これはフィクションです。

20××年×月x日。


九州南部地方に大雨特別警報が発令。


鹿児島市南部に全戸避難指示が出された。

夜の12時より、谷山地方を中心に、
積乱雲のぶつかり合いで出来た、線状降水帯による、雨は1時間に100ミリを記録した。

この雨は、数時間降り注ぎ、
おいらのスマホのホーム画面に入れてある、
永田川水位情報は、氾濫危険水位に達していた。

避難すべきか、迷ったが、
とりあえず、2階に妻と娘、犬を連れて上がる事にした。

雨は一向に降り止まず、凄まじい音をたてている。


やがて、ゴーッと不気味な音を立てて、何かがぶつかって来た。


窓の外を見ると、一面、海のように水が押し寄せていた。


家族全員、恐怖に襲われた。


逃げるすべは無い。


呆然と窓の外を見つめるだけだった。


向こう側に、流木や、車、家の屋根が流されているのが見えた。


幸い、我が家はそれほどの流れでは無い。


119番に通報したが、通じない。


そして、停電。


さらに水は2階の床にまで押し寄せた。


完全な想定外だ。


ハザードマップでは、我が家は最大でも1階までしか浸水しないはずなのに。


なんとかベランダまで出て、子供たちが使っていた椅子に乗った。


水は、2階の床上30センチのところで、止まった。


生きた心地はしなかった。


救助が来たのは、浸水してから5時間後であった。


避難所では多くの被災者でごった返していた。


無事を確認して、喜びあう姿もあった。


気温は高く、眠れない。


蚊の羽音にも苛ついた。


何より困ったのはトイレだった。


断水のため、水が使えず、臭いが酷かった。


それと、明日からの不安。


翌日はとりあえず、歩いて近くの職場まで行った。


車は浸水して、使用不能に陥っていた。


本来の職場では無い。


連絡がつかないため、避難所から一番近い職場まで行った。


しばらくは、この職場で仕事をさせてもらう。


というか、交通手段がこれしか無いのだ。


職場は思いきり、浸水していた。


まずは、汚れた備品や商品の片付け、泥出し作業。


なんとも言えない臭い。


暑さも体力を奪った。


それから、また避難所でのストレスのたまる生活。


なんとか、家族全員無事だった事が心の支えとなった。


休みは、家の片付け。


道路は狭く、両側に家があるため、ゴミは出せない。


駐車場にゴミは置きっぱなしにするしかない。


使用できない2台の車も邪魔になった。


家具は、ほとんど浸水により、使用できなくなった。


でも外に出しようもないのだ。


しばらくはゴミ収集車が来る見込みは無い。


また、泥出し作業も困難を極めた。


流れ出る汗を拭くタオルも無い。


断水もあり、全く作業は進まない。


今後の不安は尽きない。


僅かながらの貯金も、失う事になる。


火災保険にも入っていたが、水害ともなると僅かしか降りないとの事である。


家を片付けて、改装しようにも、また引っ越してアパートを借りようにも、膨大なお金がかかる。


定年退職後は、旅行でもしてゆっくりと過ごそうと考えていたが、それは夢と消えた。


まあ、命があっただけでもよかったでは無いか?


今回の災害では、50人以上の方が亡くなり、10数名の方が行方不明となった。


全壊は400棟、床上浸水は10000戸以上にも登った。


子供たちの知り合いの親も亡くなり、たくさんの知り合いの家も流された。


川に近いほど、被害は大きかった。


被害地域は、谷山を中心に宇宿から喜入にまで及んだ。


後ほど、鹿児島南部豪雨災害と名付けられた。




これは、今回の九州を中心とした豪雨災害を我が家に当てはめてみたシミュレーションである。


我が家は、ハザードマップの端に位置しているが、それを遥かに超える洪水の災害が起きるのは間違いない。


それは、明日かもしれない。


改めて、今回の被害に遭われた方へ、


心からお見舞い申し上げるとともに、


一刻も早い復旧を願うのみである。