最近,世上をにぎわせています先日のアメリカンフットボールの試合の件ですが,実際に監督・コーチから,選手に対して「相手のクオーターバックを,違反プレーをしてでもつぶせ」というような指示が出ていたとすれば,非常に残念であり,何のためのスポーツかということから問い直さなければならない由々しき問題であると思います。
本来,試合を通じて互いを高め合い,絆を深くしていくことがその本旨ではないでしょうか。相手も,同じ種目を志し,互いに高め合う仲間・同志のはずです。そのような相手に対し,心身に大きなショックを与え,選手生命さえ危うくするような違反行為を施すことがどうしてできるのでしょうか。
剣道では,「交剣知愛」―剣を交えて愛(お)しむを知る―という言葉があり,剣道を通じて互いに理解しあい,人間的な向上をはかることの重要性がいわれています。
私も人のことを偉そうに言えたものではありませんが,強い相手に堂々と立ち向かって勝ち得た勝利こそ,実力で得た真の勝利のはずです。相手が強いから,格上だからといって,逃げるならまだしも,卑怯な手を用いて試合不能に陥らせるのであれば,仮に勝ったとしても,それは実力で得た勝利であるはずがありません。互いに理解しあい,人間的な向上をはかるゆえんではないでしょう。
どんな手を用いても,とにかく目先の利益をたくさん得たものが偉いという浅ましい精神が拡散しないことを祈ります。それは延いては,人の器量を小さくし,国を亡ぼすもとですから。