イメージ 1

ナポレオン大いに語る

フリードリッヒ・ジーブルク (著, 編集), 金森 誠也 (翻訳)

本書は、皇帝ナポレンが、様々なジャンルの人たちと語り合った、生々しい対話集である。

ともすればナポレオンは、英雄として、また独裁者として、実に多様に語られてきたゆえに、「偶像的な存在」になりかねない面がある。しかし、この対話集からは、彼の人間性、哲学、性格といったものが、如実に現れている。その点、ナポレンオンに興味を持つ読者にとっては、とても貴重な資料といえる一冊である。

本書の中でナポレオンが対話をしているのは、主に彼の絶頂期直前から、
没落、そして最期までの期間であるが、その相手は実に多様である。

詩人・アルノー、枢密顧問官・レーデラー、秘書・ブリエンヌ、外交官・コレンクール、
文豪・ゲーテ、若き女優・ジョルジュ、弟ルシアン、オーストリア宰相・メッテルニヒ、
外科医・ワーデン……。したがって、対話の内容は戦争、政治、マスコミ、
結婚、芸術、医学に至るまで、実に幅ひろい。

単行本: 329ページ
出版社: PHP研究所
値段1800円(税別)

収録されているナポレオンの言葉のいくつかは、岩波文庫の「ナポレオン言行録」と同じであるが、岩波文庫の「ナポレオン言行録」との違いは、ナポレオンがどのような状況においてその発言をしたかの状況説明がより詳細であること(訳者によると、ドイツ語の原文はさらに詳細であったが、冗長な部分を訳出にあたって割愛したそうだ)、ナポレオンの1つの発言をより長く引用していることである。

1797年のイタリア遠征時代にミラノのセルベロニ宮殿で詩人アルノーに語った勝利の秘訣は単純だが圧巻である。つまり、迅速な機動によって兵力を集中し各個に敵を撃破すること、勝利によってもたらされる利益はまさに倍増され損害を十分に償ってくれるから状況により必要とされる犠牲をおそれてはならないこと、危難において平静であること、である。