年始のお料理は、とりあえずおせちとお雑煮を作るようにしています。おせちと言っても近所の市場が終わる間際におつとめ品を買い漁って、ささっと作るくらいのものですけれども。それでも、こういったハレの日の料理はいつもよりちょっとだけ気合いが入ります。
土井善晴氏は著書の中で「暮れになると一年の『反省』と『礼』をこめて、人が集まり、『けじめ』というか『決着』をつける気分になる」(『おかずのクッキング 2011年 01月号』より)と表現していましたが、そんなところなんでしょうかね。
私のお雑煮は関東風のもの、焼き餅にすまし汁を合わせたものと決めています。
徳島の実家で出されるお雑煮は、味噌仕立てで丸餅をドロドロになるまで煮込んだものでした。餅だけでなく汁までも喉にまとわりつくような感覚が私にはどうしても好きになれず、かといってご飯を炊いてもらえるわけではなかったので、正月は常に腹を空かしていました。
というわけで実家を出てからというもの、年末年始に帰省したことは一度もありません。
しかし、大学進学で家を出て、関東風の煮込まないお雑煮を初めて知ったとき、さらっとしていて何てスタイリッシュなんだと感動したものでした。それ以来お正月では必ず作るようにしています。
【鶏のお雑煮すまし仕立て(4杯分)】
・材料
だし汁(鰹と昆布の合わせだし)…4カップ
角餅…8個
鶏もも肉…1/2枚
かまぼこ…1/2本
三つ葉…少々
ゆずの皮…少々
薄口しょうゆ…小さじ1
塩…小さじ1
・作り方
1. 鶏もも肉は皮と余分な脂を取り除き、一口大に切り、熱湯にさっとくぐらせて霜降りにする。かまぼこは5mm程度の薄切りにする。三つ葉は結び目を作る。
2. 鍋にだし汁、かまぼこ、1の鶏もも肉を入れて火にかけ、あくが出たら取る。
3. 並行して、角餅はオーブントースターで両面に焼き色がつくまで焼く。
4. 2の鍋に塩を入れて味を調え、火を止めて薄口しょうゆを加える。
5. 器に焼いた餅を入れ、4の吸い地を上からかける。仕上げに三つ葉とゆずをあしらう。
鶏肉の脂分を控え、すっきりとさせました。元日のお食い初めでは皮や脂を取らずにそのまま煮ることもあるのですが、二日三日と続くとさすがに疲れてきます。なので、正月から日が経つにつれて、あっさりとした味に仕立てていきます。
年始のお料理をしつつ、合間に今年を振り返ることがあるのですが、とにかく今年は大変な一年でした。
東日本大震災もそうですが、震災をきっかけに人の業とも呼べるものがあらわになり、これらを見るにつけ何ともやるせない気持ちになったものでした。
私自身も5年近く勤めた会社を退職し、自分で決断したこととはいえ不安で心細い日々が続きました。
来年は良い年になるのか、それとももっと悪くなるのかわかりませんが、とりあえず、美味しいものを作って、食べているうちは、まあ何とかなるんじゃないでしょうか。
来年も、おいしいものが皆さんの側にいつもありますように。
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