始めてイギリスに住んだ日本人はほとんどそう思っていたと思う。実際、私の周りの留学生たちは口をそろえて言っていたものだ。
「アフタヌーンティーって、一体いつやっているの?見たことがない!」
そう、アフタヌーンティーは実生活では行われていないのだ。
いや、未だに優雅にその習慣を守っている上流社会はあるに違いないが、少なくとも普通に働いて、普通に生活しているイギリス人はアフタヌーンティーを毎日したりはしない。
誤解のないように言うと、ホテルやティールームでは我々の想像通りのアフタヌーンティーを存分に楽しめるし、実際、ロンドンにあるリバティという老舗百貨店内にあるティールームはいつも満席で、多くの人がアフタヌーンティを楽しんでいた。
私が花の研修をしていたサヴォイホテルはさすがに超一流、素晴らしく美味しいペーストリーなどが色々ついて、そのティールームは高い人気を誇っていた。
が、冷静に考えてみると、いくら古い習慣を変えないイギリスと言えども、朝9時から5時まで働く中で夕方4時ごろに時間をかけて毎日のアフタヌーンティーはあまりにも無理がある。ティーと言う名が付いているが、実際、それは食事なのだから。
私がロンドンで住んでいた家はイギリスの中流階級(日本の中流階級の認識とはかなり異なる)、いわゆるエリート層と言われるところだったが、彼らの生活を見ていると、イギリスの知識層のスタンダードな生活や物の考え方が分かって興味深かった。
この家は知れば知るほど豪華なメンバー構成で、息子は弁護士、娘はロンドン大学の医師、その旦那さんはオックスフォード大学のボートで名を馳せた有名人(実際、オックスブリッジの年に一度のボート対抗戦で、TVでコメントしていたらしい…私は見なかったが)。
そういう彼らもまたアフタヌーンティーはしないが、ティーはしょっちゅうしていた。
まぁ、ティーはどういう階級に限らずイギリス人の外せない習慣だから、どこへいってもティー、ティーなのだが。
日本ではアフタヌーンティーほど耳にしないが、現地で一般的なのはむしろ、クリームティーと呼ばれるティー+スコーンと言う、いわゆる日本のケーキセット的なお三時感覚のものではないだろうか。
以前にも書いたが、クロテッドクリームとジャムをつけて食べるスコーンは素朴ながら幸せな味だ

どちらにしても、アフタヌーンティーはちょっと日常から外れて楽しむゆったりとしたイギリスの習慣として、今でも人々に愛されている

次は花の習慣に関するお話。
つづく
