川瀬巴水作品集 | be careful not to trip

川瀬巴水作品集

川瀬巴水氏の作品集を購入しました。

ご存じの方も多いと思いますので
改めて説明することではないかもしれませんが
葛飾北斎、歌川広重と並び称されるほどに
海外で人気のある浮世絵師です。

氏の多くの版画には人物が描かれています。
とはいえ、描かれている人物は傘や笠などで隠れていたり
後ろ姿のため表情が分かりませんし
遠景にひっそりと描かれていりと、控えめですが
ですが、そうした人物や、人の気配が描かれていることで
親近感や安堵感を感じます。

この作品集の表紙を飾っている大人気作品「馬込の月」には
人物は描かれてはいないものの、民家の戸口から漏れる灯りに
人の営みを感じ、月明かりの静かな田舎の夜にも関わらず
暖かみをおぼえる作品です。

このように、どこか人の気配を感じさせる作品の多くには
「日常の延長に潜んだ美」を表現しているんだと思います。

例えば、旅行に行ったときに風景や建物、食事などを撮影して
フォトジェニックな写真が撮れていたとしても
後日、写真を見返していて目に留まるのは
一緒に行った仲間と写った写真が多いのと一緒でしょうか。
あ、いや、これは例えが悪いかもしれない・・・

僕の浅はかな知識では、到底真相に及んでいるとは思えませんが
この思いが僕なりの結論に至った理由は
遺作となった「絶筆≪平泉金色堂≫」(昭和32年)です。

昭和10年にも同じような画角で平泉中尊寺金色堂を描いています。
静かな夜景で、安らかな情景には人物は描かれていません。
しかし、遺作を見るとしんしんと降る雪景色の中に雲水が描き込まれています。
このお坊さんの解釈については多々あるとは思いますが
これを見て僕は、川瀬巴水を自分なりに解釈しました。

神社仏閣は日常ではないと反論されるかもしれませんが
時代が時代なので、今よりはもっと日常に寄り添った存在だったと理解しています。

観光宣伝ポスターなども手がけていたり
生まれ育った東京の風景が多いこともあり
身近に感じられるような作品が多いのも魅力です。
サンタクロースが描かれた作品もあるのには、驚かされます。

あとは、なんと言っても表現力です。
数多く重ね刷りを行っており、版画とは思えぬほど
綺麗なグラデーションが魅力です。
多いものでは34度も重ね刷りを施しているそうです。

使用している色数も、北斎や広重と比べても
格段に多く使われています。

ちなみに、現在僕の使っている携帯電話の待ち受け画面は
昭和4年の作「雪の宮島」です。

一家に一冊はないと、子供がグレますよ!(嘘)

(注)僕の独断と偏見でまとめた解説です。

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