白紙撤回された新国立競技場の旧整備計画の問題点について、文部科学省の検証委員会(委員長=柏木昇・東京大名誉教授)は24日、報告書をまとめた。「国家プロジェクトに求められる組織体制を整備できなかった」として、事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長や監督官庁の下村博文文科相、文科事務次官に責任があったと言及した。2013年9月の東京五輪・パラリンピック開催決定から4カ月間が、計画をゼロベースで見直すタイミングだったとも指摘した。下村文科相は同日、記者団に対し「責任の取り方は25日の閣議後記者会見で発表する」「報告書で進退問題は言及しているとは承知していない」と述べれいた。河野理事長は任期が満了する今月末に退任する意向を正式に表明した。報告書は計画撤回に至った理由として、(1)関係団体トップらでつくるJSC有識者会議など集団的意思決定システムによる硬直性(2)複雑な事業を既存の縦割り組織で対応(3)消極的な情報発信--の3点を挙げた。その上で、JSCについて「当事者としての能力や権限が無いのに大変難しいプロジェクトを引き受けた」と指摘し、文科省を「JSCへの管理監督が不十分だった」と批判した。旧計画は、12年7月の国際デザインコンクール募集開始時に工事費を1300億円と想定し、ザハ・ハディド氏の案を採用した。設計会社が五輪開催決定直前の13年7~8月に工事費を3462億円と試算し、直後に工事費1358億円など七つのコンパクト化案が出されていた。これを踏まえ検証委は、開催決定から13年末が見直しのタイミングだったと判断した。JSCは14年5月の有識者会議で、政府が設定した1625億円で工事費を公表したが、13年7月時点の労務・資材単価、消費税率5%で計算していた。検証委は「物価上昇等を加えた額がどの程度超えた場合、工事費・性能を再検討するといった議論を文科省やJSCで行った形跡はない。何とかなるのではとの期待感があった」と批判した。検証委は8月7日の初会合後、下村文科相ら30人に聞き取り調査した。柏木委員長以外の委員は、国井隆氏=公認会計士▽黒田裕氏=弁護士▽為末大氏=元陸上競技選手▽古阪秀三氏=京都大工学研究科教授▽横尾敬介氏=経済同友会専務理事。