3月25日
手術して二日目。気息奄々たる日々を過ごしてきたオイラにとって、遂に一陽来復の出来事が訪れた。『待てば海路の日和あり』とは正にこのことを言うのである。
それは朝の検診の時間にやってきた。名前を呼ばれて目があったその瞬間、傾城傾国の虜となり、一瞬にして他を顧みることはなくなってしまった。
やがて落下流水の妄想に耽けるオイラ。しかし現実は妄想ほど甘美ではないし、他言しようものならB級ドラマの見すぎだと誤解されてしまう。
夕刻、再び検診に訪れた。短兵急に行動を起こそうとしたのがまずかった。周章狼狽しきったオイラの口からは今の状況に相応しい語彙など導き出すことは到底不可能に終る。
とは言え今日はオイラにとって人生の檜舞台となったことは間違いない。なぜ『オイラ』と敢えて表現したのかは先見の明に長けた読者諸兄ならお分かりであろう。
帝釈天のために命を投げ出し“月兎”となって永遠に輝き続けるお月様も、厳しいアルプスの山頂に咲くエーデルワイスも、この羞月閉花の名の下に文字通り閉口してしまったようだ。


…to be continued
手術して二日目。気息奄々たる日々を過ごしてきたオイラにとって、遂に一陽来復の出来事が訪れた。『待てば海路の日和あり』とは正にこのことを言うのである。
それは朝の検診の時間にやってきた。名前を呼ばれて目があったその瞬間、傾城傾国の虜となり、一瞬にして他を顧みることはなくなってしまった。
やがて落下流水の妄想に耽けるオイラ。しかし現実は妄想ほど甘美ではないし、他言しようものならB級ドラマの見すぎだと誤解されてしまう。
夕刻、再び検診に訪れた。短兵急に行動を起こそうとしたのがまずかった。周章狼狽しきったオイラの口からは今の状況に相応しい語彙など導き出すことは到底不可能に終る。
とは言え今日はオイラにとって人生の檜舞台となったことは間違いない。なぜ『オイラ』と敢えて表現したのかは先見の明に長けた読者諸兄ならお分かりであろう。
帝釈天のために命を投げ出し“月兎”となって永遠に輝き続けるお月様も、厳しいアルプスの山頂に咲くエーデルワイスも、この羞月閉花の名の下に文字通り閉口してしまったようだ。


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