日本財団は19日、同財団の笹川陽平会長(77)が熊本城の再建資金の提供を含む熊本地震への緊急支援策を発表した。同財団は15日に被災地での支援活動経験を持つ職員4人が救助犬とともに熊本入りし、被災地の状況を調べた。「発生当初は人命救助が最優先。警察や消防、自衛隊などの領域で民間が入り込む余地はない。ただ、救助犬は救助活動では欠かせないので派遣した」。発表された緊急支援策は、障害者や高齢者、乳幼児などへの支援と非常用トイレ500台の配備に3億円▽NPO、ボランティア活動支援に10億円▽家屋損壊に対する1世帯20万円の見舞金の支給に20億円▽住宅・事業再建資金のための融資制度創設に30億円▽熊本城再建のための支援に30億円--の5項目で、計93億円。熊本城支援再建には、今も続けている東日本大震災における支援の経験があるという。「東日本大震災への支援では、漁師が海に魚を取りに戻れないと涙を流す姿を報道で見て、1億円以下の漁船を買うための資金を15年間無利息で貸し出した。漁が再びできることに喜ぶ漁師の姿を見て、明るい話題は必要だと思った」。さらに支援策として、祭りや鎮守の森の復興に約180件支援した。「絆の原点は祭り。復興途上の故郷に人々が戻り、喜び合う姿があった」。熊本城は被災前に89億円もかけて県民の浄財で再建した県民の象徴。「被災者の気持ちが落ち着けば、城再建のプロジェクトが立ち上がるだろう。城も立ち上がってがんばるぞとなれば、全国レベルで支援の輪が広がる」。熊本城再建について時期尚早ではないかという声については「食うや食わずで家に帰れず車の中で避難している時だから批判は出るだろう。批判は甘んじて受ける。しかし、県民の誇りである熊本城の再建はいずれ県民の喜びになるだろう。被災者には夢や希望も必要だ」。当面の支援について「災害で最初に問題となるのはトイレの問題。建設現場にあるような仮設トイレは、段差があって車椅子の人やお年寄りには使いにくい」。そこで、まず1台30万円の非常用トイレを500台、1億5000万円分提供することにした。また住宅を失った人に対しては「罹災(りさい)証明が出たら、家屋が損壊した世帯には全壊、半壊を問わず、借家住まいの方も含めて、罹災証明書を出せばすぐに見舞金を出すことにしている。行政機関で罹災証明を早く発行してもらって、受け取ってほしい」。「地域の金融機関と連携した住宅や事業再建資金の無利息無担保の融資や、簡易的な手続きでNPOを支援する資金も用意した」「私自身、終戦直後に手元に現金がなく苦労した。現金を持っていないことのつらさは想像を絶するものがある」。同財団は災害支援のために、2014年から毎年50億円ずつ積み立てて、300億円規模の災害復興支援特別基金を創設することにしていたが、その途上で熊本地震は起きた。笹川氏は「こんなに早く使うことになるとは思わなかった」。今後については「東日本大震災の時は支援も縦割りになり、効率的ではなかったのではないかと感じていたので、横の連携を強化したい。パラリンピックでボランティアセンターを作った経験をもとに熊本県知事にお願いして『日本財団災害支援センター』(仮称)を設置することにしている」。1995年に起きた阪神・淡路の大震災以来、同財団はこれまでに48回の支援を行っており、「被災者のニーズが刻々と変わることは承知している。今後も第2弾、第3弾の支援策を打ち出していく」