防衛行為の相当性については,「武器対等の原則」の観点から評価されると論じられることがあります。

これは形式的に,「素手対素手」,「鈍器対鈍器」といったものではなく,攻撃者の攻撃に対して,防衛者が実質的にみて,それと同等を超えるような手段に出なかったかということだといえます。

 

「武器対等」というキーワードはわかりやすく,かなり説得力のあるものだと思われますが,具体的な場合に「対等」といえるかどうかは,諸事情を丁寧に判断していかなければならないことが少なくないでしょう。

攻撃の執拗性,防衛者の心理状態,他に取りうる手段などが十分考慮される必要があります。特に,攻撃者の死亡や重傷といった重大な結果が惹起された場合になお,防衛行為が相当なものだったと評価されるかどうかの判断には,実質的な観点からの慎重なものが求められるでしょう。

なお,最高裁判例が「刑法三六条一項にいう「已ムコトヲ得サルニ出テタル行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃行為が、自己または他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを意味するのであつて、反撃行為が右の限度を超えず、したがつて侵害に対する防衛手段として相当性を有する以上、その反撃行為により生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大であつても、その反撃行為が正当防衛行為でなくなるものではないと解すべきである。」(昭和44年12月4日刑集23巻12号1573頁)と判示していることは大変重要です。