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「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」公開中。


監督の石岡ちゃんから、企画の段階から話を聞いていて、ほんのちょっと協力もした。
自分は代々木組に二度助監督でついている。
最初は1981年、19歳の時。
アダルトビデオ黎明期の大ヒット作、愛染恭子「淫欲のうずき」。
ビデオデッキの普及にも一役買ったとされる大ヒット作。

自分は出演もしていて、ちょっとした役でセックスを演じている。
この頃のAVは完全前張り。ボカしの入らないソフトコアなものだった。
その翌年、当時、代々木組の助監督だった鬼頭光さんに誘われて、役者込みということで、サイパンロケ4本撮りの助監督をする。
この時の撮影で、ドラマの1シーンだったのだが、代々木さんは本気で女優にオナニーをさせた。
自分としては前張りをして芝居としてエロを演じることがプライドなんだと信じ込んでいたので、批判的に見ていたのだが、代々木さんの本気でオナニーに夢中になり興奮していく(性的な意味ではなく、新しいものを発見した子供みたいな)、その横顔がやたら印象に残っている。
そして、この現場がきっかけで、AVの価値観を変えた「ザ・オナニー」シリーズができあがった。
この後、仕事も大してできないくせに、何となく重宝がられた助監督の自分はいろいろな現場を渡り歩き、代々木組につくことはなかったが、代々木組のエポックな現場に参加できたことは今となれば、いい経験ができたと思える。
監督デビューした後、アダルトビデオが普及する中、代々木さん率いるアテナ映像で、2本のAVを監督した。
その時に社員プロデューサーであり助監督であった石岡ちゃんと初めて会い仕事し、編集室で一緒になった代々木さんに唐突に喧嘩に勝つ極意(やくざ時代の)を教えてもらったりした。
この頃から「淫乱パフォーマンス」シリーズ、「チャネリングファック」シリーズなど、性に向き合う凄みのある作品群を撮り出した。
それはとても刺激的で、映画ごっこの延長としてAVを撮っていた自分とは、まるで違う世界観を見せつけられ、打ちのめされ、この人はただ者ではないと思い始めた。
アダルトビデオで唯一作家性を持っている監督だと尊敬している。

その数奇な人生も半端じゃない。
そんな代々木さんを愛弟子の石岡ちゃんが撮ったドキュメンタリー映画。
労作です。傑作です。
人と向き合うこと、性と向き合うことを考えさせられる映画になっている。
この映画を見て、代々木さんは自分から何かを求めてきた人ではないんだなと気づいた。
来る者拒まずといった表現が正しいかはわからないが、常に好奇心を持って、目の前にやってくるものを真摯に受け止め、あがきながら、悩みながら、前に向かって生きてきた。
代々木忠72歳。いや、すごい人です。

で、うちの劇団でもこれは見るべきとメンバーに言っていた。

観に行って、それぞれに衝撃を受け、感じるものがあったみたいだ。

何となくの感触だが、女性の方が受け取るものが大きい作品という感じがする。

女性必見です。良くも悪くも価値観を揺さぶられます。

現在公開中。是非!