ラオスで6日に始まったASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議では、南シナ海問題をめぐって、インドネシアからこの海域が不安定化することへの強い危機感が示されるなど、活発な議論が行われ、国際法に基づく解決が重要だという認識で一致したということです。ASEANの一連の首脳会議は6日から3日間の日程で、ラオスの首都ビエンチャンで始まりました。初日はASEAN10か国の首脳による会議が開かれ、中国が人工島の造成など海洋進出を加速させている南シナ海の問題が焦点となりました。インドネシアのルトノ外相は6日夜、記者団に対して、会議の中でジョコ大統領が南シナ海情勢について、最近、劇的な変化が起きているとして、この海域が不安定化することに強い危機感を示したことを明らかにしました。そのうえで、会議では南シナ海の安定の行方を大国が握ることのないよう、ASEANの結束を呼びかけるなど、活発な議論が行われたということです。また、関係者によりますと、各国は法的拘束力を持つ行動規範の策定に向けた交渉を加速させることや、国際法に基づく解決が重要だという認識で一致したということです。安倍総理大臣は、ASEAN=東南アジア諸国連合関連の首脳会議に臨み、中国の海洋進出を念頭に東シナ海や南シナ海で一方的な現状変更の動きが続いているとして懸念を表明したうえで、法の支配の徹底の重要性を指摘し、各国に協調を求めることにしています。ラオスの首都ビエンチャンを訪れている安倍総理大臣は7日、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する10か国の首脳との会議や、ASEANに日本、中国、韓国を加えたASEAN+3の首脳会議などに臨む。また、8日は日本、アメリカ、中国、ロシアなどとASEANの首脳が政治・安全保障分野の課題を討議するEAS=東アジアサミットなどに出席することにしています。一連の会議で安倍総理大臣は海洋の安全保障に関して、G7伊勢志摩サミットで、「国家は法に基づいて主張を行い、主張を通すために力や威圧を用いず、紛争解決には仲裁を含む平和的解決を追求する」ことで一致したことを説明することにしています。そのうえで安倍総理大臣は、中国の海洋進出を念頭に、東シナ海や南シナ海で一方的な現状変更の動きが続いているとして懸念を表明したうえで、法の支配の徹底の重要性を指摘し、各国に協調を求めることにしています。また、安倍総理大臣は北朝鮮の弾道ミサイルの発射や、各地で頻発するテロなども取り上げ、これらの課題に対処するため、各国の緊密な連携を呼びかけることにしています。一方、安倍総理大臣は会議の合間に、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領、オーストラリアのターンブル首相、ベトナムのフック首相などと個別に会談することにしています。このうち、パク大統領との日韓首脳会談で安倍総理大臣は、慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づいて、日本政府として10億円を拠出したことを踏まえ、合意を着実に履行し、関係をより強固なものにしていきたいという考えを示すことにしています。ラオスを訪れているオバマ大統領は6日午後、およそ1000人を前に演説しました。この中で、オバマ大統領は「アメリカのアジアへの関与は、これまでになく深まった」と述べて、同盟国の日本や韓国、フィリピンに加えベトナムやミャンマーなどとも関係を強化し、外交や安全保障、経済のいずれの分野でもアメリカの関与を強めたと総括し、みずからのアジア重視政策の成果を強調しました。そのうえで、海洋進出を強める中国を念頭に「大きな国が小さな国を押さえつけるべきではない」としたうえで、「アメリカは東シナ海や南シナ海で国際法が許す場所であれば、どこででも飛行し、航行し、作戦を行う。そして、同様の行動をする、すべての国々の権利を支援する」と述べて、航行の自由作戦を継続する姿勢を示し、中国を強くけん制しました。また、オバマ大統領は任期中に議会の承認が得られるか、不透明になっているTPP=環太平洋パートナーシップ協定については、「TPPはアメリカだけでなく、この地域にとって重要なものだ。TPPが前進しなければ、経済的な影響にとどまらず、アジアにおけるアメリカのリーダーシップを疑われる事態となる」と述べ、反対論が強まっているアメリカ議会を説得し、承認を目指す考えを改めて示しました。安倍総理大臣は、日本時間の7日午後2時半前から、ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する10か国の首脳との日・ASEAN首脳会議に臨みました。この中で安倍総理大臣は、中国の海洋進出の強化について「ここ数か月を見ても、東シナ海、南シナ海においては、一方的な現状変更の試みが続いており、深刻に懸念している」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、南シナ海をめぐる国際的な仲裁裁判で中国の主張が認められなかったことについて「国連海洋法条約上、当事国を法的に拘束する。中国、フィリピンの両当事国が、この判断に従うことにより、紛争の平和的解決につながっていくことを期待する」と述べました。また安倍総理大臣は、中国が当事国ではない日本が南シナ海の問題に関わるべきではないと主張していることを踏まえ、「南シナ海の領有権自体は当事国間の問題であるが、南シナ海は日本にとって死活的に重要なシーレーンであり、地域全体の平和と安定にとっても重要な問題だ。中国とASEANの対話を歓迎するが、対話は国際法に基づき、現場における非軍事化、自制が維持されることを前提に行われるべきだ」と述べ、国際法の下で平和的な解決を目指す重要性を指摘して理解を求めました。このほか、各地で頻発するテロへの対策として、ASEAN諸国をはじめとするアジア各国に対し今後3年間で450億円の支援を行うとともに、2000人規模の人材育成を行う方針を表明しました。会議に同席した政府高官によりますと、南シナ海をめぐる問題について、複数の首脳から、国連海洋法条約などの国際法に沿った紛争の平和的な解決、緊張を高める行為の自制などを求める発言がありましたが、中国を名指しする国は無かったということです。また、東シナ海の状況について、日本を除く1か国から、航行の自由の重要性を指摘する意見が出たということです。ASEANの一連の首脳会議では、最終日の8日、日本やアメリカ、それに中国など合わせて18か国の首脳が参加する東アジアサミットが開かれます。調整中の議長声明案は、焦点の南シナ海の問題について「複数の首脳が南シナ海での最近の状況に引き続き深刻な懸念を抱いている」としたうえで、「紛争を国際法の原則に基づいて、平和的に解決することの重要性を強調する」としています。ただ、南シナ海をめぐる中国の主張を否定した、ことし7月の仲裁裁判の判断については言及しておらず、ASEAN内部の意見の対立を反映し、踏み込んだ表現は避けた形となっています。また、朝鮮半島情勢について、声明案ではことしに入って北朝鮮が行った核実験や事実上の長距離弾道ミサイルと潜水艦発射弾道ミサイルの相次ぐ発射に「深刻な懸念を共有した」としたうえで、「北朝鮮に対して、国連安保理決議に従うよう強く求める」としているほか、拉致問題を解決することの重要性も強調しています。