地上ー地に潜むもの | be careful not to trip

地上ー地に潜むもの

島田清次郎氏の著書「地上ー地に潜むもの」を読みました。
大正時代に空前のベストセラーになった作品で、映画化もされているとのこと。

作家は、この作品で一躍名声を得るものの
傲慢な性格と無礼な態度により
文壇から鼻つまみ者にされ、精神を病んでしまいます。
さらには結核と栄養失調に苦しみ、最後は肺結核により
31歳という若さで亡くなりました。

著者の生い立ちをなぞるかのように
貧困の中で過ごした少年期を描いた物語です。

「貧乏でも偉くなってやる」と社会の不公平を恨み
志を持った少年が、裕福な家庭の娘と
恋に落ちる青春小説として始まり
その後、苦難が訪れ少しずつ成長して行く物語です。

ただ主人公に作者の主観、主張が過度に表現されていることや
さらには漠然とした欲望に感情移入がしづらいです。
もしかしたら、訳もなく焦燥感に駆られる青春時代に読んでいたら
もう少しのめり込む事が出来たのかもしれません。

僕は主人公の成長よりも、主人公を取り巻く登場人物の機微や
バックグラウンドの方が物語としての魅力を感じました。
母の生い立ちや、友人の気持ち、そして姉のように慕っている女性の人生は
華やかではなく、むしろ影のある物語ですが、抑揚が魅力的な内容になっています。

この「地上」という作品は、全4部で構成されているのですが
第2部以降は作品の質が落ち、残念ながら現在は出版されていないようです。

本作品は、これから今までの伏線が絡み合い
更に物語が飛躍するであろうと感じさせるところで終わってしまいます。
続きが読みたい!本当にそう思えるのですが・・・
どうやら期待外れのようです。でも、気になる・・・

地上―地に潜むもの/季節社
¥2,415
Amazon.co.jp

一級建築士事務所
be careful not to trip-htmn