待望のGM完成品での非軽量車が発売となった東急8500系ですが、既に先行して鉄道コレクションで非軽量車が製品化されていたのは皆様ご存じの通りと思います。
同じプロトタイプ選定とはいえメーカー違い、果たしてどちらがどんなもんなのかということで、今回は両方を眺めて比較してみましょう
基本的な部分は過去のレビューで触れていますので、比較以外の製品仕様に関しては↑の記事をご覧いただけると幸いですm(_ _ )m
ということで、早速やっていきます。
共に渋谷方先頭車のデハ8600形
GMは今回の新製品8615F、鉄コレは電車市場の事業者限定版東急仕様になります。
前面
意外と両社で差が大きい部分といえますでしょうか…
参考までに実車写真を置いておきます。
見比べると屋根Rなんかで適正なのはGMなんだなということがお分かりいただけるかと思います。
それに対して鉄コレは屋根Rを誇張表現気味かなという感じですが、丸い屋根の8500系非軽量車のイメージには近い感じがして、実車と適正か云々関係なしになんとなく似ているという感覚を覚えるのが不思議なところです。
斜め上より
貫通扉の凹み具合に関しては鉄コレの方が似てますねぇ…GMも軽量車よりは頑張ったとの触れ込みでしたが、もうちょっと奥まらせて良かったかなと思います。
ですが、逆にいえば気になるのはそれぐらいかなという感じです。
鉄コレはテールの位置がヘッドライトに比べてやや内側に寄っていて、幌枠の幅がどうにも左右非対称っぽいのが非常に惜しい部分ですね…
ライト部分はGMの弱点でしたが、非軽量車製品から採用されたものは出っ張り具合や厚さ含めて問題が無いかなと思います。
前面車番は両社製品共に印刷済みで汎用性という意味ではどちらも…ですが、8500系の場合は前面車番までを含めてデザインといえる気はするので難しいところ
渡り板は鉄コレが短めの一体成型、GMが別パーツでしっかりと長めに表現されているのでGMの方が実物っぽいですね。
側面に行く前に車体長の問題
軽量車の時点から若干GMの方がスケールより長めというのは有名な話ですが、今回完全新規の非軽量車もガラスパーツ等の共用の関係とは思いますが長い設計を引き継いでいます。
故に鉄コレの方が正規の設計故にこちらの方は勝ってますが、軽量車との組み合わせなんかを考えるとGM製品で揃えたい部分もあるのでこの部分はケースバイケースかなとは…
ということで、お待たせしました、側面の比較へまいりましょう
遠巻きに見る分にはどちらも遜色なく…しっかりと似ています。
足回りに関してもGMは軽量車製品化の時から引き継いだものですがしっかりと専用品、鉄コレに関しても比較的初期に製品化されており流用出来るものが少なかったということもあって、ほぼ全て専用品が盛られているのでどちらもいい勝負です。
寄ってみてみます。
窓枠の表現やコルゲートなど、どちらも時代相応にしっかりと細かい作りで悪くないかと思います。
やはりステンレスカーの模型はこの部分の表現がしっかりしているのが命だと思いますので、どちらも頑張っていますね
乗務員扉周り
鉄コレは乗務員扉のガラスパーツに“乗務員室”の文字が印刷済み、車番プレートも凸モールドでの表現など拘っているのは嬉しい点
GMはその2点に関しては印刷無し&モールド無しで済ませていますが、車体裾部分にジャッキアップポイントの表現があるのは細かくて素敵な部分です。
車端部寄り
鉄コレは東急ロゴの部分はモールド無しで直印刷、GMも同じく直印刷ですが鉄コレで省略されている下地の印刷もしっかりしているので、この部分はGMの方が良いなという感じです。
車側灯はどちらもしっかりとコルゲートが途切れていて実車の大多数派の形態に
鉄コレは車端部黄色テープの印刷がありませんが、これに関してはそもそも実車でそんな仕様が無かった頃に発売されているので仕方がない部分
妻面側
ここが一番謎な部分でして、右側の鉄コレが転落防止幌を避ける為に配管が曲がった姿を再現しているのに対して、GMはストレートに降りている原形の姿
GMだけ異様に古い姿となったのは少し謎な部分ですw
鉄コレは製造銘板などもしっかりとモールド済みなのが芸が細かい部分ではありますね
屋根周り
屋根自体はどちら共にランボードが露出しているタイプの表現で差は無し
クーラーは時代経過の表現の差を感じる部分でありましょうか
形態的にはどちらも悪くないと思いますが、造形が細かくて圧倒的にシャープなのは新規のGM製品
鉄コレのは大分深めな造形って感じでしょうか…こちらも悪くないのですが、妙な位置にゲートがあってゲートを処理する際に完全に側面がえぐられている個体なんかもあり…
側面にメッシュ表現がある点も含めて、別売品が出てくれば鉄コレも含めてGM製品に取り替えたいところではあります。
続いてパンタグラフがある電動車のデハ8700形
貫通扉+パンタグラフ向け配管のある妻面側
先ほどの転落防止幌を避けている部分の差にプラスして、GMはパンタグラフ向け配管の一部取り回しが異なる模様
パッと調べた感じ、非軽量車ではどうやら鉄コレの直線的に降りる配管の方が正しいようで…まぁ連結したら気づかない部分ですからセーフですかねぇ?
側面
やはりここがGM製品において一番のがっかりポイントでしょうか…
軽量車に表現を合わせてとの触れ込みですが、パンタ付き車両は過電流灯がある分車側灯が多いのが表現されておらず
鉄コレはしっかりとその点を表現しているので、うーん頑張って欲しかったかなぁ…という部分ではあり
ただまぁそれをやっちゃうとバランスを取るためには軽量車も全部やり直しになっちゃうので難しいというのも分かるのですがね
屋根周り
パンタ周りの配管部分
一部取り回しが違いますが、こちらに関しては実車でも差異がありそうなので何ともな部分
造形的にシャープなのは後発のGM製品でお見事ですね…
パンタグラフの取付穴はGMが自社製品のみの対応に対して、鉄コレは性質上各社製品の取付穴に対応しており穴が多いです。
続いてサハ8900形
これはどれで比較しようか凄い迷ったのですが、どちら共にプロトタイプ選定は8号車のサハ8900形だったので鉄コレはサハ8923号車、GMはサハ8932号車の比較です。
足回りは少々違いが感じられ…資料をざっと漁った感じではGMの方が実車に近いようですね。
鉄コレプロトがプロトタイプ選定にしているサハ8923号車は、本来ならコルゲートが繋がっているタイプになるのですが、鉄コレでは流石にそこまで表現しておらず+汎用性を持たせるために省略
対して後発のGM製品ではこの点をしっかり再現し、コルゲートが途切れていないタイプの10次車以降の非軽量車をしっかりと表現してくれたのは嬉しい点
これは完成品展開での特定ナンバーモデルで展開している点の強みとは言えるかもしれませんね
続いて9号車の貫通扉増設のデハ8800形
鉄コレでは製品化されていないので、長電の2号車サハ8550形で代用させて頂きます。
どちらもしっかりとの後付け感のある貫通扉の造形は出来ているかなと思います。
鉄コレの方は一体成型なので汎用性に欠けるのは難点
一体成型の鉄コレに対して、GMは別パーツなのでやや厚目
ファインスケールという部分では一体成型の鉄コレに分がありそうですが、GMの実車も模型も後付け感ありありの姿は寧ろそれっぽさを覚えますし、取り付ける車両を選べるってのは素敵な配慮です。
最後に中央林間方先頭車のデハ8500形
こちらも鉄コレでは東急仕様として製品化されなかったので、長野電鉄8500系の改良品T4編成にご登場いただきました。
まずは側面の比較より
やはり目に付くのはGM製品の車側灯が少ない点…ここだけはユーザー措置でも上手く誤魔化したいところでありますねぇ
続いて妻面側
貫通扉無しでパンタグラフ配管がある形態はデハ8500形のみ
こちらもやはりGM製品は配管の取り回しが非軽量車と考えるとエラーっぽいのがちと残念な部分
屋根周り…はデハ8700形と鉄コレ的には共用にされているのと、長野に行ってから避雷器の位置が変更された点が表現されているので参考程度に並び写真を
GM製品は長野までやりますかね…ちょっと期待したいところです。
オマケ的に前面の比較
長電の改良版は前照灯がクリアパーツ側の表現となり、ヒンジの表現が追加されたのは嬉しいところですが、ライト穴のデカさが少々残念な点
その点が改良されたにも関わらず尾灯の位置と、左右非対称の幌枠は変更されず追加された印刷のせいで余計にその点が目立ってしまっているのは残念な部分ですね。
改良前からですが、鉄コレはワイパーをモールドでの表現ですが1本アームで表現、GMは印刷ですが2本アームの姿をしっかり表現と一長一短な部分…印刷ゆえに落としてしまえば簡単に弄れる汎用性を考えればGMの方が良いですかね?
ちなみにここまで比較をやってきておいて言うのもアレですが、鉄コレは更新後の前面下部の車体裾にステンレス板が貼られて凸になっている姿を表現、GMは原形形態のステンレス板が貼られていない姿なので厳密には両社製品は競合していないとみなすことも出来そうです…が、その点で使い分けるのもアレなので、鉄コレで原形をやりたい場合は前面下部を削る、GMで更新車をやりたい場合は薄いプラ板などで凸表現を追加して加工すればよいでしょう
最後にここまで触れていなかった車内パーツ
GMは座席パーツがあるにもかかわらず車端部まで表現がありませんでしたが、今回の8500系より新規のパーツを使用しその点を是正
車端部まで表情があるだけでも結構雰囲気が変わりますね…塗り分けてやればより良い感じになるかと
ですが、先行する鉄コレ製品も負けておらず…
ライト類が点灯しない分、乗務員室周りの表現に凝っているのは素晴らしく、運転台にはT型ワンハンドルマスコンらしきものがあるのは今見ても感動します。
ということで、鉄コレ&GMの東急8500系を比較してみる話でした。
比較してみますと、同じ電車をモデルにしているにもかかわらず両社の表現の差や拘っている部分の差が面白くてなかなか興味深いなという感じでした。
印象重視の鉄コレ、実物に忠実にという感じのGMですが、甲乙つけがたくどちらもしっかりと東急8500系を表現出来ているかなと思うので難しいところであります。
軽量車と組み合わせが必須になる以上、長編成化されてからの姿を表現するのであれば流石にGM製品に分があるかなという気はしますが、逆に登場時の8000系との組み合わせをやるのであれば、鉄コレ製品で揃えた方が統一感のある仕上がりになりますので、まだまだ鉄コレも持っておいて損は無いかと思います。
ということで…最後に無難な終わり方デハありますが、両社ともに今後とも東急の車両たちで魅力的な製品を期待したいものです…。