少しずつブログを書いていきます。初めがバイロイト音楽祭で、いきなりハードルを上げてしまった感がありますが、マイペースでやっていきます。


夏休みにドイツ、バイロイト音楽祭に行って来ました。チケットを確保するなどそれなりに準備はしましたが、実際に現地に行くまでは本当に実現するか不安でした。まずは1日目、8月5日の「ラインの黄金」(ニーベルングの指環 前夜祭)の記録です。



当日の配役表


前奏曲

生まれる前の双子の胎児の姿が画面投影される。その成長の姿が描かれるが、終わりの方で一方の胎児がもう一方を傷つける。これがヴォータンとアルベリヒということか


第 1 場 

ライン川の場面は、荒野に置かれた明け方の水遊び場。ラインの乙女はメイドのの格好をしており、8 人の子供達を遊ばせている。そこにアルベリヒがやって来てちょっかいをかける。アルベリヒは水でびしょ濡れに(シュトットガルトの演出を思い出す)。子供たちもアルベリヒを笑う。ラインの黄金を讃える場面では賞賛の対象が子供であることが分かる。愛を諦めたアルベリヒは 1人の黄色い服を着た子供(男子)を奪う。この子供が後にハーゲンとなる。ラインの乙女のアンサンブルが美しく、アルベリヒは初めから体を張った歌と演技。


第 2 場 ヴォータンのアトリウム

映画ゴッドファーザーやドラマのダイナスティの登場する邸宅のイメージ。ヴォータンは成功した企業家という感じで、その行動は、突然トレーニングをするなど刹那的場当たりな印象。巨人達は建設業者で、ヴォータン宅に車で乗り付ける。フライアは車で連れて行かれる。ローゲはヴォータン家の怪しげな弁護士の格好。ダニエル・キルヒがしっかりとした声で時にはコミカルに演じる。


第 3 場 ニーベルハイムは子供達の工作教室

ミーメは教室の先生の設定。隠れ兜も現れず、奪った子供を使ってアルベリヒが悪戯をするような表現。指環の略奪は、第 1 場で奪った子供がヴォータンに奪われる形で表現される。


第 4 場 再びヴォータンのアトリウム

指環を奪われる場面(子供を攫われる)でアルベリヒはピストルを持って呪いを表現。巨人と共に戻ったフライア場精神疾患(ストックホルム症候群?)に陥った状況。結果としてファゾルトに依存した感じになっている。エルダはヴォータンと懇意にしているメイドで、舞台には第 2 場から登場している。当然ながらここで初めて歌うことになる。その際に連れ子のような感じの女の子が登場(ブリュンヒルデ?)巨人達は 2 人の子供達を連れて行き、その過程でファフナーはファゾルトを殺害。ヴァルハラ城はピラミッド型の光る置物で表現。虹の橋はなく階段を歩き廊下を進むだけ。ヴォータンのみいけてないダンスを踊る。色々と評判の悪いプロダクションだが蓋を開ければ会場は超満員。演出には色々と突っ込みたい所が多々あり、終了後は大きなブーイングもあったが、音楽上の賞賛の方が大きかった。とても高水準な演奏。


オーケストラも初めは硬い部分も感じられたが、全体が会場を包む感じの中、各楽器の音は鮮明に聞こえる。低弦の音で床が震えるような感覚は他では味わえないもの。また歌手の声が舞台を通じて聞こえるオケの音とブレンドされる感覚も得難いもの。

歌手のレベルも流石。ヴォータンのトマシュ・コニェチュニ、アルベリヒのオラフル・ジグルダルソンの充実が舞台を引き締める。ローゲのダニエル・キルヒもコミカルな演技含め秀逸、その演技に合わせる感じの音楽を作るオケにも感心する。ミーメのアルノルド・ベズイエンの軽妙な声と表現もとても良く、「ジークフリート」での同役も期待。その他神々、巨人、ラインの乙女に至るまで、皆的確に表現されていたと思う。指揮者のピエタリ・インキネンにも大きな拍手。


「ラインの黄金」開幕前のファンファーレ