あすなろのような「20分流し」の試合では、タイムアウトは取れません。

コーチとしてベンチに入る時、できる事と言えば、

「試合前のチームの意識付け」

「メンバー交代の判断」

ぐらいしかありません。

試合中、どんなに叫んだところで思うほど届かないのはわかってます。



個人的には、メンバー起用の醍醐味が大好きです。

「今チームとしてこうだから、誰をどこに入れて、何をさせて、こうしたい」

と考えて、それがハマった時は最高。

選手の事を練習から観察し、特性を考えて、信頼してフィールドに送り出し、

期待通りに活躍してくれるのは、コーチ冥利に尽きる。



基本的には、

劣勢の試合の流れを変えたい時と、

掴んだ流れを失わないように

交代させます。

この試合は落とさない、と分かればかなり自由な交代もアリです。

結構決断は早いです。





試合を見ながら相手チームを分析し、自分のチームの状態を分析するには、

「自分が試合に入り込まない事」

「ボールばかりを追わない事」

「選手の一瞬の目線や反応を逃さない事」

に神経を使います。

「傾向と対策」の繰り返しです。

コーチはプレーしませんが、采配の仕方によっては勝てる試合も負ける事だってあると思ってます。

もちろんその逆も。



今回大変だったのは、ベンチにフィジカルコンディションが万全な選手が一人もいなかった事。

(ゴーリー除けば元々4人しかいないのに、3人は殆ど無理な状態・・・。って一人だけじゃん)

実は1回戦で既に骨折しながら試合を続けた選手がいた事も後日判明。

絶望的でしたが、選手一人が全てをやるわけでないので、

ポジションチェンジとメンバーチェンジを組み合わせながら乗り越えました。





もう一つの仕事。

「試合前の意識付け」

これは非常に大事な事だと思ってます。

ちょっとした洗脳というか、心理作戦です。

なので、いつも2時間ぐらいは「何をどう言おうか」と考えます。

長過ぎず、ポイントを考えて、選手の頭と心に響くフレーズは何か。



今回は・・・

やってきた事の確認の意味でも、再度「奪う」意識の徹底。

奪う為の、選手間のバランスとコミュニケーションの意識。

やれるという自信お互いを信じる自信

と、ここまではいつも通り。



最後に、このチームのあすなろでの戦い方をイメージして出てきた言葉。



『死力を尽くせ』



やる前から、戦力的にも、体力的にも、日程的にも、

苦しい戦いが続く事がイメージできていて、

それでも優勝したいと思うなら、

選手ひとりひとりが、自分の壁を打ち破って、

力を出し尽くさないと、結果は得られない

今までの人生で、「死力を尽くす」経験なんてした事無いだろう。

やってみろ、と。





狙い通り、この言葉が効いた事は、後日選手から送られてきたメールでもわかりましたが、



1試合毎の試合内容の成長。

どんどん土に汚れていく顔やユニフォーム。

フリーシュート合戦に入る時の一体感と信頼感。

逆転しようと相手に向かう気迫。

決勝で延長戦に入る前のベンチ。



本当に「死力を尽くす」意味がわかってきたように感じていました。



特に決勝延長戦突入前の数分間のブレークで、

選手全員の「気持ち」が、技術と体力の限界を凌駕した


と感じ取れた時、



「こいつら、本当に死力を尽くしている」



もう試合の結果はどっちでもいい、と思いました。







また今年も、選手達から大切な事を学ばせてもらった気がする。



コーチを辞められない理由のひとつかも。。。





終わり。