娘の父。愛称「ダッドゥーン」。なぜ「ダッドゥーン」なのかはそのうち。
娘3歳半の時のある晴れた日。
タンポポの種が娘の目の前にフワフワと飛んできた。
娘は不思議そうな顔をして、それをこわさないように
そっとつまんで拾った。
「フワフワじゃないのよタンポポの種?かわいいね。」
「くうちゃん だいじにするから持ってていい?」と小首を傾げる。
「くうちゃん好きなものを大事にしたいのはわかるけど
タンポポさんくうちゃんの手の中にいたら、お花になれないんだよ。
風にピュ-ッと飛ばされて、どこかの土に『よいしょっ』って着いて
そこで雨や土やおひさまから元気をもらって、おおきくなってお花咲かすんだよ。」
「ふーん…くうちゃんが持ってるとお花さんになれないの?」
「そうだよ。風さんが連れてってくれないとね。」
くうちゃん少し未練ありそうな顔してたけど、思い切って
「じゃ バイバイ。それっー」
フワフワ、ユラユラ風に乗って消えていった。
タンポポの種は僕の娘。
娘が見せた大切だから手放したくないって姿を見て
僕が娘のこと手放せる日が来るのかと少し不安になった。
タンポポの種と娘。
いつの日かフワフワと風に乗って、何処かに飛んでってしまうのだ。
僕の掌から。
できれば暖かい海からやってくる風がいいな。冬の北風よりは。
そして向日葵のように大きな花を咲かせて欲しい。
僕はいつも怯えていた。
大切なもの、大事なもの失うことを怖がっていた。
だから「大切」とか「大事」とかって言葉にすることが
素直にできずに不安な気持ちを抱えていた。
好きなもの、愛するものを失う辛さは耐えられなかった。
だけど、娘は僕の所有物ではない。
ひとりの人間。
僕が暖かい風になり、娘の幸せの大地になれればいいけど
いつかはここから飛び立ってゆくのだろうから。
描きかけの地図を、娘の旅立ちまでには完成させて
道標にして欲しいなと、無邪気な笑顔に生きる元気をもらうのでした。
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