交通事故における過失割合については,現在,いわゆる『赤い本』や『別冊判例タイムズ』に類型別のものが載せられており,概ねそれによって処理されています。
ただ,その類型に必ずしも当てはまらないケースが時としてみられ,それが問題を非常に複雑にしています。
例えば,駐車場内における事故や,道路状況が特殊な場合などであり,双方がそれぞれの言い分を主張しますから,交渉でも裁判に至った場合でも非常に紛糾することが多いのです。さらに,物損扱いとなって事故状況も正確に再現できないとなると,益々訳が分からない事態に陥ってしまいます。
そのような場合,類似の類型のどれかに準えて判断する,2つの類型の中間をとって決定する,あるいは類型別の表をいったんは忘れて考えるといったやり方がありえます。
どちらの類型に当てはまる(あるいは類似する)と判断されるかによって過失割合が大きく変わる場合もありますから,慎重な判断が求められます。例えば,駐車場から出てきたA車が,直進を開始したところで後続のB車から衝突を受けた場合,Aを路外出入車とみれば,A:B=8:2程度になる一方,追突事故と評価すれば基本的にA:B=0:10です。この場合,Aが完全に直線道路に入っていたか,Bとの衝突を回避する可能性が現実的にどのくらいあったかなどにより,個別具体的に判断することになるでしょう。