
■ 5.外貨管理の緩和
さて、自由貿易区を知るのに、最後の理解しておいてほしいのが、
「外貨管理」の緩和です。
貿易をされておられる企業には、もう既に適用されていいますので
ご存知の方も多いかも知れませんが、
中国からの外貨送金、入金に関する規制が
昨年2012年の8月1日より緩和されています。
それまでは、例えば輸出、 ちゃんと輸出が完了しなければ送金ができない、
で、あるとか、またあるいは輸入、 輸入通関の書類を提示しなければ
入金されたお金の受け取りができないなどの、外貨管理局の監視下で
お金がやり取りされていましたが、
昨年より、税関が管理する企業ランクのリストと連動するようになり、
「税関」 ⇔ 「外貨管理局」の間で情報共有する前提で、
お金の入送金が、形式上、自由に行えるようになっています。
とは言え、まだ貿易額の範囲、と言うことに変わりなく、
現段階では処理スピードが速まった、というレベルですが、
これだけでも、増値税還付の処理が早くなったなどメリットもあり、
少し外貨管理局の目からは距離を置かれるようになった、という感じです。
また企業リストを共有するとはどういうことかというと、
輸出入時の 不正やごまかし、書類の訂正、間違いの頻度を見ながら
税関からの警告、指導、罰金が積み重なると、
各企業毎、A.B.C.Dにランク分けされた格付けが落ち、
また監視対象になりますよ、ということです。
これを「ネガティブリストによる管理」と言っていますが、
ようは、まじめな企業には規制を緩めてあげます、
いい加減な企業はガンガン取り締まりますよ、ということです。
>> 結局、どこに向かっているの? それが全ての答え。
もう一度言いますが、中国が世界の仲間入りし始めた今この状況下で、
他の諸国に取り残されるようなことがあってはいけない、と思っているであろうことは
なんとなく理解いただけると思います。
その為にクリアしておかなくてはいけない最後の大きな課題が
「通貨の自由流通」 ということは前述しました。
では、「通貨の自由流通」とは? を、再確認しますが、
要するに 「人民元の国際通貨化」 ということです。

中国元が海外に出て行ってもまた中国に人民元が戻ってくる根拠を作っておく
必要があるわけですが、それは企業と、産業の誘致だけではありません。
実は、中国が力を入れてこの数十年、中国が水面下で行ってきた事があります。
>> 人民元の国際通貨化への歩みだし
中国が着々と進めてきた策とは、それは、
「金」です。

はい、 カネではなく、「ゴールド」の方ですね。
とにかく世界から「ゴールド」を集めて、国際的に通用する通貨価値を
裏付ける 「金保有国」 になることを今もなお推進しています。
どうやっているか、というと、この10数年の中国バブルでお金を
溜めた富裕層や、一般の人に、ゴールドを買うことを推奨しているわけです。
事実、今香港のゴールド市場が盛り上がっているようです。
ちなみに中国の現在の金保有量は、1000トン超。
これはドレくらいかというと、世界の国別保有量の 順位6位。
アメリカが一番多く保有していて、約8000トン超
日本は、順位も量も中国を下回り760トンで9位です。
参考→ http://goo.gl/uynFp4
日本円は既に世界各国で受け入れられていて、国際通貨としての認識をもたれていますが、
日本円の場合は、これまでの経済力や、債権の国内保有で信用を得ています。
その日本でも金の保有量は9位です。
中国は、経済の発展と合わせて、金の保有量を根拠とし
その日本と比べても、信用根拠の力を徐々につけて来ているということです。
>> ちょっと脱線していいですか。
ちなみに漠然と1000トンって、「おお」、と思うかもしれませんが、
「大きさ」でいうとドレくらいか分かりますか?
水の比重の場合で、1mx1mx1m=1立方mは、1tですが、
金は、水の約20倍の比重なので、1立方mで 約20t 弱になります。
となると、1000トンって、金を1立方mの塊にして1000t ÷ 20t = 50個ですね。
物流屋のイメージでいうと、丁度1m四方ブロックのパレット貨物で想像するので
50m3だと、おおよそ、ざっくり40フィートコンテナ1本というイメージですね。
中国が持ってる金の総量は40フィートコンテナ1本分の大きさということです。

もっと脱線すると、世界の金の総量が15~6万トンで、標準的な50mプール
(50mx25mx2m)の3.5杯しかないんだそうです。
>> 何故それが脅威なのかの、視点。
長らく説明してきましたが、「自由貿易区」が何を目指しているのか、
イメージがもてたと思います。
そのメリットと、他国から見る脅威は、貿易量を増やす!という視点だけではない
ということですね。
この政策が波にのり、中国が金の保有量を増やし、
人民元が国際通貨として認められるようになって
流通するようになれば、中国の発言権はさらに大きくなる可能性があります。
そういう脅威が背景にあるわけですね。
>> 13次5ヵ年政策の目玉の一つ
これをもうひとつ別の視点でみると、さらに分かりやすいのが、
中国が策定の柱に定期的に政策を見直している「5ヵ年政策」があります。
現在は13次5ヵ年政策。
丁度1980年代あたりからみると、当時からの最高指導者が
鄧小平(※)→江沢民→胡錦涛と、ざっくり約10年スパンで
交代してきているのですが、それぞれに、
保税区→輸出加工区→物流園区、と 各種保税区にからむ政策を育ててきています。
そして、今この「自由貿易区」が周さんの代の目玉にしたい思いがあるのでしょう。
その意味で周さんの「自由貿易区」に対する意欲は、大きいと思われるのですが、
どういう展開になるのかが楽しみです。
※ 鄧小平さんは国家主席を務めていませんが、人民開放軍を率いる中央軍事委員会の
最高主導者で、実質的最高権力者でした。
なんとなくお分かり頂けたでしょうか。
保税区の歴史と、マクロ視点の経済の関わりを背景にみることが
自由貿易区を理解するポイントということです。
ということで、「自由貿易区」の節は終わりです。
ところで、「うちは製造メーカー兼商社なんですが、自由貿易区に進出して、実際どんなメリットがありますか? 」
という質問を受けました。
それは・・・・ (つづく)