少し前に、実況見分調書や医師の診断書など、書面として確定した証拠が、裁判の事実認定の上で重視されることと、それが行き過ぎた場合の問題点をお話しましたが、書かれたものが重視されるのは、特に類型的に信用できる書面の場合、それに沿って認定しておけば、大きな間違いはないだろうという意識が、裁判官にはあると思われます。

ですから、同じ「書かれたもの」であっても、より客観的な証拠と明らかに矛盾する記載があれば、それは排斥されます。例えば、肩関節の可動域について、半分しか上がらないと記載された診断書があるにもかかわらず、同時期に同一人物が、腕を真上にまで上げている(それも複数回、苦もなく)ヴィデオが証拠として提出された場合、診断書の記載は可動域の実態に反すると認定されるでしょう。
また、給与明細書も、官公庁や大企業などの発行するものは信用性が高いとされますが、中小零細企業や個人事業主の発行するものは一応疑って見られることも少なくないようです。

書かれたもののうちでも、「類型的に信用できるものか?」という観点からの選別は事実上、大きな意味を持つと思われます。