2019年12月24日、すべてが崩れ始めた
実際に自分の身に起きた事件を、当時の記憶をたどりながら少しずつ綴っていこうと思います。
始まりは、2019年12月24日でした。
約3年間にわたり取引を続けていた大手A社から、その日に入金されるはずのお金が振り込まれていない。
最初は、単純な振込手続きの遅れだと思いました。
「何か事務処理上の問題でもあったのだろう」
その程度に考え、入金確認のためA社へ電話をしました。
ところが、返ってきた言葉は想像もしないものでした。
「御社との取引はありません」
一瞬、何を言われているのか理解できませんでした。
約3年間、取引をしてきたはずなのに、取引がないとはどういうことなのか。
頭が真っ白になりました。
そして翌日。
今度は、大手B社から入金されるはずのお金が振り込まれていませんでした。
B社にも問い合わせをしました。
返ってきた答えは、A社とほぼ同じでした。
「御社との取引はありません」
この時点で、単なる振込ミスではないことだけは分かりました。
しかし、何が起きているのかはまったく分かりませんでした。
当時行っていた事業は、中国メーカーの家電製品などを輸入している商社C社から商品を仕入れ、それを大手家電量販店などへ卸すというものでした。
C社は輸入商品の取り扱いだけでなく、自社オリジナルブランドも展開している会社でした。
そして実際に、C社ブランドの商品は複数の大手家電量販店の店頭で販売されていました。
少なくとも外から見れば、実体のない会社には見えません。
実際の商品があり、実際に店頭にも並んでいる。
だからこそ、当時の私はこの取引そのものを疑っていませんでした。
C社との取引が始まったきっかけは、D君からの紹介でした。
D君とは、この事件が起きる約15年前から付き合いがあり、私は彼を信頼していました。
長年付き合ってきた人間からの紹介。
実際に販売されている商品。
そして約3年間続いていた取引。
今振り返れば、確認すべきことはいくつもあったのだと思います。
しかし当時の私には、それら一つ一つが「この取引は大丈夫だ」と考える材料になっていました。
今回の事件では、D君の会社も被害を受けています。
少なくとも私たちは、お互いに被害を受けた立場として、この事件に向き合うことになりました。
ただし、事件から時間が経った今でも、
「一体どこまでが本当だったのか」
「誰が何を知っていたのか」
「どの時点から何が仕組まれていたのか」
分からないことは数多く残っています。
そして、この2019年12月24日を境に、話はC社だけでは終わらなくなっていきます。
その後、E社、F社、G社、警察、そして多くの関係者を巻き込みながら、次々と思いもしなかった事実が出てくることになります。
当時の私は、まだ知りませんでした。
この一本の電話が、その後の会社と自分自身を大きく変える事件の始まりになることを。