※注意!!※
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣
元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。
NAME:ミリア
HR:―
主な使用武器:―
アズに「拾われた」少女。二年前にアズと共に集会所を駆け抜けるが…。
※アズの紹介イラスト:新八様
24
「ハンター」としてやっていく。
しかし口で言うは易しだ。
ミリアの想いを汲んでアズもミリアの「ハンター」志願を受け入れたが、だからと言ってすぐにできるものではない。
まず最初に、アズはミリアに自分がなんの武器が向いているのかを確認させるためにも、全武器種を触らせる事にした。
一通りの武器の使い方を教える。
だが案の定と言うべきか、大剣やハンマー、ランス、ガンランス、ヘビィボウガンなんかはまず振り上げる事も、構える事もできない。
唯一振れた片手剣も、その振り方はおぼつかなかった。
武器そのものは竜人族の技術の発展により見た目ほどの重量は無いが、それでもまずミリアには全部の武器が振れる位の筋力を付ける事から始めなければならなかった。
とにかく毎日素振りをする事。
「従者」としての仕事もこなしながら、ミリアは狩猟に出る事が出来るようになるために毎日色々な武器を触り、そして素振りをした。
どれ位の時間を費やすのか。
アズはまずこの段階でかなりの時間を要するのではないかと思っていた。
だが、ミリアの「従者」としての勤勉さが功を奏したようで、思っていたより筋力はあったようだ。
毎日、アズの武器や防具の手入れをしていたのだ。
構える事こそできなかったが、持ち上げる事位は最初から出来ていた。
そんな理由も相まってアズが思っていたほどには掛からず、程なくしてミリアは「新米ハンター」としてデビューできる位にまでは武器を振れるようになった。
アズはそんなミリアにレザーライトシリーズを買ってあげた。
それと回復薬、こんがり肉、砥石も合わせてプレゼントする。
アズは狩猟の基本である、体力、スタミナ、武器の切れ味、この三つを基礎とし忘れるなという教訓と共に、この「新米ハンター」セットをミリアに渡した。
ミリアは嬉しそうにそのレザーライトシリーズに身を包むと、
「どう?ちょっとは『ハンター』らしくなった?」
と、笑顔ではしゃいでいる。
そんなミリアを見てアズは嬉しい半面、病気を抱えている少女のこの姿を心配そうに見つめていた。
油断すれば「死」が待つ職業だ。
そんな世界に俺は…病気とも戦わなければならないミリアを招き入れようとしている。
アズがミリアを見つめる顔に不安の色を隠せずにいると、ミリアはアズに話しかけた。
「アズ!あなたが心配してくれるのは嬉しいけど!…これは私が望んだ事。だから…ちゃんと私を『ハンター』として扱ってくれなきゃ嫌だよ!」
ミリアはそう言ってアズの頬に両手を添える。
そんな事を言うミリアの瞳には揺るぎの無い「決意」の色が輝いていた。
「…そうだな。とにかく、二人で頑張ろう。お前は今日から『ハンター』だ。明日にでも狩猟に出かけるぞ。厳しく行くからな!」
アズはミリアの被っているレザーライトヘルムをポンッと叩くと、フッと微笑む。
「…うんっ!頑張ろう!!」
アズの笑顔にミリアも嬉しそうに微笑んだ。
ミリアがレザーライトシリーズに身を包んでから、その日の内にアズとミリアの二人は近くの集会所に足を運ぶ。
集会所でミリアの「ギルドカード」の発行をしてもらうためだ。
集会所の受付まで行くと、アズは登録用紙を前にペンを握っていた手を止めた。
そこで気がついたのだが、アズはミリアのファミリーネームの方を知らない。
名前記入欄の所まできて、アズはミリアに過去にフルネームを一度も聞いてない事に気がついた。
アズ自身ミリアの生い立ちを聞いているので、あまり過去の事を聞くのは彼女の気が重いだろうと思っていたので、一度も聞かなかったのだ。
ミリアの名前を書き込む所でアズがペンを止めているのを横から見ていたミリアは、
「ちょっと貸して!」
と、ペンをアズから奪うと、自分でスラスラと名前を書いた。
「ミリア・ルードリア」
そう書き終ると、ミリアは「へへっ」と呟きながら照れている。
ミリアは嬉しそうな笑顔で顔を赤く染めていた。
アズはそんなミリアの態度に驚いた。
今まで「従者」として仕えてきたミリアを見てきて、アズを「求める」態度を初めて見たからだ。
「『対等』だからこそ…私は『あなたを求める』事ができるから。」
いつしかミリアが言った言葉を、アズは思い出した。
そんな登録用紙とミリアの照れくさそうな笑顔で、自然とアズも笑顔になる。
「こいつ…。」
アズは嬉しそうにミリアの頭を撫でると、ミリアの顔を見た。
ミリアはとても幸せそうな顔で、登録用紙の自分の名前を見ている。
ミリアが自分を求めてくれる事。
今のアズにとって、これほど嬉しい事は無かった。
絶対に…ミリアを助ける。
そんな確固たる思いを、アズは改めて胸中に刻み込んだ。
25
遂に始まったアズとミリアの集会所での狩猟。
まずはミリアに狩猟の基本を覚えてもらうために、アズは下位でもかなり簡単な部類である☆一つの、Lv1のクエストから回る事にした。
そして何より自分が使う武器を決めてもらわなければならない。
一つクエストをこなす度に、ミリアには武器を変えてもらいながらLv1のクエストを回った。
Lv1のクエストを全てこなし、アズは改めてミリアになんの武器が良いのか聞くと、
「私は断然ハンマーが良いかな!」
と、目を輝かせながらミリアが言う。
アズはミリアが選んだ武器種の意外さに驚いた。
「お前…よりにもよってハンマーかよ…。もう少し体に優しい武器とか…。」
思わずそう言うアズに、
「体に優しい武器って何よ。」
と、ケラケラ笑っている。
「また…なんだってハンマーなんだよ?」
ミリアの武器選択の意図がまるで掴めないアズがミリアに聞いた。
「そうねぇ、モンスターの顔を…一番近くで見れるから…かな?」
少し首を傾げながら、ミリアが答える。
「顔?」
アズはますます解らない。
顔付近なんて一番モンスターの手の届く所だ。
打撃武器と言う事でスタンを取れるハンマーだが、ガードもできず常にそんな危ない所に陣取らなければいけないハンマーはモンスターから一番狙われやすく、危ない。
事実ハンマーを担いで戦ったミリアは、アズの方が心臓が止まるかという程危なかった。
「今はまだ上手く言えないけど…ハンマーが良いっ!!私はこれで行くわ!」
生き生きと、本当に嬉しそうに答えるミリア。
ハンマーを担ぐミリアの戦い方を思い出して止めようと思っていたアズだったが、ミリアのそんな嬉しそうな顔を見て、それ以上言えなかった。
ならば…せめてミリアが戦いやすい環境を作ってやるのが俺の役割か…。
アズはミリアのハンマーという武器種の選択に、自分はサポート役に回る算段をする。
元々アズは太刀と片手剣を使っていたので、この二武器種での「サポート役」の立ち回りを考え始めた。
この流れがどのように転ぶのか。
それはそんなに時を待たずして「結果」を出し始める。
ミリアは最初の内こそ危なっかしい立ち回りをしていたが、しかしそれも最初の内だけでハンマーという武器種に慣れてくると、ほとんどモンスターからの攻撃を受けなくなった。
そして、次々とモンスター達をスタンさせていく。
アズは太刀と片手剣を交互に、モンスターと相性の良い方の武器に変えながらミリアのサポートに徹する。
片手剣は言うまでもなく「サポート」に特化した武器だ。
アズは「サポート」に徹する事でミリアのハンマーを生かせる場合は片手剣を担いだ。
この「サポート」があまり生きない場合や、「火力押し」で早くに討伐できそうなモンスターの場合は太刀を担ぐ。
そんなアズの「サポーター」としての能力も合わせて、二人の息が合い始めるとクエストをこなす速さに加速がかかる。
本当にあっという間に、ミリアはHRを3まで上げた。
ここまでの流れで、特筆すべきはやはりミリアのハンマーだろう。
「ほとんどモンスターからの攻撃を受けなくなる。」
これを間近で見ていたアズは本当に驚いた。
ミリアはとにかく「モンスター」を観察するのが好きなようで、モンスターの「次」の行動を読むのが上手かった。
そのハンマーを振る事で硬直してしまう自分の態勢を把握すると、ミリアはモンスターの「次」の行動直前で無茶をする事をしなくなった。
誰に教えられることもなく、ミリアは回避ポイントを自力で見つけてしまったのだ。
後はいかに回避ポイントまで自分のハンマーが振れるのか、そこを見極めるだけだった。
そんなミリアの意外な才能に、アズは唖然とするばかりだった。
「そうねぇ、モンスターの顔を…一番近くで見れるから…かな?」
以前ミリアが言っていたこの言葉を今更思い出すアズ。
「やはり…お前のそのハンマーの技術はモンスターの顔を見てたから…できるようになったのか?」
雪山から集会所への帰り道。
今日のティガレックス戦でのミリアのハンマーの立ち回りを思い出しながら、アズが聞く。
このクエストをクリアしたことによってミリアは、HRを3に上げた。
「顔っていうか…『目』かな、見てるのは。私ね…モンスター達の『目』を見るのが好きなの。」
アズの問いに一瞬首を傾げたが、ミリアはすぐにそう答えた。
「目?目を見てると、なんであんな事ができるようになるんだ?」
アズはまたもミリアの答えが解らない。
そんなキョトンとした顔をしているアズを見て、ミリアはクスッと笑うと、ゆっくりと語り出した。
「私、アズと出会うまでは本当に『人の目』が嫌いだった。まず父ちゃんに売られて…そして売られた先もひどくて…。皆、例外なく私に『卑しい』目線を送ってきた。人を『見下さす』目。『汚い物』を見る目。思い出すだけでも吐き気がする…あの目。」
ミリアはそう言うと、苦しそうに顔を歪ませた。
思い出したくもない、そんな顔つきだ。
「でもね…。モンスターの目は違うんだ。あんなに強く、恐ろしい姿をしているのに。それこそ人間になんて…『見下した』目をしそうなのに。」
そこまで言うとミリアはアズを見る。
「モンスターの目は真剣なの、私を殺そうと。それこそ『殺意』しかない。でもね、その目には『優劣』が存在しない。あくまでも『対等』な目。モン スター達は…私を『対等』に見てくれる。父ちゃんや…あの売られた先の連中なんかよりよっぽど偉そうな姿なのにね。…それがとても嬉しいんだ。」
ミリアはそう言って笑う。
「対等…。」
そんなミリアの言葉を、アズはそっと呟いた。
ミリアはさらに言葉を続ける。
「だからさ、ついモンスターの目を見るの。そうするとね、モンスター達が何を考えているのか解るんだ。その目線でさ、『あ、今コイツはアズに殺意を持った!』とかね。それで次に私は何をするべきなのか…そんな事をあの目を見ながら考えてたら、できるようになったんだ。」
そこまで言うと、ミリアはアズから視線を外した。
「なるほどな…。」
ミリアの言葉に、アズは頷いた。
悲惨な過去を持つミリアだからこそ、そんな「目」に敏感に生きてきたのだろう。
ミリアがアズやモンスターに「対等」という姿勢に拘るのも、そんな過去の人間達の目からくる「優劣の不快感」を、好きな者からは味わいたくなかったからかもしれない。
「さあ、今日でHRも3だね!!次の4に行けば…遂に上位だ!がんばろ!アズ!」
そう言うとミリアはアズの腕に絡みつく。
「ああ!この調子で行けば…近くG級も夢じゃないな!」
アズはそんなミリアの行動に思わず笑顔になると、ミリアの絡めた腕の脇をぎゅっと締めた。
雪山の白化粧に夕日という朱色のアクセントが入る、ミリアのHRが3になった日の夕暮。
ミリアとアズの歩く道に映る二人の影が、夕日で伸びていた。
26
二人はHRも3になると、防具を一新しようとさらにその狩猟の速度を速めることにした。
現状での二人の装備は共にバトルシリーズ一式だ。
ここまで来て、ミリアはどうしても欲しい装備があった。
それは「レウスシリーズ」。
攻撃力に特化した、下位の装備では「攻撃大」が付くと言う破壊力を持つ装備だ。
ここのHR3という所まで来て、二人は「上位」を意識し始めていた。
上位の序盤を駆け抜けるにあたり、いい加減バトル一式では辛いと思った二人が話しあって選んだのがレウス装備だった。
アズはミリアの攻撃力特化を目論み、ミリアはそのデザイン性と「火竜」というモンスターの名前で、両者の意見が一致したからだ。
ここまで色々な種類のモンスターを狩ってきたが、ミリアは特にリオレウスがお気に入りだった。
リオレウスを「美しい」と言うのだ。
そんな美意識を持った事が無かったアズには、そんなミリアの持つ「感覚」に感心した。
「リオレウスの羽ばたく姿は本当に綺麗。私の為に、あの火竜は空を舞う。私の為に全力を尽くして殺しに来る姿に…いつも私は嬉しくて泣きそうになる。」
アズは思う。
ここまでミリアと共に「ハンター」としてやってきて、ミリアは本当に「ハンター」に向いている「人間」なんだと。
「天賦の才」と呼ばれるハンターがいるが、こう呼ばれるハンターは共通して根底に持つハンターの資質がズバ抜けている。
こういう人間は何をやらせてもすぐにモノにし技術向上に時間がかからない。
それはその者が持つ「アルゴリズム」がハンター向けで、特に理由もないまま「狩猟」の「本質」を見抜いてしまうからだ。
ミリアの言う事、感じる事、生い立ちまで含めた全てが「ハンター」に向いている、ミリアを見ているとアズはそう思わずにはいられなかった。
さらには下位も終盤、こなすクエストも百を越えミリアにも「ハンター」としての自覚と自意識に磨きがかかると、アズですらミリアに教わる事も出てくる。
レウスシリーズを揃えるためレウス討伐数を稼いでいる時、アズはうっかりと砥石を忘れた。
その時にミリアから教えられた一つ。
「剣士でいる以上、何を忘れようと砥石だけは忘れちゃ駄目だよ!自分の武器は何よりも『命の生命線』。生き残る上で一番大事な物。回復薬なんか 『ダメージをもらわなければ良い』、こんがり肉なんか『お腹減る前に倒せばいい』。でも…その二つをこなすには武器は強くなきゃいけないの。一番大事なア イテムなんだから!」
アズは怒られてしまった。
だが確かにその通りだ。
「スマン。」
教えた人間に教えてもらう、複雑な心境の中アズがシュンとしていると、ミリアが砥石を分けてくれた。
「それと!これもあげる!」
アズに砥石を渡した後、ミリアは懐から何やら紙に包まれた物を取りだした。
アズはその中身が検討もつかず、不思議そうな顔でその紙を開けると、包まれていた物はまた砥石だった。
「?」
アズがキョトンとした顔でその紙に包まれていた砥石を眺めていると、
「へへ~それはね。アズが私に『ハンター』として初めてくれた砥石なんだ。レザーライトと一緒にね。他にも回復薬やこんがり肉ももらったけど…砥石は『近接ハンター』の生命線なんだから!それを肝に、その砥石もちゃんと持ってなさい!」
少し照れながら、ミリアはそう言った。
自分でもアズに「ハンター」として説教をするという状況が恥ずかしかったのだろう。
しかしそんなミリアを、アズは嬉しそうに見る。
「ああ。そうだな!これを大事に持って、お前の教えを肝に銘じるよ。」
アズがそう言ってミリアを見ると、二人は声を合わせて笑った。
ミリアは「一流のハンター」になろうとしている。
「本質」があり、そしてその「自覚」を持つ。
「一流」という条件がミリアに揃っていた。
アズはミリアの「ハンター」としての今後と、ミリアの「人生」の今後を思い、さらにその意思を強くする。
――――必ず…これからもお前と生きて行く。
アズはこれから待ち受ける運命に、その砥石を握りしめながらそっと戦う誓いを立てた。
二人分の「レウスシリーズ」を揃えると、いよいよ二人の姿は「ハンター」として際立ってくる。
さらには下位における「攻撃力大」がその威力を発揮し、二人のクエストをこなす速さにさらなる拍車がかかる。
いつも行く集会所では、「火竜夫婦」や「赤のカップル」と茶化されながらも、その名声は上がって行った。
そして遂に二人はシェンガオレンを討伐し、HRを4に上げる。
いよいよ二人は、集会所の上位に上がった。
集会所編9に続く
・これは素人が書いた「創作物」です。この手の事に興味のない方、苦手な方は読まない事をお勧めしておきます。いや、本音としては読んでほしいですけど…。
・モンスターハンターP2Gの公式設定をかなり無視しております。
・多数の中二病設定が使われております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:アズ・ルードリア
HR:6
主な使用武器:太刀・片手剣
元大闘技場の門番兵。前回のタロの戦いに感動して「ハンター」に戻る決意をする。
NAME:ミリア
HR:―
主な使用武器:―
アズに「拾われた」少女。二年前にアズと共に集会所を駆け抜けるが…。
※アズの紹介イラスト:新八様
24
「ハンター」としてやっていく。
しかし口で言うは易しだ。
ミリアの想いを汲んでアズもミリアの「ハンター」志願を受け入れたが、だからと言ってすぐにできるものではない。
まず最初に、アズはミリアに自分がなんの武器が向いているのかを確認させるためにも、全武器種を触らせる事にした。
一通りの武器の使い方を教える。
だが案の定と言うべきか、大剣やハンマー、ランス、ガンランス、ヘビィボウガンなんかはまず振り上げる事も、構える事もできない。
唯一振れた片手剣も、その振り方はおぼつかなかった。
武器そのものは竜人族の技術の発展により見た目ほどの重量は無いが、それでもまずミリアには全部の武器が振れる位の筋力を付ける事から始めなければならなかった。
とにかく毎日素振りをする事。
「従者」としての仕事もこなしながら、ミリアは狩猟に出る事が出来るようになるために毎日色々な武器を触り、そして素振りをした。
どれ位の時間を費やすのか。
アズはまずこの段階でかなりの時間を要するのではないかと思っていた。
だが、ミリアの「従者」としての勤勉さが功を奏したようで、思っていたより筋力はあったようだ。
毎日、アズの武器や防具の手入れをしていたのだ。
構える事こそできなかったが、持ち上げる事位は最初から出来ていた。
そんな理由も相まってアズが思っていたほどには掛からず、程なくしてミリアは「新米ハンター」としてデビューできる位にまでは武器を振れるようになった。
アズはそんなミリアにレザーライトシリーズを買ってあげた。
それと回復薬、こんがり肉、砥石も合わせてプレゼントする。
アズは狩猟の基本である、体力、スタミナ、武器の切れ味、この三つを基礎とし忘れるなという教訓と共に、この「新米ハンター」セットをミリアに渡した。
ミリアは嬉しそうにそのレザーライトシリーズに身を包むと、
「どう?ちょっとは『ハンター』らしくなった?」
と、笑顔ではしゃいでいる。
そんなミリアを見てアズは嬉しい半面、病気を抱えている少女のこの姿を心配そうに見つめていた。
油断すれば「死」が待つ職業だ。
そんな世界に俺は…病気とも戦わなければならないミリアを招き入れようとしている。
アズがミリアを見つめる顔に不安の色を隠せずにいると、ミリアはアズに話しかけた。
「アズ!あなたが心配してくれるのは嬉しいけど!…これは私が望んだ事。だから…ちゃんと私を『ハンター』として扱ってくれなきゃ嫌だよ!」
ミリアはそう言ってアズの頬に両手を添える。
そんな事を言うミリアの瞳には揺るぎの無い「決意」の色が輝いていた。
「…そうだな。とにかく、二人で頑張ろう。お前は今日から『ハンター』だ。明日にでも狩猟に出かけるぞ。厳しく行くからな!」
アズはミリアの被っているレザーライトヘルムをポンッと叩くと、フッと微笑む。
「…うんっ!頑張ろう!!」
アズの笑顔にミリアも嬉しそうに微笑んだ。
ミリアがレザーライトシリーズに身を包んでから、その日の内にアズとミリアの二人は近くの集会所に足を運ぶ。
集会所でミリアの「ギルドカード」の発行をしてもらうためだ。
集会所の受付まで行くと、アズは登録用紙を前にペンを握っていた手を止めた。
そこで気がついたのだが、アズはミリアのファミリーネームの方を知らない。
名前記入欄の所まできて、アズはミリアに過去にフルネームを一度も聞いてない事に気がついた。
アズ自身ミリアの生い立ちを聞いているので、あまり過去の事を聞くのは彼女の気が重いだろうと思っていたので、一度も聞かなかったのだ。
ミリアの名前を書き込む所でアズがペンを止めているのを横から見ていたミリアは、
「ちょっと貸して!」
と、ペンをアズから奪うと、自分でスラスラと名前を書いた。
「ミリア・ルードリア」
そう書き終ると、ミリアは「へへっ」と呟きながら照れている。
ミリアは嬉しそうな笑顔で顔を赤く染めていた。
アズはそんなミリアの態度に驚いた。
今まで「従者」として仕えてきたミリアを見てきて、アズを「求める」態度を初めて見たからだ。
「『対等』だからこそ…私は『あなたを求める』事ができるから。」
いつしかミリアが言った言葉を、アズは思い出した。
そんな登録用紙とミリアの照れくさそうな笑顔で、自然とアズも笑顔になる。
「こいつ…。」
アズは嬉しそうにミリアの頭を撫でると、ミリアの顔を見た。
ミリアはとても幸せそうな顔で、登録用紙の自分の名前を見ている。
ミリアが自分を求めてくれる事。
今のアズにとって、これほど嬉しい事は無かった。
絶対に…ミリアを助ける。
そんな確固たる思いを、アズは改めて胸中に刻み込んだ。
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遂に始まったアズとミリアの集会所での狩猟。
まずはミリアに狩猟の基本を覚えてもらうために、アズは下位でもかなり簡単な部類である☆一つの、Lv1のクエストから回る事にした。
そして何より自分が使う武器を決めてもらわなければならない。
一つクエストをこなす度に、ミリアには武器を変えてもらいながらLv1のクエストを回った。
Lv1のクエストを全てこなし、アズは改めてミリアになんの武器が良いのか聞くと、
「私は断然ハンマーが良いかな!」
と、目を輝かせながらミリアが言う。
アズはミリアが選んだ武器種の意外さに驚いた。
「お前…よりにもよってハンマーかよ…。もう少し体に優しい武器とか…。」
思わずそう言うアズに、
「体に優しい武器って何よ。」
と、ケラケラ笑っている。
「また…なんだってハンマーなんだよ?」
ミリアの武器選択の意図がまるで掴めないアズがミリアに聞いた。
「そうねぇ、モンスターの顔を…一番近くで見れるから…かな?」
少し首を傾げながら、ミリアが答える。
「顔?」
アズはますます解らない。
顔付近なんて一番モンスターの手の届く所だ。
打撃武器と言う事でスタンを取れるハンマーだが、ガードもできず常にそんな危ない所に陣取らなければいけないハンマーはモンスターから一番狙われやすく、危ない。
事実ハンマーを担いで戦ったミリアは、アズの方が心臓が止まるかという程危なかった。
「今はまだ上手く言えないけど…ハンマーが良いっ!!私はこれで行くわ!」
生き生きと、本当に嬉しそうに答えるミリア。
ハンマーを担ぐミリアの戦い方を思い出して止めようと思っていたアズだったが、ミリアのそんな嬉しそうな顔を見て、それ以上言えなかった。
ならば…せめてミリアが戦いやすい環境を作ってやるのが俺の役割か…。
アズはミリアのハンマーという武器種の選択に、自分はサポート役に回る算段をする。
元々アズは太刀と片手剣を使っていたので、この二武器種での「サポート役」の立ち回りを考え始めた。
この流れがどのように転ぶのか。
それはそんなに時を待たずして「結果」を出し始める。
ミリアは最初の内こそ危なっかしい立ち回りをしていたが、しかしそれも最初の内だけでハンマーという武器種に慣れてくると、ほとんどモンスターからの攻撃を受けなくなった。
そして、次々とモンスター達をスタンさせていく。
アズは太刀と片手剣を交互に、モンスターと相性の良い方の武器に変えながらミリアのサポートに徹する。
片手剣は言うまでもなく「サポート」に特化した武器だ。
アズは「サポート」に徹する事でミリアのハンマーを生かせる場合は片手剣を担いだ。
この「サポート」があまり生きない場合や、「火力押し」で早くに討伐できそうなモンスターの場合は太刀を担ぐ。
そんなアズの「サポーター」としての能力も合わせて、二人の息が合い始めるとクエストをこなす速さに加速がかかる。
本当にあっという間に、ミリアはHRを3まで上げた。
ここまでの流れで、特筆すべきはやはりミリアのハンマーだろう。
「ほとんどモンスターからの攻撃を受けなくなる。」
これを間近で見ていたアズは本当に驚いた。
ミリアはとにかく「モンスター」を観察するのが好きなようで、モンスターの「次」の行動を読むのが上手かった。
そのハンマーを振る事で硬直してしまう自分の態勢を把握すると、ミリアはモンスターの「次」の行動直前で無茶をする事をしなくなった。
誰に教えられることもなく、ミリアは回避ポイントを自力で見つけてしまったのだ。
後はいかに回避ポイントまで自分のハンマーが振れるのか、そこを見極めるだけだった。
そんなミリアの意外な才能に、アズは唖然とするばかりだった。
「そうねぇ、モンスターの顔を…一番近くで見れるから…かな?」
以前ミリアが言っていたこの言葉を今更思い出すアズ。
「やはり…お前のそのハンマーの技術はモンスターの顔を見てたから…できるようになったのか?」
雪山から集会所への帰り道。
今日のティガレックス戦でのミリアのハンマーの立ち回りを思い出しながら、アズが聞く。
このクエストをクリアしたことによってミリアは、HRを3に上げた。
「顔っていうか…『目』かな、見てるのは。私ね…モンスター達の『目』を見るのが好きなの。」
アズの問いに一瞬首を傾げたが、ミリアはすぐにそう答えた。
「目?目を見てると、なんであんな事ができるようになるんだ?」
アズはまたもミリアの答えが解らない。
そんなキョトンとした顔をしているアズを見て、ミリアはクスッと笑うと、ゆっくりと語り出した。
「私、アズと出会うまでは本当に『人の目』が嫌いだった。まず父ちゃんに売られて…そして売られた先もひどくて…。皆、例外なく私に『卑しい』目線を送ってきた。人を『見下さす』目。『汚い物』を見る目。思い出すだけでも吐き気がする…あの目。」
ミリアはそう言うと、苦しそうに顔を歪ませた。
思い出したくもない、そんな顔つきだ。
「でもね…。モンスターの目は違うんだ。あんなに強く、恐ろしい姿をしているのに。それこそ人間になんて…『見下した』目をしそうなのに。」
そこまで言うとミリアはアズを見る。
「モンスターの目は真剣なの、私を殺そうと。それこそ『殺意』しかない。でもね、その目には『優劣』が存在しない。あくまでも『対等』な目。モン スター達は…私を『対等』に見てくれる。父ちゃんや…あの売られた先の連中なんかよりよっぽど偉そうな姿なのにね。…それがとても嬉しいんだ。」
ミリアはそう言って笑う。
「対等…。」
そんなミリアの言葉を、アズはそっと呟いた。
ミリアはさらに言葉を続ける。
「だからさ、ついモンスターの目を見るの。そうするとね、モンスター達が何を考えているのか解るんだ。その目線でさ、『あ、今コイツはアズに殺意を持った!』とかね。それで次に私は何をするべきなのか…そんな事をあの目を見ながら考えてたら、できるようになったんだ。」
そこまで言うと、ミリアはアズから視線を外した。
「なるほどな…。」
ミリアの言葉に、アズは頷いた。
悲惨な過去を持つミリアだからこそ、そんな「目」に敏感に生きてきたのだろう。
ミリアがアズやモンスターに「対等」という姿勢に拘るのも、そんな過去の人間達の目からくる「優劣の不快感」を、好きな者からは味わいたくなかったからかもしれない。
「さあ、今日でHRも3だね!!次の4に行けば…遂に上位だ!がんばろ!アズ!」
そう言うとミリアはアズの腕に絡みつく。
「ああ!この調子で行けば…近くG級も夢じゃないな!」
アズはそんなミリアの行動に思わず笑顔になると、ミリアの絡めた腕の脇をぎゅっと締めた。
雪山の白化粧に夕日という朱色のアクセントが入る、ミリアのHRが3になった日の夕暮。
ミリアとアズの歩く道に映る二人の影が、夕日で伸びていた。
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二人はHRも3になると、防具を一新しようとさらにその狩猟の速度を速めることにした。
現状での二人の装備は共にバトルシリーズ一式だ。
ここまで来て、ミリアはどうしても欲しい装備があった。
それは「レウスシリーズ」。
攻撃力に特化した、下位の装備では「攻撃大」が付くと言う破壊力を持つ装備だ。
ここのHR3という所まで来て、二人は「上位」を意識し始めていた。
上位の序盤を駆け抜けるにあたり、いい加減バトル一式では辛いと思った二人が話しあって選んだのがレウス装備だった。
アズはミリアの攻撃力特化を目論み、ミリアはそのデザイン性と「火竜」というモンスターの名前で、両者の意見が一致したからだ。
ここまで色々な種類のモンスターを狩ってきたが、ミリアは特にリオレウスがお気に入りだった。
リオレウスを「美しい」と言うのだ。
そんな美意識を持った事が無かったアズには、そんなミリアの持つ「感覚」に感心した。
「リオレウスの羽ばたく姿は本当に綺麗。私の為に、あの火竜は空を舞う。私の為に全力を尽くして殺しに来る姿に…いつも私は嬉しくて泣きそうになる。」
アズは思う。
ここまでミリアと共に「ハンター」としてやってきて、ミリアは本当に「ハンター」に向いている「人間」なんだと。
「天賦の才」と呼ばれるハンターがいるが、こう呼ばれるハンターは共通して根底に持つハンターの資質がズバ抜けている。
こういう人間は何をやらせてもすぐにモノにし技術向上に時間がかからない。
それはその者が持つ「アルゴリズム」がハンター向けで、特に理由もないまま「狩猟」の「本質」を見抜いてしまうからだ。
ミリアの言う事、感じる事、生い立ちまで含めた全てが「ハンター」に向いている、ミリアを見ているとアズはそう思わずにはいられなかった。
さらには下位も終盤、こなすクエストも百を越えミリアにも「ハンター」としての自覚と自意識に磨きがかかると、アズですらミリアに教わる事も出てくる。
レウスシリーズを揃えるためレウス討伐数を稼いでいる時、アズはうっかりと砥石を忘れた。
その時にミリアから教えられた一つ。
「剣士でいる以上、何を忘れようと砥石だけは忘れちゃ駄目だよ!自分の武器は何よりも『命の生命線』。生き残る上で一番大事な物。回復薬なんか 『ダメージをもらわなければ良い』、こんがり肉なんか『お腹減る前に倒せばいい』。でも…その二つをこなすには武器は強くなきゃいけないの。一番大事なア イテムなんだから!」
アズは怒られてしまった。
だが確かにその通りだ。
「スマン。」
教えた人間に教えてもらう、複雑な心境の中アズがシュンとしていると、ミリアが砥石を分けてくれた。
「それと!これもあげる!」
アズに砥石を渡した後、ミリアは懐から何やら紙に包まれた物を取りだした。
アズはその中身が検討もつかず、不思議そうな顔でその紙を開けると、包まれていた物はまた砥石だった。
「?」
アズがキョトンとした顔でその紙に包まれていた砥石を眺めていると、
「へへ~それはね。アズが私に『ハンター』として初めてくれた砥石なんだ。レザーライトと一緒にね。他にも回復薬やこんがり肉ももらったけど…砥石は『近接ハンター』の生命線なんだから!それを肝に、その砥石もちゃんと持ってなさい!」
少し照れながら、ミリアはそう言った。
自分でもアズに「ハンター」として説教をするという状況が恥ずかしかったのだろう。
しかしそんなミリアを、アズは嬉しそうに見る。
「ああ。そうだな!これを大事に持って、お前の教えを肝に銘じるよ。」
アズがそう言ってミリアを見ると、二人は声を合わせて笑った。
ミリアは「一流のハンター」になろうとしている。
「本質」があり、そしてその「自覚」を持つ。
「一流」という条件がミリアに揃っていた。
アズはミリアの「ハンター」としての今後と、ミリアの「人生」の今後を思い、さらにその意思を強くする。
――――必ず…これからもお前と生きて行く。
アズはこれから待ち受ける運命に、その砥石を握りしめながらそっと戦う誓いを立てた。
二人分の「レウスシリーズ」を揃えると、いよいよ二人の姿は「ハンター」として際立ってくる。
さらには下位における「攻撃力大」がその威力を発揮し、二人のクエストをこなす速さにさらなる拍車がかかる。
いつも行く集会所では、「火竜夫婦」や「赤のカップル」と茶化されながらも、その名声は上がって行った。
そして遂に二人はシェンガオレンを討伐し、HRを4に上げる。
いよいよ二人は、集会所の上位に上がった。
集会所編9に続く