リスクを最小にするのか、リターンを最大にするのか、それとも… | masamasaのブログ

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リハビリのこと、庭のこと、コペンのこと

病棟での高齢者のリハビリでは、リスクを最小にすることに注意が向きます。

例えば、認知症があって転倒歴がある場合、退院してもとの生活に戻れば間違いなく転倒します。

入院するほどの「激しい症状」が出て、それをお薬で調整しているわけですから、どんなに入院中にリハビリで歩行能力を強化しても、転倒の危険性は「激しい症状」がでる前よりも確実に高くなっています。

5年ほど前、そういうケースに出会いました。

徘徊・転倒を繰り返していた認知症の患者様です。入院中に服薬調整し、症状は落ち着きましたが廃用症候群で歩行が余計に不安定になりました。歩行練習により、伝い歩きはできるようになりましたが、自宅に退院してデイケアに通所することになったので、通所先の理学療法士には次のように申し送りました。

<認知症の程度と運動機能から考えると、歩行による生活は危険と思われる。車椅子生活を前提としてリハビリプログラムを組んでほしい>

通所先の理学療法士から返事がきました。「歩く能力はまだまだ向上すると見込んでいる。利用者様のQOL向上のためにも、歩行自立を目指していく」

退院後、デイケアでの積極的な個別リハビリと、フロアスタッフを巻き込んで歩行の機会を増やす「生活リハビリ」で、杖を使用して見守り歩行が可能となったそうです。ただ、自宅ではよく転ぶらしく、顔や腕はアザだらけでした。それを本人も家族も理学療法士も承知の上で、歩行自立に挑戦していたようです。数ヵ月後、自宅で転倒・大腿骨の骨折で入院、その後施設入所となりました。


何が正しかったのか、今でもわかりません。病院にいると、リスクを減らすことに注意がいきますが、在宅に関わっていると、リターンを増やすことに目がいきます。

どちらが正解というのはないのかも知れないですが、重要なのは、本人が何を望んでいるのかということだと思います。




本人の望む形で、新たな幸せを叶えてほしいものです。