22日、衆院特別委員会で参考人として意見陳述した歴代の内閣法制局長官2人が、安全保障関連法案の内容を強く批判した。それでも政府与党は法案の今国会成立へ、明日24日までの会期を9月27日まで95日間、延長すると決めた。憲法や法解釈を熟知し、「法の番人」といわれる内閣法制局長官。経験者2人が、衆院平和安全法制特別委員会の意見陳述で、首相の肝いり法案を酷評した。第61代長官の阪田雅裕氏は、首相が集団的自衛権の行使例とする中東・ホルムズ海峡の機雷封鎖に関し「中東有事にまで出番を広げるのは限定的行使ではない。従来の政府見解を明らかに逸脱する」と指摘。「集団的自衛権行使は進んで戦争に参加すること。国民を危険にさらす結果しかもたらさない」と指摘した。第1次安倍内閣時代にも長官を務めた第62代の宮崎礼壹氏は、さらに厳しい。「集団的自衛権の行使容認は、限定的なものも含め憲法9条違反。法案の該当部分は速やかに撤回すべき」と要求。「集団的自衛権行使が憲法9条で認められないのは、確立した解釈。政府が覆すのは法的安定性を破壊する」とも述べた。歴代長官の意見について、参院決算委員会で感想を求められた首相は、「政治家は常に必要な自衛の措置は何か、どこまで認められるのか考える責任がある」と、直接答えなかった。世論の反対も強い法案は、衆院通過の見通しが立たない。首相は、9月27日までの会期延長が決まり「丁寧な説明を心掛け、成立を目指したい」と強調。本会議前の代議士会では「もとより議論百出は覚悟の上だ」と述べた。ただ自民党の谷垣禎一幹事長は、「(当初は)とにかくお盆前までに(成立)というお気持ちが強かった」と明かした。大幅延長の真の目的は「時間稼ぎ」。参院で議決できなくても、衆院の3分の2以上で再議決できる「60日ルール」を目指す。与党には、数を握る衆院再議決が「最終決戦場」(関係者)だが、現段階の審議時間は目標の7割の約54時間。9月下旬には自民党総裁選も控え、首相の再選戦略にも影響しそうだ。野党は「60日ルール」が適用できないよう衆院採決を遅らせ、法案廃案と政権への打撃をもくろむ。