Wynton Marsalis – trumpet
Wessell Anderson – alto saxophone
Eric Lewis – piano
Kengo Nakamura – double bass
Joe Farnsworth – drums
Robert M. Rucker – tambourine (track 6)
Orlando Rodriquez – percussion (tracks 1,2,5,6)
- Green Chimneys
- Just Friends
- You Don't Know What Love Is
- Donna Lee
- What Is This Thing Called Love?
- Second Line
- 録音:2002年
- リリース:2005年
最初に何をレビューしようか、とても迷いました。
サックス奏者のアルバムか、ピアノトリオか、ビッグバンドか...取り上げたいアルバムは数えきれない程ありますが
僕自身がトランペットを志していることもありこのアルバムを選択。
さて、このアルバム、発表当時から現在まで賛否両論なのですが
その多くの原因はウィントン氏にあります。
何故ウィントンの演奏に異論を唱える者がいるのか、それを説明するためには彼の出生を紐解く必要があります。
トランぺッター、Wynton Marsalis(ウィントン・マルサリス)は1961年 アメリカのニュー・オーリンズに生を受けます。
なんとまぁ稀有なことに ジャズの発祥の地であるニューオーリンズに生まれたわけです!
更に恵まれたことに父はジャズピアニストというまさに音楽一家の下で彼は育ちます。
しかし この『ニューオーリンズ出身』、『父がジャズピアニスト』という二つの要素は彼がトランペットを極める理由にあまり影響を与えていません。
それどころかウィントンは幼い頃から小学校まではバスケットボールが大好きな少年だったそうです(笑)
勿論トランペットもやっていたようですが。
(※この辺りは中山康樹氏の『ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか』で読むことができます。)
最終的にトランペットの道を選び1978年、ジュリアード音楽院に進学、
弱冠18歳でアート・ブレイキーのバンドに抜擢 三年後にはハービー・ハンコックとカルテットを結成。
彼の神童っぷりが十分理解できます。
・早い時期に良い先生に出会った
・必要なだけの正しい練習
・音楽的センス
・そして大物に選ばれた時の運
この全ての要素が羨ましくて羨ましくて 多くの評論家・に妬まれたわけです!小生意気なウィントンを何かと叩きたくてしょうがない!だから「音楽がつまらない」だの「面白みがない」だの文句をつけてくるわけです。
このHouse of Tribesもその対象であることは例外でないのですが、
一概にウィントンに対して否定的な人たちが完全に悪かというとそう言い切れません。
なぜかというと 僕みたいな楽器をやる人たちがジャズを聴くときは 普通のジャズリスナーとは違うファクターが存在するんですね
技巧的なものだとか、ソロの展開の仕方だとか...そんなものだったりします。
僕自身アルバムは傑作だと思っていますがそれは「トランぺッターとして」というファクターを通しての評価にすぎません。
ですので公平な視点で公平な評価をする、ということは僕にはできません(笑)
で、このアルバム。メンバーを見ると無名のメンバーが目立ちます
ベースの中村さんを除いて全員知りませんでした。
曲目もそうですが、歓声も手拍子もそのままそっくり収録されていますしまるで50・60年代のジャムセッションの一場面を切り取ったかのように感じます。
ここでのウィントン、80年代の超絶テクニックや どうだどうだと技術をひけらかすようなトリッキーな音楽つくりもありません、
シンプルな4ビートに乗って吹っ切れたかのように豪快に歌っています!
特に四曲目のDonna Leeのド直球っぷりときたらもう!
ウィントンの意図が感じられたのかのように助力者たちも燃えるように呼応しています!また、短いながらも中村さんも正確で見事なベースソロをとっています。21世紀の名演中の名演です これを聴かずしてジャズは語れないでしょう(笑)
また二曲目もいいですねー、ここまでリラックスして自然体なウィントンは他で聴けないでしょうアルトのウェス・アンダーソンもなんとも塩辛いソロをとります、17分もの演奏 まさにセッションの場にいるような錯覚におちいってしまいます。
ジャズってやっぱり『本能』と『野生』の音楽なんだと改めて再認識させられる、そんな一枚でございますっっ!

