ヘア・ドネーション / HAIR DONATION
1年数ヶ月ぶりに散髪した。35~40cm弱をヘア・ドネーションした。1ヶ月に平均して15mmくらい髪の毛が伸びるらしいので、約2年分の髪の毛だ。パーマもカラーもしていないので、バージン・ヘアというらしい。
昔から髪の毛が綺麗だと褒められることが多い。中学生くらいからシャンプーだけで、リンスやトリートメントもしないし、短髪でなければ整髪料もつけない、なかなかワイルドな髪の毛だけれど、美容室のシャンプーを担当してくれた新人さんにも褒められるし、学生にもキューティクルがどうだとか言って羨ましがられる。
それもこれも母親譲りなのだけれど、そんな母親は昨年他界した。3年くらい癌の闘病生活をおくっていた。珍しい部位の癌だった。外科手術に始まり、放射線治療や抗癌剤と、入院を繰り返し、あらゆる治療を行った。手術の影響で、味覚や顔に麻痺が残り、髪の毛も薄くなっていた。「お母さんも女だからな。」という父親の言葉が象徴するように、本人はそれを気にして、人との交流や外出の頻度が少なくなっていた。
ウィッグを買おうという話題になっていた矢先に容体が悪化し、年明けに余命1ヶ月程度と宣告され、再入院した。1月は母親の65歳の誕生日を病室で祝い、母にとっての初孫と、2人目の孫娘の誕生日も同じ月だったので、立て続けにお祝いした。うちの息子の誕生日が2月なので「1歳の誕生日をみんなでお祝いできたら良いね」と話題にしていたので、病院に話をしたら、ご厚意で誕生日当日に個室を貸していただけたので、みんなで誕生日会を開いた。その後、少し体調が回復するも、緩和ケアのため実家の近くにある八王子の病院へ転院した。3月に入ると、僕は2日に1回のペースでお見舞いに通ったが、僕の誕生日10日前に息を引き取った。
ウィッグがあれば、QOLが上がる。元々長髪だが、母親が亡くなってから1年以上髪を伸ばし続け、ヘア・ドネーションを行った。母親譲りの髪の毛を、母親と同じような悩みを抱えている子供たちのために、役立たせて欲しいと思った。僕が、未だに反抗期の終わらない豚児であるばっかりに、親孝行も頼まれ事も叶えてあげられなかったことが多々あったけれど、少しだけでも人の役に立つことができる息子になろうと思った。
母が亡くなったことは、家族以外には誰にも話していなかった。失礼ながら、母親について尋ねられても健在であるかのように振る舞っていた。でも、ヘア・ドネーションを達成して、やっと自分の中で喪が明けた気がしている。生前、最後に掛けた言葉は「お母さん、いつもありがとう。これからも、よろしくね。」だった。これからも、どうぞ家族を優しく見守っていてください。
月命日に母を偲んで
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数店舗の設計に携わっている放課後等デイサービス(児童デイサービス)における
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