきに惹かれてるだけで、全然ラブい事にはなりません。

 みゆきはベンに、イタズラされそーになっただけですから、トーゼンです。

 でもベンにとっては初めての恋で、でもそれが自分のせいで伝わらなくて、でも

 みゆきの為に何とかしたい!!・・・な展開が、すげー切ない。


第5位 「不死鳥」(17巻より)・・・・火の鳥な話。

 とある砂漠の国。

 その生き血を飲むと、永遠の命が手に入る・・・という伝説の鳥を求め、殺しあう人たち。

 結果、ただの鳥に発光するバクテリアが付いていただけなのを、BJが暴く。

 自身の傑作「火の鳥」を、科学目線で風刺しちゃった手塚先生が、ホントすごい。


第4位 「再会」( 8巻より)・・・・ミステリー&ラブ。

 ああこれも、すげー切ない話だ。

 トラック運転手が、うっかり女性を轢いてしまい、彼女はそのショックで記憶喪失に。

 仕方なく自分ちに住まわせてあげる、トラック運ちゃん。

 だんだんラブい事になってく二人だが、ある日突然、彼女の記憶が戻る。

 家を出て行く彼女。自暴自棄になるトラック運ちゃん。

 そんな二人は、意外な場所で再会する。でももう、幸せな日々は戻ってこない・・・

 手塚先生の描くラブい話って、どーしていつもこーなんだ。

 BJの絡ませ方も見事。


第3位 「犬のささやき」(11巻より)・・・・ミステリー&エロス。

 のっけから、激しく愛し合う1組のカップル。ヤキモチ焼いてるペットの子犬。

 カレシは、あろうことか、最中のカノジョの声をテープに録音している。

 んで、ある日カノジョは、交通事故で死んでしまう。

 傷心のカレシは、BJに、子犬の声帯にカノジョの声のテープを埋め込んでもらって、

 犬が鳴くたびに、例の声が再生されるよーにしてしまう。

 だが、時がたつにつれ、新しいオンナも出来、だんだん疎ましくなってきたカレシは、

 その子犬を殺そうとするのだが・・・っつーお話です。

 カノジョのアノ時の声を再生する子犬って、ホンマ隠微やな。

 人間の身勝手さが、エロ方面からキッチリ描かれている傑作。


第2位 「幸運な男」(13巻より)・・・・・ミステリー&ヒューマンモノ。

 ホント、この話は何度読んでもオチがスゴイよ。

 イラクで油田が爆発し、スラム街の貧しい男が巻き込まれる。

 彼は、油田会社の息子らしき日本人の、パスポートを拾う。

 BJに整形手術してもらい、そいつになりすまして来日する男。

 が、そいつの会社は倒産し、無一文になったそいつのかーちゃんしかいなかった。

 仕方なく、帰国する金を肉体労働などで稼ぐイラク男。世話を焼くかーちゃん。

 最初イラク男は、赤の他人に渡す金はねえ!とかーちゃんを無視しているが、

 だんだん、情が移ってくる。

 ある日、かーちゃんの入れ歯が出きて、アレ?かーちゃん、歯があるのに、

 何で入れ歯が?と、ここからがミステリーなんだが。

 出合ったきっかけは、お互い利己的だった。でもお互い、ホントの愛情が芽生えていた事を

 知ったのは、最期のお別れの時だった・・・

 イヤ~切ないな~

 ホント、サイコーだよ!!

 こんな話を、たった22ページで描かないでくれ。


第1位 「鬼子母神の息子」(12巻より)・・・・ミステリー&親子モノ。

 この話は、ホント構成といい、BJの絡み方といい、オチといい、読後感の苦さといい、

 素晴らしい。

 しかも、たったの20ページだ。

 ストーリーは、日本で、子供の誘拐事件が多発する。

 身代金の払いを渋ると、子供の指を切って送りつけるとゆー、残忍な手口。

 母子家庭のイサオは、「僕がアトムなら、人さらいやっつけるのになー」とママに甘える。

 天使のよーにキレイで優しい、イサオママ。

 が、その素顔は、例の誘拐犯の、女ボスなのだった。

 結局イサオママは捕まってしまうのだが、その過程がミステリー的にも面白く、且つ

 一人の女に聖と悪が同居しているサマを見事に描ききっており、深い。

 ラスト、イサオママの顔が、誘拐犯としてフラッシュを浴びるコマの衝撃度といったら・・・

 小説では絶対ムリ。

 やっぱ漫画の神様だ。


ああ、手塚先生の漫画を語るって、何て楽しいんだ!

巻数は全て、「秋田文庫」から拾ってます。

ここに描き切れなかったオモロー!な話が、まだまだ一杯ある。

BJの初恋の女性が、性転換して男になる話とか。

しかも手術するのはトーゼンBJ、というスゴイ屈折した話。


よく昔、好きな曲をテープやMDに編集して、「MY・ベスト・尾崎豊」とか作ってる男子が

いたもんだが、私も好きなエピソード集めて、「MY・ベスト・BJ」作りたいよー。

そんで出張とかに携帯して、しょっぱい仕事に疲れた夜にホテルで読むのさ。

そーいう編集キットとかって、無いもんかのう・・・・