豪州とのFTA見送り
つい最近オーストラリアとのFTA(自由貿易協定)締結を見送るという発表がなされました
FTAとは簡単に言えば締結国間で関税などや労働力受け入れなどで
非常によい条件を認める条約のことです
現在、メキシコ、シンガポールと締結されています
このFTA、単に貿易上の戦略だけでなく経済地域統合の動きとも密接にかかわってきます
まず一番表面に見える貿易上の話ですが、日本としては工業分野に関しては
他国よりも競争力が高いので制限を小さくしたいと考えますが、農業分野に関しては
非常に危機的なので関税など制限を守りたいと考えます
実際、経済産業省を始め産業界からはFTA早期締結を求める声が上がり、
農水省からは農業分野の制限は譲れないという声が上がっています
しかし、多くの国は農業製品を日本に買ってもらってさらに、
労働力を受け入れてほしいと考えていますので日本の貿易戦略と真っ向から衝突します
このことから日本はFTA交渉でなかなか成果を上げられていません
さらに、韓国とは交渉中だったにもかかわらず日韓関係のもつれから頓挫しています
では、なぜ日本にとって貿易戦略上あまり好ましくないFTA交渉を続けるのでしょうか?
ここで登場するのが、第二の側面である地域統合への布石という性質です
現在EU型の地域統合へ時代は動き始め、アジアでもそのような構想は広がっています
このとき、より多くの国とFTAを締結しておくことは経済統合によりスムーズに移行できるだけでなく
アジア内での存在力を高める役割を果たします
少し考えればわかるとおりFTAの存在は両国間が非常に友好的な関係であることの証明ですから
より多くの国と結んでいれば地域統合時にイニシアチブ(主導権)を取ることができます
以上の観点からアジア各国とのFTA交渉は非常に重要であることがわかります
では、アジアではないオーストラリアとのFTA締結見送りに関してはどうでしょう?
これについては原因が問題で、日本の農業が障害となっていることが浮き彫りになりました
これはすなわち、これからも農業の分野のせいでFTAが破局するケースが
たくさんでるのではないだろうか?という懸念=これからのFTA交渉の行方への不安につながります
(もちろんこの見送りで経済的にも大きな市場をつかみ損ねたことになるので残念な結果といえます)
このように貿易戦略上だけでなく外交戦略上非常に重要なFTA交渉を皆さんも関心を持っていくことが重要だと思います
(余談ですがメキシコとのFTA締結で豚肉の価格がかなり安くなる可能性があるようです)
ちなみに最近ではFTAをさらに拡大したEPA(経済連携協定)も登場していますので
こちらにも注目ですね