今回の北大阪地震では,学校のブロック塀の問題が指摘されていますが,今までにもブロック塀に,「何かおかしい」,「こんな構造で地震や台風などが直撃したときに大丈夫だろうか?」といった疑問・不安は生じなかったのでしょうか?

私は建築などについては全くの専門外ですが,そのような漠然とした不安や異常を感知していれば,今回のような悲惨な事態を防ぐことができなかったのかな,と素人なりに思います。

また,建築基準法違反の状態であったとのことから,万一のときには大変な危険を生じるかもしれないということに思い至らなかったのでしょうか。

 

労災における経験則に,「1件の大きな事故・災害の裏には,29件の軽微な事故・災害,そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした,ハッとした事例)がある」というものがあり,報告者ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏の名をとって「ハインリッヒの法則」と呼ばれています。

そして,ヒヤリ・ハット事例の報告を蓄積することで,大きな事故・災害を防ぐことの重要性が認識されており,医療現場などでも同様のことが言われているようです。

 

また,自動車の運転でも,楽観的な(慎重さを欠いた)予測に基づいて行動する「だろう運転」を戒め,より悲観的な(慎重な)視点から様々な可能性を想定し,十分な余裕(安全マージン)を持って運転する「かもしれない運転」の必要性が説かれています。

 

今回のブロック塀の件でも,「ヒヤリ・ハット」,「かもしれない運転」への認識があれば,尊い人命が失われることは避けられたのではと思います。