昨日、新年映画初めに行って来ました。

昨年末から観たかった『戦場でワルツを』です。


年末は、迷った結果『脳内ニューヨーク』を観ましたが、アフター(バイト)があったので、より思い入れの強い『戦場でワルツを』を新年回しにして大正解チョキ


でもま、1週間しか経ってないんだなこれがガーン




レバノン戦争従軍時の恐怖の記憶を、自己防衛本能から失った映画監督アリの、自分探しの旅(取材行脚)を描いています。


恐怖からの逃避、良心の呵責、自分1人では何も出来なかった無力感等々、記憶欠落の理由は複雑に絡み合っていました。

従軍時の19歳のアリに、笑顔は全くありません。

色彩も、主にハーフシャドウのツートンカラーで描かれています。


実際のインタビューをアニメーションに起こしていますが、本人の希望により顔も名前も声も変えたり、髪の毛を増量したりしてあるそうです。

勿論、映像がアニメーション化されただけの「本物」がメインですが。



原題は『WALTZ WITH BASIR』。

舞台となった1982年に、イスラエルの大統領に就任しながら、僅か3ヶ月で暗殺された、バシール・ジェマイエルを指しています。



アリと同じ部隊に居た、各種格闘技のスペシャリスト、軍人の中の軍人とも言うべきフレンケルが、街中に溢れるバシールのポスターを背景に、踊る様に優雅な動きで命懸けの特攻をした時の印象を、アリは「フレンケルは、バシールとワルツを踊っている様だった」と感じたのです。


奇跡の単独特攻をしたフレンケルは、更に奇跡的に無事で、現在も格闘技で生計を立てているらしく、インタビューに登場した時は空手の形を披露していました。



アリが失った記憶の最後にして最大のものが、バシール暗殺をきっかけに起こった、パレスチナ難民の虐殺でした。


命令に従い、ビルの屋上から照明弾を撃つアリの遥か足元で、バシールを擁していたファランへ党による報復行動が繰り広げられていたのです。


翌朝、虐殺が終わった後には、罪の無いパレスチナ難民の死体、死体、死体…


泣き叫びながら悲しみと恨みを吐き出す女達の前に居たのは、アリ。


そして、このシーンだけが実写フィルムです。


カメラは、淡々と死体を映し出します。







このシーンの為に、陰惨な内容を美しく魅せる為に、監督は作品をアニメーションで製作する事を決意したのでしょう。



誰が何と言おうと、ワタクシにとっての2009年アカデミー賞外国語映画賞は、この『戦場でワルツを』でしか有り得ません!


イスラエル映画だから、キリスト教を非難しているから、パレスチナ難民を冒涜しているから等々、晴れやかな受賞に繋がらなかったこじつけの理由は幾らでも挙げられます。


「戦争が壊した人間の心(記憶の改ざん)」


真実はそこにあります。