手塚治虫先生に憑(つ)かれてた日に
アポをとることができた
朝日新聞出版の売り込みのため築地市場へ。

人生二度目の朝日新聞出版への売り込み。
今回こそは、色よい返事をもらってやる。

たのも~~~、編集長は、おられぬか~~~。

叫ぶ必要なし。

受付嬢からの電話で、すでに編集部の前に立っておられた。

うわ~。
あまりにもの、長身(ちょうしん)…。
3メートル近くありそうにみえる。
しかも、メッチャ、頭切れそう。

う~ん…普通に戦えば、
どうみても、かなうような相手じゃないな。

まぁ、まぁ、天下の朝日新聞、
これくらいの御仁がでてくることは、想定内、想定内。

よし。ここは、いつもより、テンションを下げよう。
テンションあげると、こういった御仁には、
すぐに化けの皮をはがされる恐れがあるからな。

ニヤニヤニヤ~~。
まずは、笑顔。
めざすは、社交度アップの和田誠。

「いや~、業界では15年やらせて頂いてますが、ニヤニヤ、
だてに年数だけが長くなりましてね~ニヤニヤ」

上等なすべりだし。

次は、効果的な作品提示だ。

「こちらは、小学館さんで、
こちらは、講談社さんで、描かせて頂いた作品です。
あと、お持ちしてませんが
ベネッセさんの教材なんかでもよく、描かせて頂いておりました。」

静かにうなずかれる編集長。

まずまずだ。

「では、これはどちらで?」

「あ、それは、文藝春秋社さんの雑誌で。」

ほぉ、文藝春秋社でもやられてるんですか、と
編集長、驚嘆(かんたん)の声。

うわ、予期せぬ一本勝ち?
いったか…?

と思いきや。

「新潮社ってかかれてますよ、この雑誌」
と、裏を見て編集長。

え……?

たったこれだけのミス。

たったこれだけのミスが、オレを完全破壊。

「あれあれあれあれあれあれあれ?そうでしたっけ?あ、あ、そ、そういや
文藝春秋社さんとは、お、お仕事したことなかったなぁぁ~、だははははは~」

「んじゃんじゃ、これどうでしょ?4月に出したばかりの
自費出版単行本なんですけど~~。
実は、ワタクシ、本当はこんなことばっか考えてる
ゲラゲラマンガ家なんですよ。
ヌハハハハ~。いやもう~、下ネタよろしく万歳、
恥ずかしいけど見せちゃうね。いや~~~ん。」

ミスでミスを隠そうとする。

見せるつもりのなかった販売用《なんね~》をなんと、机上に出す。

終わった。ジ・エンド…。

いくらなんでも、《なんね~》は、朝日新聞出版《ジュニアエラ》向きではない。

以前某経済誌に売り込みに行ったとき、
きわどい挿絵作品見せて、女性担当者にメチャメチャしかられたことがある。

同じだ…。今回も同じだ…。

んが、
パラパラパラと拙著をめくる編集長の顔、
恐る恐る見ると、笑ってる?!

「もしかして、お、面白いですか?編集長閣下」

ニッコリとうなずかれる編集長。

わ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い。
うけたうけたぞ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
拙著がうけたぞ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

もう、売り込みなんかどうでもいい!!
大事なのは、オレの自信作がうけることじゃ~!!!

すごいでしょ~~~《Oh,No!なんね~》!!!!

テンション、ふりきる!!

では、では、では、編集長、今日はこれで!

このうれしい気持ち今は大事にしたいんで、帰ります、ボク!

ダァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。


気づくと、築地市場、生ウニ定食で
ひとり宴(うたげ)のオレ。

「築地のウニとかけて、ポルノのマンガのオチと解く。
そのココロは、どちらも、《うまい~~》!
ヌハハハハハ、ポルノ、整いました~~~~。」

これでいいんだよな?オレ。