クレージーキャッツのメンバーとして活躍し、「ガチョーン」などの流行語を生み出した谷啓(たに・けい、本名渡部泰雄=わたべ・やすお)さんが11日午前5時7分、脳挫傷のため東京都三鷹市の杏林大病院で死去した。78歳。東京都出身。関係者によると、10日午後6時ごろ、三鷹市の自宅の階段で転落して頭などを強く打ち、同病院に搬送されていた。中央大在学中からシャープス・アンド・フラッツなどの楽団でトロンボーンを担当。1956年にハナ肇さん率いるクレージーキャッツに参加した。芸名は米喜劇俳優ダニー・ケイさんをもじって付けた。59年に始まったテレビ番組「おとなの漫画」、60年代に大ヒットした「シャボン玉ホリデー」などで、クレージーキャッツの中でも植木等さんに次ぐ人気者に。よくしゃべる陽性のキャラクターで売った植木さんに対し、口数は少ないながら急所で笑いを取る役どころで存在感を示した。「ガチョーン」で一世を風靡したほか、「ビローン」「谷だあ」などのギャグも連発。映画「クレージー作戦・くたばれ!無責任」(63年)などの「無責任」シリーズで好演したほか、「図々しい奴」(64年)では主役を務め、演技力を高く評価された。70年代以降は「寺内貫太郎一家」「浮浪雲」などテレビドラマに多数出演。映画「釣りバカ日誌」シリーズや、舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」でも名脇役ぶりを見せた。クレージーキャッツの一員で俳優の犬塚弘さん「クレージーキャッツの中では、谷啓さんは自慢話もせず、目立たないように振る舞う人で、お互い酒が飲めないこともあってとても気が合った。やさしくて、周囲に気を使い、いつも静かに楽しませてくれた。昨年、テレビ番組の収録で久しぶりに会ったが、目を合わせ「うん」とうなずくだけで、すべてを分かってくれた。大切な友が突然、消えてしまった。寂しい」西田敏行さん「日本のエンターテインメントの世界で、素晴らしい足跡を残した偉大なる先輩です。アメリカのダニー・ケイをこよなく敬愛し、ご自身の芸名を谷啓とまでした谷啓さんの人柄と、トロンボーンの音色を決して忘れません」コラムニスト泉麻人さん「谷啓さんは、クレージーキャッツの映画でも割ととぼけた感じで人が良く、女性と恋仲になるモテ男の役を演じることが多かった。クレージーの音楽を支えたのも谷さんで、ネタに使える音楽を持ってきてはアレンジしていたといわれる。東京っ子の私が子どものころ、初めてはまったお笑いがクレージーだった。ハナ肇さん、植木等さんが亡くなり、今度は谷さん。寂しいですね」