法律というものは,その分野によって多少の差はあるものの,ある程度定型化されたものであり,相応の射程範囲を有するものです。
刑法の構成要件はいうまでもなく,民事分野でも,契約類型などは相当に定型化された規定だといえるでしょう。
他方,人間社会に起こる様々な問題は,必ずしも典型的なものとは限らず,実に個別性が強いものです。二つとして同じものはないと言って良いでしょう。
そこで,定型的な法の規定を,個別性の強い具体的事案にどう適用して解決を図っていくのかが,難しくまた興味深いところといえるでしょう。それほど種類の多くない原材料からヴァラエティに富んだ料理を作ったり,学生が制服を自分に合うように着こなすのにも似ているかもしれません。
ハードケースに出くわした場合,いくつかの制度の組合わせによって妥当な解決を図ったり,制度趣旨に遡って射程範囲を考えたりするところですが,そのような苦心が新たな立法の契機になることもあり,そのあたりの消息もあれこれと考えさせられることは多いものです。