核燃料サイクルの本来の狙いは、取り出したプルトニュームを高速増殖炉で再利用し、投入した以上のエネルギーを得ることだった。だが、その原型炉である もんじゅ(福井県)が95年のナトリウム漏れの事故から停止したまま技術的にいきづまり、高速増殖炉計画は現在頓挫している。

 政府と電力業界は今年7月、今世紀後半に高速増殖炉が本格導入されるまで、MOX燃料のみを使う 「フルMOX」軽水炉が28%を占めるとの将来見通しを発表した。建設中の電源開発大間原発(青森県)で14年11月に「世界初のフルMOX発電」に乗り出す予定。

    *フルMOX=全炉心にMOXを装荷する(効率は高いが危険性が高い)

    *MOX装荷率約30%=現在日本、フランス等で導入されているプルサーマル


 使用済みMOX燃料の処分先も決まっていない現状で、見切り発車的に佐賀県の

九州電力玄海原子力発電所が11月5日に試運転に入った。MOX燃料を使う国内初の「プルサーマル発電」となる。今回の始動は政府と電力会社が描く核燃料サイクルの輪の一つが動き出したに過ぎないが 「日本の原子力発展、エネルギーの安定供給にとって意義ある大きな一歩だ」と、経済産業省の近藤洋介政務官は述べている。

 日本では、経済性や安全性から軽水炉の2つのタイプ、沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)が使われている。沸騰水型原子炉は、米ゼネラルエレクトリック(GE)の技術を導入した日立製作所と東芝が製造しており、加圧水型原子炉は米ウエスチングハウス(WH)の技術を導入した三菱重工で製造されている。しかし、2006年に東芝がウエスチングハウスを買収したことで業界再編が進んでいる。

 日本の原子力発電は、需要に合わせて電気出力を増減(負荷追従運転)は行わず、常時一定の電力供給を専門としている。これはチエルノブイリ原子力発電所の重大事故の原因が負荷追従運転の実験であった事に起因している。夜間など電力が余る時間帯は原子力発電電力を揚水発電所へ送って、ダムに水をくみ上げ昼間の発電に備える工夫で対応している。しかし、負荷追従運転が出来ないのは経済性から言えば無駄である。現在原発先進国フランスでは商用原子炉で負荷追従運転が認可されている。

 尚、日本の電力会社での全発電量に占める原子力発電比率(2000年度)は、NEDOの資料によれば、北海道電力:29%、東北電力:15%、東京電力:45%、 中部電力:23%、北陸電力:18%、関西電力:53%、中国電力:15%、四国電力:

48%、九州電力:52%、沖縄電力:0%、となつている。

 尚、増え続ける使用済み核燃料に含まれるプルとニュームの処理方法とウラニュームの輸入量を減らすための解決策となる、高速増殖炉計画は、技術的な困難さのため頓挫している。現在はMOX燃料によるプルサーマル計画が進められているが、これには賛否両論がある

 

 12月7日から約2週間にわたってコペンハーゲンにて開催されたCOP15が閉幕して感じたことは、期待が大きかっただけに、拘束力のない「承認」という形にとどまった事は、2012年で期限が切れる京都議定書以降(ポスト京都)の地球の姿を描く重要な転換点だっただけに、非常に残念な結果だった。

 京都議定書では世界の排出の4割以上を占める米国と中国に削減義務が課せられていない。このままでは、地球規模の削減に実効性を持たせることは不可能だ。

 京都議定書から空白期間なしに次の削減行動に移すには、COP15で新議定書につながる政治合意が最低限必要だった。合意には、2050年までの長期目標、先進国と、途上国の中期目標、更に、途上国への資金援助や、温暖化の被害を軽減する対策等が盛り込まれる必要があった。

それなのに、合意が採択出来なかった背景には、先進国と途上国の根深い対立がある

 BRICS等の新興国に先進国と同等の削減義務を負わせるのは難しい。しかし、経済発展に伴い急速に排出量を増やしている中国やインドが削減責任を負わなければ、公平性に欠ける。

 そこで重要となるのが、全ての削減を「測定・報告・検証」する透明性確保の仕組みだ。ところが、中国はこれを拒否し、自らが削減義務を負わない京都議定書の延長に固執した。国際的枠組みの中で、責任を明確にしないこの態度は、経済発展を遂げる大国にふさわしくなく、これは、米国の出方を見ての駆け引きでもある。

 米国の弱さはCOP15直前に「05年比17%減」を提示したが、この数値は90年比4%の削減に過ぎず、途上国から批判を浴びる始末。又、議会で審議中の温暖化対策法案の足かせもあり、中国に対して一歩踏み込んだ交渉も出来なかった。

 最大排出の、両大国がこのような後ろ向き名取り組みでは、前途多難であるが両国が同じ国際舞台で問題意識を共有したことは、せめてもの一歩前進と考え、今後に期待したい。