「夢を叶えてボラム」は第1部の後半に入った頃だった 果たして自分が作ったネタは採用されるのか?なんとはなしに選ばれるんじゃなかろうか、との感覚はあったものの、こうして会場のスペース・参加人数を見るとすごい至近距離だから、やるにしても近すぎて恥ずかしいくらいだ 選ばれたいけど選ばれたくないなあ、などと考えていた
司会のお姉さんの音頭でついに始まる なんでも今までのこのコーナーをボラムはとても楽しめたそうで、またやりたいとのことで決まったそうだ お姉さんが読み上げる
え~最初は~わんさん!わんさんいらっしゃいますか?わんさ~ん!
これを聞いての自分の第一声は・・・
「え~参ったな、いきなりぃ?」だった
選ばれたのはたしかにうれしい しかし、選ばれるとしても最初ではないだろう、との勝手な憶測があった その読みが見事に外れ緊張が走る 現実に自分が選ばれて、目の前にいるボラムと二人してのネタを共同作業でする・・・それもトップバッターで!
私は荷物を椅子に置き、おずおずと立ち上がり、軽く手を挙げ、はい私です、ていうアピールをしたと思う 司会のお姉さん、ボラム、さらには皆さんの視線が、立ち上がった自分に注がれる こうなるとテンパる どうしよどうしよ、である
お姉さんは言った
「わんさんはなんと三つのパターンのシナリオを書いて送ってくれました ありがとうございます!」
三つも書いたのかよう!と皆に思われたであろう恥ずかしさと、三つも書いてきてくれてありがとう的な言われ方をお姉さんにされて照れたのと、さらなるお姉さんの言葉、
「で、どうなさいます?」に思わず興奮して、
「え、三つともしていいんですか?」と尋ねたら、
「いえ、一つで!」にこやかに却下された
・・・だよね、気を取り直し即座に「ではプランAで」と答えた
わかりやすさでいえばプランAが一番なのだ 内容はこうである
→わんがボラムにデートを申し込む
→ボラムが速攻でお断りを入れる
→わん両手を広げ、えww!と驚く
→わん・ボラム二人して両手広げたまま、観客の方を振り向きチャンチャン!と言う
→おわり
セリフにすると
わん「ボラムさん!私とデートしてください!」
ボラム「ごめんなさい!」
わん「えww!」
わん・ボラム「チャンチャン!」
本来ならこのコーナーは、ファンからボラムへのお願いをボラムが叶えてくれるというもの だからわんの個人的なお願いを言わなくてはならないのだが、過去のこのコーナーの動画を見るに、ファンからのお願いごとも大体出尽くした感があるとみた では方法を変えてやってみたらどうだろうと思い立った
念頭に置いたのは
・時間がかからないこと
・自分が楽しむというよりは、見てる皆さんに楽しんでもらえるものにすること
こうして”わんとボラムのショートコント”を披露するというネタに行き着いた
そうはいっても、”ファンからのお願い事を言う”という主旨も遂行したい だから”デートを申し込む”なのである笑
もしも、通例のお願いとしてこのセリフそのままにお願いしたらボラムはどう返すのかなあ、と妄想する さすがにこれはプライベートに関わってしまい、答えに窮すると思う せいぜい、え~、まあ機会があれば・・・てなもんで、困るボラムを見ても場が白けるだけだし、面白くもなんともない
ならばこそ、それを逆手にとって、断る前提のネタとしてやったらウケるんじゃないだろうかと画策した 自分のお願い事も言ってみたい、ボラムの返しも受けてみたい、ひいては見てるみんなに笑って楽しんでもらいたい、そのすべてを短時間で成し遂げるため辿り着いた苦肉の策でもあった
司会のお姉さんから、これはどういう意図で作ったんですか?とか聞かれたので、今までこのコーナーを見てて、自分がお願いするときはどうしようかなあと考えてたんですが、色々考えた結果こうなりました、と答えさらに、
本来はファンのお願いを叶えてくれるというものを、お願いを断られるというオチにして、見てる皆さんに笑ってもらおうという趣旨です なので最初に皆さんにシナリオを読んで説明しても構わないんです、と加えた
そのときお姉さんはずっとボラムに通訳してた マイクを介してるから声が筒抜けだが、なんといってるかまではわからない
ボラムは理解してくれるだろうか、シナリオはとてもシンプルなのだが、まずわんが言い→ボラムが断り→わんが驚き→二人でチャンチャン!をわかってもらわないといけない
尚且つ、皆さんにも事前にネタ披露しておいて、オチがわかってる上で見てもらった方が楽しめるので、そうだ!ボラムに説明すると同時に皆さんにも一緒に説明を聞いてもらっちゃおう!と思いついた
さてそれを司会のお姉さんに伝えたい だがお姉さんは割と丁寧にボラムに話しかけてて、話し出すタイミングがつかめないでいた
横入りで邪魔したくないし、けれども伝えたいしで、緊張の中オロオロして、手をもみながら「あのっあのっあのっ」との言葉が口を突いて出てしまった
思い返してもこの瞬間は恥ずかしかった でもどうすることも出来なかった ただうろたえるしか出来なかった
ここへきてお姉さんの話が終わり、ようやく自分に話せる機会が訪れた そこで先程思ってたことを話すと、ではマイクで説明しますか?となり、マイクでお姉さん、ボラムに語り掛けつつ、皆さんにも伝わるように説明を始めた
ボラムはというと、さっきまでお姉さんから説明受けねばならなかったので、お姉さん寄りの顔向きだったものを、今度はこちらに顔向けしてた
立ち位置もお姉さんと自分の中間位置に入り込むように居て、もうネタ的には理解したよ、みたいな雰囲気でこちらを見てる
この状態で自分は改めて説明をしたのだが、司会のお姉さんに一番わかってもらわないといけないので、お姉さんの顔を見て話したのだが、ボラムはその間ずっとこちらを見てて、中間に居るものだからどうしたってそれに気づいてしまい、ボラムに目線を合わせざるをえないふうになってしまった
お姉さんに話す→ボラムと目が合う→お姉さんに話す→ボラムと目が合う→いけないいけないお姉さんに話さないと!→ボラムと目が合う→いやだからお姉さんに・・・→ボラムと目が合う→いやそんな純粋な瞳で見ないで!と思いつつお姉さんに話す→ボラムと目が合う、を何回も繰り返した
ボラムはお姉さんと自分の話中ずっと涼しげな顔でこちらを見てくれてて、 おかげで意識が飛んで行ってしまいそうだった なんだかもう!である
幸せとはこのことか ヘロヘロな心持ちで、このあとシナリオどおりうまくやれるのかなと思った でもシンプルに作ってあるから大丈夫だろうと踏んでた がしかし、思わぬ展開にこの先の自分は奈落に落とされることとなる
いざ準備万端整った ボラムも自分もマイクを持った お姉さんの合図でショートコントが幕を開けた
ボラムと相対して立つ 断られるとわかってはいても、これから自分は目の前のボラムにデートを申し込むのだ
たとえネタだとしても!たとえそういうコーナーだとしても!ボラムにデートを申し込めるだなんてこれ以上の喜び・幸せがあるだろうか!ある意味役得だ!
ボラムも受け答え万全たる顔つき いつでもいいよ!な目をしてる ああボラム・・・ごめんね、今からわたくし、あなたににデートを申し込みます でも思いっきりごめんなさいしていいからね じゃいくね!
ボラムの目を見つめながら(ドキドキ)自分は堂々と言った
わん「ボラムさん!わたしと!デートしてください!」
ボラム(大きな声で)「いやです!」
わん(えっ、ごめんなさいじゃないの?)
「えww!!」驚きの手を広げる
わん・ボラム(手を広げつつみんなの方を向いて)
「チャンチャン!」
終わった・・・
終わったあとボラムとお姉さんに一礼して、そそくさと席に戻った 最後のオチは会場から笑いが聞こえたから一応ウケたとは思う
席に着くと次の参加者に話が移る それを幸いとし先ほどのことを振り返る 二人で同時に会場を向くのも息ピッタリだったし、ボラムのチャンチャン!も見事に言ってのけてくれた
きっとお姉さんが丁寧に説明してくれたんだと思う その点はとても感謝してる ただあの一点だけを除けば・・・
覚えてるんだが自分がシナリオ説明してるとき、お姉さんもマイクでボラムに一生懸命伝えてたのだが、「ごめんさい!」の所は「ミアネヨ!」(「ごめんなさい!」と言うんですよ)とは言ってなかったのだ
どうして断定できるのかというと、ごめんなさい!はなるべく早く言ってもらった方がウケるのでお願いします、とこちらが補足したから 早ければ早いほどウケること間違いなしだし、ていうかこのネタの肝となる所だからだ
ミアネ!やミアネヨ!は有名な韓国語だ その単語が出てこなかったからあれ?とは感じた ここだけは本当に覚えてる
なのでなんとなく違和感を持ったまま進めてた
そして思うのだ このときお姉さんはごめんなさい!とは説明せず、「嫌です!」と日本語で断ってくださいと言ったのではなかろうかと笑
ごめんなさい!と嫌です!はニュアンス的には同じように感じるものの、似て非なるものというかなんというか・・・いや、違うよね笑
だからお姉さんの説明の仕方でこうなってしまったのではないか アクシデントといえばアクシデントかもしれないが、いやもしかしたら、お姉さんは意図的にこう仕向けたのではなかろうかとの思いもあったりする
嫌です!の方がインパクトあって面白そうだしね 結果として自分は予期せぬ言葉を浴びたせいで、より「えww!」と言ってしまったわけだから もしかしてホントにその戦略だったりしてね それこそえww!である笑
ともかく、自分の役割は終わった 出番も終わった 一応ウケたし なので、良しとした
それにしてもボラムの「いやです!」は声、張ってたなあ あんなに張らなくても良いのにと思うくらい張ってた 真に迫ってた
いや待てよ、そうか、本心からそう答えたとか?そうだったりして!?あちゃww!
完