ギリシャのチプラス首相が国際通貨基金(IMF)の債務を返済しない可能性を示唆し、財政破綻に陥る恐れが一段と強まった。ギリシャ経済は混迷を深め、国際金融市場の混乱も懸念される。ギリシャには、30日が期限のIMFへの債務返済に続き、7月と8月にも欧州中央銀行(ECB)への巨額の国債償還が控えている。IMFへの返済が遅れた場合、市場は事実上のデフォルト(債務不履行)と見なし、ギリシャ国債のパニック売りにつながる恐れもある。預金流出で資金難にあえぐギリシャの銀行は、営業停止に追い込まれた。保有する同国の国債価格が急落すれば、経営基盤を揺るがすことになる。民間企業の経営への悪影響も避けられない。前週の金融支援の協議決裂は、世界的な株安を招いた。投資家はリスク回避姿勢を強めている。EUやギリシャが打開策を見つけなければ、世界的な危機に発展しかねない。欧州連合(EU)の対ギリシャ金融支援期限切れが翌日に迫った29日夜、アテネ市中心部の広場は1万人規模の人々で埋め尽くされ、EU側の財政再建案への賛否を問う7月5日の国民投票で「ノー」を投じようと声を上げた。賛否の世論は割れているが、銀行の営業停止という異常事態に見舞われた国民の間には政府への失望感が膨らんでいる。世論調査では、EUの強いる緊縮策を受け入れてもユーロ圏残留を望む声も多い半面、広場に集まった拒否派は意気軒高。「EUとの決別を」との横断幕が掲げられ、中年の男性は「失うものはもう何もない」と決意の表情を示した。街角には、29日から始まった銀行の営業停止や預金引き出し制限などで、「結局、重荷を背負うのは国民だ」「ギリシャは袋小路に追い詰められた」と悲観論。アテネ市内中心部のカフェでは「いつもは満席だけど、今日はがらがらだ」と店員のディミトリス・ペパスさん(23)がため息をついた。「ユーロ圏に残留しても旧通貨ドラクマが復活しても、国民生活が苦しいのは同じ。崖っぷちに立たされ、将来への展望はない」と嘆いた。
銀行の閉鎖による目立った混乱はなく大半の国民は平静を保っているが、午後になって稼働した現金自動預払機(ATM)に預金を引き出しに来たイリアス・バシリアーディスさん(28)は「わらをもつかむ思いでチプラス首相を支持したが、期待は裏切られた」と批判。給与の支払いが滞らないか不安を募らせていた。(共同)