夜、渋谷でライブがあり向かっているさなか、担当しているレーベルの部長さんから突然携帯に電話が入る。
女性の部長さんで、非常に目をかけて頂いているのだけど、最近は直接絡むこともなく、なんだろう、と胸騒ぎを覚えながら電話に出ると・・

「聞いたわよ~」

・・・ばれた?

狭いこの業界、こういう日が来るとは思っていたが、ついに転職のことがばれてしまった。
いや、もちろん隠すつもりなどまるで無かったのだが、今の会社の後任人事が決まっていなかったのでそれを待って正式に挨拶に行こうとしていたのだ。

でも、そのあとの会話は本当にありがたいものだった。
こちらでなぜ転職するのか、ということを丁寧に説明。
年齢のこと、今までやってきたこと、そして新しい会社に求められていること。
特に、去年このレーベルさんとのお付き合いで非常にいい結果を残せたのでそれが一つの区切りになったことを話すと納得して頂いた様子。

「社長に話したらうちに来ればよかったのにって言ってたわよ」

の一言には社交辞令かと思いつつも思わず胸に温かいものが満ちあふれた。

いろいろな転職があるのだろうが、自分は幸せだと思った。
今までやってきたことの積み重ね、そして関わった人たちの協力、戦い、全ての事柄があったからこそこういうお言葉を頂けたのだろう。
あと少しの間だが、手を抜くことなく、一瞬一瞬期待に応えて行こうと思った。