応用行動分析学では人の行動変容に示唆を与える学問でもあります。

人の行動を考える際、大切なのは「なぜその行動をしているのか」ということを理解することが重要です。つまり行動する理由(行動の機能)を考えることです。行動の見た目を考えるよりもどのように機能しているのかを見ていくことの方が支援には重要になります。


同じ行動でも機能は異なる

「水」という発言でも行動の意味は異なってきます。喉がかわいて「水」と言うとお水をもらえること、水がこばれて「水」と言って拭いてもらうこと、床が水浸しで「水」と言って水をよけて歩くことはそれぞれ同じ「水」でも表現の目的は異なります。つまり同じ行動でもその理由(機能)をみていくことでその人が何をしたいのかが理解できます。


4つの行動の機能

■注目獲得:見てほしい

 人からの注目を得るための行動です。適切な行動への注目だけでなく、否定的な行動への注意なども注目となっている場合があります。

■要求獲得:したい、ほしい、してほしい

 ほしいものを得るための行動です。物や食べ物以外にも経験を得るためにも生起します。

■回避逃避:したくない、避けたい

 嫌な物、人、活動を避けるための行動です。回避とは嫌悪的な刺激にさらされないように前もって行をいいますす。逃避とは嫌悪的な刺激にさらされた時に、それに引き続きさらされないような行動をいいます。

■感覚獲得:気持ちいい

 感覚からの刺激を得る行動です。頭をたたいて感覚を触覚からの刺激を得る、シャボン玉で視覚からの刺激を楽しむ、手を叩くことで聴覚からの刺激を得る、消しゴムを丸めて手の感覚を楽しむなど様々なものがあります。


機能の特定方法

機能の特定方法は3つあります。どの特定方法がよいかは子供によって異なってきます。

①本人に尋ねる(認知)

 直接に質問してみると素直に話してくれることがあります。「~したいから」「~したくないから」というようにです。しかし、本人もなぜその行動をしているのか理解できていない面もあることと、主観的な視点や周囲の反応を気にして言えないこともあります。

②周囲に尋ねる(行動)

 養育者や身近な大人に尋ねることです。その際、大切なことは行動の事前と事後を尋ねましょう。そうすることでなぜそのような行動をしているのか推測できます。

③行動観察+介入

 直接の観察をしてみることは機能をより推測しやすいです。事前と事後を丁寧に観察してみることです。そして、可能であれば介入してみます。「ミニカー!」という表現をして、ミニカーを渡して喜んでいた場合、要求獲得行動となります。実際に介入してみて確認するということで、機能の特定が確実になります。


行動の目的は変わる

頭をたたく→気持ちいい(感覚獲得)
頭をたたく→注目される(注目獲得)

最初は感覚獲得という目的であったものが注目獲得という目的となっていることもあります。このように行動の機能は変わることはよくあります。また、感覚獲得と注目獲得という機能が重複していることもあります。行動の機能を一つであると決めつけず、変遷するものであり重複するという視点をもつことは行動を幅広い視点で理解することに役立ちます。



via KiT
Your own website,
Ameba Ownd